2024年6月12日水曜日

凱風快晴 紗袷の贅沢

 






















紫陽花展2日目と3日目、
正に「凱風快晴」といった晴天に恵まれたので、
2日間とも紗袷の着物で展覧会に行った。

凱風快晴の凱風とは南風のことで
快晴はもちろん雲一つない上天気のことだが、
昨日今日、最高気温は30度に迫る勢いだが、
南風とはいえ、案外、爽やかな風が吹いている。

北斎の有名な版画「凱風快晴」のような
赤富士が今朝は見られたとニュースで言っていた。

さて、紗袷(しゃあわせ)という着物は
紗の生地の2枚重ねになっている訪問着をさすが
袷の着物の時期が終わり、
夏の着物へと移行する時期、
しかも厳密に言えば
5月末から6月の梅雨入り前までの1週間から
10日間しか着られないという超のつく贅沢品だ。

着物好きの中でも垂涎の的の
幻の着物と言われ、
あまりに着る時期が限られるので
実際、着ている人を見たことがない。

なのになぜか私はその紗袷を2枚も
持っている。

この1週間、
今年の紫陽花展は例年より梅雨入りが遅れたせいで
どんぴしゃ紗袷を着る条件が揃ったことになる。

こんな時を逃してはならじと
まずは昨日、はるばる川越から
実家の元番頭さんが来てくれるのに合わせ
渋いグリーンの紗袷を着た。

昨年、56年ぶりに再会したおじいちゃんで
彼もまた、呉服商を営んでいたので、
今年もバリッと男性用夏着物を着て、
印伝の信玄袋を下げ、会いに来てくれた。

Kさんの記憶の原点には
12歳の頃の私がいるのだとは思うが、
歳月は流れ、
呉服屋のお嬢ちゃんだった私は
紗袷を着るような着物通の大人になった。

昨日は夕方、画廊からみなとみらいに出て、
横浜ならではの景色を眺めつつ
牛タン屋さんで昔話に花を咲かせた。

3日目の今日は
午後、長羽織のビーズの紐を組んでくれた
Aさんが着物で画廊に来てくださるというので、
彼女が作ってくれた羽織紐を着なければと
モノトーンの紗袷に
紋紗の長羽織を着ていくことにした。

紋紗の羽織とは夏の羽織の種類をさし
春の終わり頃から着ることができる。

道行コートや道中着と呼ばれるものより
オシャレ度が高く、
形が羽織なので、部屋の中に入っても
脱ぐ必要がない。

クリーム色の地に墨色の線描き模様の着物と
黒地の帯に
渋い紫の羽織なので、
注目の的は胸元の美しいビーズの羽織紐になる。

お見えになるお客様に合わせて
お出迎えするのも
展覧会に来て頂く側の配慮のひとつだ。

今日は他にもカウンセリングのクライエントさんや
旧知の友人など
本当に大勢のお客様が来廊してくださった。

クライエントさん達は皆、カウンセラーの私とは
全く違ういでたちと様子に驚いていたけど、
それでカウンセリングを辞めてしまおうという
感じではなく、
新たな一面を知って
より親近感を感じてくれたようで
一安心。

木版画家の萩原季満野も
認知されたようで嬉しい。

思いがけず、期間限定の難易度の高い着物を
2日も続けて着る機会に恵まれ、
紗袷の着物もしあわせ(ダジャレ?)だろう。











































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