2024年6月30日日曜日

『花開く朝』に寄せる想い

 











先週の木曜日に思い立って鎌倉八幡宮の源平池に
蓮の花と葉っぱの取材に行った。

翌金曜日はパティシエ学校の非常勤講師の日で、
先週のお題は
「性格に関する質問」と「一問一答」だった。

パティシエ学校での私の立ち位置は
「就職対策講座」の外部講師。

専門学校なので、就職の抜けは学校の評価のカギ。
内部にも就職担当の先生はいるにはいるが、
外部講師に半年間だけ授業をもってもらい、
学生たちがうまく就職できるよう補強するのが
講座の目的だ。

4月の「就職までの流れ」や
「今年度の就職の動向」みたいな内容に始まり、
5月は「ビジネスに求められる服装」やら
「ビジネスシーンにおける敬語問題集」など
社会人として身につけなければならない
基礎的な内容へと授業は進んだ。

6月に入るといよいよ就活モード真っ盛り、
「自己PR」「性格分析」「志望動機」など
履歴書に必ず書かなければならない項目へ。

私の授業はオリジナルテキストに基づき、
毎週毎週、宿題が出される。
それを授業時間中になるべく多く発表してもらい
その場で添削する。

アプローチ自体についてや
日本語としておかしい部分を指摘する。

この間、6月にはいると就活が解禁になり、
ホテルやブライダルなどの大手企業は
次々、履歴書を出して
通ればグループ面接、
残れば、二次面接や実技試験へと進む。

個人店は毎年、スロースタートで
秋になってからの募集のところもあるが、
成績優秀な学生は大体、大手のホテルや
ブライダルを希望していることが多いので、
クラスの空気は熱を帯びている学生と
のんびりしている学生とに二分される。

6月初めぐらいから
熱心な学生は授業内で添削のチャンスが
巡ってこなかったり、
授業内容以外の部分で履歴書に書いたところを
私に見て欲しくて
ランチタイムや放課後などにも
追いかけてきて指導してほしいとせがんでくる。

そんな学生の中に
先週まさに最終面接が終わったばかりのS君と
金曜日が最終面接だと言って授業を途中で抜けた
M君がいる。

ふたりとも違うホテルだけど
一流ホテルを狙っている優秀な学生だ。

S君は今週の火曜日までに結果が学校に知らされ、
M君も木曜日までには結果がわかるという。

他にも似たような状況の学生はいるが
とりわけふたりは
言葉は悪いが私を頼っていてなついているので
是非とも内定を勝ち取って欲しいと思っている。

今週の金曜日の授業の時には判明するはずだが、
今は親になったような気持ちで
その朗報を待っている状態だ。

一方、版画の新作の原画を描くというのが
私の本日のミッション。

木曜日に取材して、写真を大量にプリントアウト。
自分で描いたスケッチも併せて、
中型サイズの作品2点分の構想を練った。

版画の原画は
写真に撮ったものをそのまま描くわけではなく
意図をもって構図を考え、
2作品のバランスを観ながら
コンセプトに沿って作画する。

実際には朝イチに鎌倉に行ったわけではないので
多少、花びらがふにゃっとなっていたが、
蓮の花は朝日を感じて開花するので、
朝イチの花を想像して加筆修正する。

『花開く朝』とタイトルまで浮かんだところで
はたと、S君とM君は
どんな気持ちで今週末を迎えているだろうと
思いを馳せた。

S君は面接で
「どうして、そんなに落ち着いているの」と訊かれ
「落ち着いて見えるかもしれませんが、
内心、かなり緊張しています」と答え、
空気が和んだので「いけた気がします」という。

M君は実技テストで、
生クリームのバラとシェルをやらされたらしい。
「教官がホテルの衛生面の責任者だったので、
僕、最後だったので、テーブルをきれいに
拭きあげて帰ってきました」と笑顔を見せた。

ふたりとも、手ごたえを感じている様子なので
期待しているが、
内定を獲れたら、まさに『花開く朝』になる。

自分のやっている一見バラバラな仕事が
ひとつにつながったような気がして、
今日は気分がいい。

金曜日、ふたりが内定を獲れたなら
ハイタッチしよう!
本当はハグしたいけど、
男子学生だから、ダメかも。

若いって素敵!!
頑張れ!!



















2024年6月27日木曜日

鎌倉に蓮の取材へ

 
















夕べ、ふと、思い立って
鎌倉の八幡宮の源平池まで
蓮の花と葉っぱの取材に行ってきた。

今日は夜6時からのカウンセリングがあったので
日中にでかける予定は入っていなかったが
どうしてもどこかで蓮の取材がしたくなり、
急遽、スマホと小さなスケッチブックを手に
電車に乗った。

ここ数日、真夏かと思うほどに
気温が上昇し、
しかも、湿度が高いので蒸し暑い。

昨日もお茶のお稽古の前に
北鎌倉で見つけたむくげの取材をと思い、
お稽古に向かう少し前に
取材時間をとったのだが、
あまりの蒸し暑さに熱中症になるかと
思ったほどだ。

その上、開花していると狙っていたむくげは
まだ、硬いつぼみの状態で、
取材の目的を叶えることもできず、
踏んだり蹴ったり。

幸い、ご近所で見つけたむくげは
今朝、盛んに咲き誇っていたので、
手近なところで目的は達成されたが
場所によってか、木の種類によってか
同じむくげでも開花の時期に差があることが
よくわかった。

7月8月は私にとって
木版画の彫りのシーズンなので、
(暑い時はクーラーを切って
加湿器をかける摺りはできない)
その前段として原画をおこす必要があり、
今年は「むくげ」と「蓮」に
原画のモデルになってほしいと思っている。

「むくげ」は庭に植えているわけでもないし、
ここなら間違いなくあるという場所を
知っているわけでもない。
夏の茶花といえば「むくげ」というほど
代表格なのだが、
今年はお茶の先生のところのむくげは
花がついていないという。

というわけで、最近は
家の近所を散歩する時も
きょろきょろ怪しげに探しているし、
お茶の友人達も心配して
ベランダのむくげが咲いたといっては
写メって送ってくれたりしている。
ありがたいことだ!

一方、蓮の花は
鎌倉八幡宮の源平池に行きさえすれば
池一面に広がっていることは分かっている。

ただ、花の開花状況までは知らないので
とにかくなるべく午前中に行こうと決め、
カレンダーと天気予報と相談した。

その結果が、今朝の急な取材決行となったわけだが
行ってみれば、それは大正解だった。

一昨年の6月にも八幡宮に取材に行ったが、
その時より開花している花も多く、
早朝ではなかったので、
ちょっと花びらがうつむいていたが、
十分、凛と咲いている様子がうかがい知れた。

今回は上っ面の源氏池と平家池にとどまらず
行けそうなところまで行こうと決め、
幼稚園(八幡様の境内にある)の奥の
お茶室のある建物の庭付近まで
足を延ばした。

奥の池には亀や鴨、鯉、陸には鳩などもいて
藤棚の下のベンチに座って
人が涼をとっているような場所もあった。

そこでスケッチブックを広げて写生するのは
ちょっと気恥ずかしい気もしたが、
欲しい葉っぱや花があれば
それもやむなしと鉛筆を走らせた。

やはり、いくら写真に撮っても
手を動かしながらの方が
絵の構想やイメージを固めやすい。

大した時間をかけたわけではないが、
指先で紡いだ蓮の葉や花から
物語が動き出すのを感じた。

それにしても、今日の鎌倉は蒸し暑かった。
つばの広い帽子をかぶり、
大きめのサングラスをしていても
汗はいく筋も頬をつたった。

気づくと12時すぎになっていたので、
帰りはひとりなのに小町通の「ナルトヤ」で
『6月のごはん』を奢った。

相変わらず、丁寧に作られた
野菜ばかりの和食は
見た目も美しいし、どれも優しいお味だった。

最後に板場のお兄さんに
材料の分からなかったトマトにかけてあった
あんについて尋ねると
「ビーツを細かく刻んだものを、
酢醤油で和えてあります」と聞き、
「ビーツですか、赤しそか何かと思った」と
驚きと共に「なるほど」と納得した。

創業20周年だというが、
生き馬の目を抜く鎌倉で長く商売するには
そうした努力と知恵がいるんだなと感じた。

危うく熱中症になりそうになりながらも
何とか目的を遂げ、
最寄り駅のヨドバシで
撮った写真を大量にプリントアウトし、
3時前に帰宅した。
とりあえずシャワーを浴びてすっぴんになり、
また、夕方、ダンナの夕ご飯を作って
カウンセリングのために化粧し
下界への階段を下った。
(横浜は階段だらけだし、我が家は坂の上)

今日は2段構えの長い1日だったけれど、
とにかく本日のミッションはクリアしたので、
夜、こうしてブログをアップする
元気は残っているようだ。






























2024年6月25日火曜日

ばぁばは目まぐるしい

 














実は七色仮面のオーママ。
(バレているとは思うが…)
先週までは木版画家をメインに活動していたが、
今週は平常運転に戻った。

今日は午前中、心理カウンセラーを務め、
午後からはばぁばご飯を作りに娘の家に。

明日は午前中、新規のクライエントさんが
入ってしまったのでカウンセリングの後、
午後はお茶のお稽古。

本来なら、お茶には夏の着物を着て伺うつもりで
アイロンまでかけ衣桁にかけてあるが、
新規のクライエントさんの前に着物姿では
占い師か何かと間違われるといけないので、
地味にワンピースでいく予定。

とにかく1日に2種類ぐらいは仮面を付け替え
ジタバタと暮らしている。

今日のばぁばご飯は
前回からちょっと間が開いたので
ドバっとリクエストが来ていた。

点数は10品でいつも通りか一品多いぐらいだが
なぜかどれも材料が多い。

メニューは
チーズ・イン・ハンバーグ
鶏むね入りコールスロー
揚げ出し豆腐
豚ロースの野菜あんかけ
ポテトのチーズ焼き
サーモンと野菜のバター醤油味
鶏モモのネギ塩かけ
ブロッコリーのオムレツのせ
なすとピーマンの甘酢煮
ほうれん草と卵のスープ
以上10品

というのがラインナップであるが、
ハンバーグのひき肉は650gもあるし
揚げ出し豆腐は大きい木綿豆腐2個だし
豚ロースは分厚いのが3枚だし
チーズ焼きのポテトは1袋丸々だし
サーモンは4切れも買ってある。

鶏もも肉はおおぶりのもの2枚全部だし
ブロッコリーは1株丸々だし
卵はL玉3個分にチーズやマヨネーズ入りだし
なす4個とピーマン3個だし
スープのほうれん草は1把丸ごとだし
中にベーコン4枚としめじも入っている。

普通の家の晩ご飯の材料の5日分ぐらいが
一度に用意されている感じで
作っても作っても終わらない。

しかも、
最近、こうして二足のわらじどころか
ムカデのようにわらじを履き替え
バタバタしているせいか、
時折、立ち眩みがする。

いきなり立ち上がったり、
急に振り向いたり、
2階でエレベーターを待っていたのに
専門学校の始業のベルがなって
慌てて4階まで駆け上がったりした時、
踊り場でグラっとよろけそうになる。

今のところ、それで倒れたことは無いが、
ひとりだけ震度5ぐらいに見舞われた感じ。

疲れているとなるらしいが、
気持ちに体がついていっていないのか、
そのまま幽体離脱しちゃいそうだ。

今日も孫1号も2号もよそられたおかずは
残さず食べてくれ何よりだが、
「何ごともほどほどにしておかないと」と
思った蒸し暑い夏の始まりである。
やれやれ。


























2024年6月22日土曜日

陶芸 新シリーズ始動

 













今日は5月の半ばに陶芸展があって以降
初めての釉がけの日だった。

本当なら私は第1・3土曜に所属しているので
先週の土曜日のはずであったが、
紫陽花展と孫1号の誕生会で
すべての曜日が埋まっていたので、
やりすごした今週末に延期させてもらった。

つまり第2・4土曜のメンバーのところに
お邪魔して釉がけをさせてもらったと
いうことになる。

ここのオリジナルメンバーは女性3名。
1名はこの工房最古参に近い女性だけど、
他の2名は新メンバーなので、
私にとっては馴染みの薄い方達である。

日付を変更してもらって作陶する時は
なるべく隅っこで
他のメンバーの邪魔にならないよう気遣うが
何しろ私が今日、釉薬をかけようとしている
器は例によって大量にあるので
結局は大きなテーブルの半分を使って
大風呂敷を広げることになる。

それでも、今日の釉薬は失透と呼ばれる白と
透明釉の2色だけだったので、
釉薬桶をいくつも奥から出してきて
攪拌することはなかったので
比較的、静かに参加していたと言えよう。

今回の器は新シリーズで
ゴールデンウィークに行った笠間の火祭りで
見て、真似してみようと思った
赤土に白の化粧泥を塗り
模様を削り出すというスタイルの器だ。

火祭りで見たのは
大きな楕円形の鉢ひとつだったが
それに似た中くらいのアーモンド形の鉢と
小鉢や茶碗など、
シリーズ化しようと思って
いくつも作ってみた。

削り出した絵柄もそっくりにするつもりはなく
自分なりの描線で
いきなり下絵もなくひっかいて削り出してみた。

今日の釉がけでは
そのひっかいた絵柄を生かすため
単に透明の釉薬をかけただけなので
いたって作業はシンプルだ。

もうひとつのシリーズは
テープ・ワークと呼んでいるシリーズだ。

素焼きの済んでいる器に自由にテープを貼ることで
その部分には釉薬がかからない。
それを利用して
1色目の釉薬が乾いたらテープをはがし、
全体に透明釉をかけると
器全体が透明な釉薬でコーティングされる。

白く焼きあがる土で作陶した上に、
白い釉薬をかけ、
テープをはがして更に透明をかけたので、
全体としては白い器が出来あがる。

ちょっとフォークロア調の柄のある器と
アーモンド形の白いモダンな器。
違うタイプのシリーズだが
両方とも、手びねりなので、
温かみがあり、同じテーブルに並んでも
違和感はないはずだと思っている。

作業は午後1時半に始まり、
クラスは5時までと決められているが、
私は写真にあるように15~16個の器の
釉薬をかけ終え、
更には前回、作陶して
箱に入れて乾かしていた3点の器の削りもして
4時10分に終了した。

もちろん道具の後片づけも掃除もした上で
「お先に」と挨拶すると
新人さん達は目を丸くして
「あんなにあったのにもう出来ちゃったんですか」
と驚かれてしまった。

確かに目の前の大先輩は
釉がけは花瓶ひとつだけだし
削りも1点だけだったので
スピードの出し過ぎには注意しなければ…。
(我がクラスではあおり運転禁止と
言われているが…)

雑にしているつもりはないのだが、
もっと神経を尖らせて作業している人を見ると
思うところはある。

しかし、
私のとっての陶芸はあくまで楽しみなので、
新シリーズに心躍らせ、
また、次の作品を生み出すことに意味がある。

というわけで、7月初めの土曜日に
イメージしたとおりに今回の器たちが
焼き上がってくることを念じつつ、
一足お先に工房を後にした。