連日連夜の猛暑が続いている。
私は連日、午前中にカウンセリング、
午後は木版の彫りの作業。
カウンセリングは予約の時間の15分前には
カウンセリングルームでスタンバイできるよう
家を30分前には出て、
最寄り駅のカウンセリングルームへ向かう。
その途中、
大岡川という川添いに
酔芙蓉という木が何十本も植えられている所の
脇の遊歩道を歩いていく。
今年は酔芙蓉の裏の年らしく、
いつもならちょうど見頃を迎える時節だが、
今年は数本の木にしか花がついていない。
酔芙蓉は物語性の強い花で
朝、開花した時は白い花なのに
夕方になるとピンクに色づく。
それがまるで酔って頬を染めた女性のように
見えるところから
「酔芙蓉」の名がついた。
高橋治の「風の盆恋歌」という小説には
酔芙蓉の花が印象的に扱われていて、
主人公の女性の心情を物語っている。
私はその小説にもハマったし、
酔芙蓉の色っぽい姿にも惹かれているが、
今年の酔芙蓉はちょっと違った。
朝9時40分、
川沿いに咲く酔芙蓉は瑞々しい白い花を
つけていた。
隣の濃いピンク色の丸まった花は
昨日咲いて、落花寸前の状態。
カウンセリングを終え、買い物をした後、
同じ道を戻ると
まだ、12時半ぐらいなのに
酔芙蓉はすっかりピンクに染まっていた。
強い日差しが照り付け、
酔芙蓉の木は濃い影を落とし、
ピンクの花はまるで汗をかいたかのように
火照って見えた。
こんなに早くピンク色になってしまうなんて
元々、1日花の短くはかない命なのに、
半日でその命が尽きてしまうかもしれない。
体温を超えるほどの暑さは
夕暮れを待つことなく、
その灼熱で、白い花弁を容赦なく
ピンクに染めてしまったようだ。
その脇を通る私も
行きより増えたエコバッグの持ち手と
カウンセリングアイテムの入ったバッグを
両の腕に食い込ませ、
日傘をさしているが、
更にサングラスをしていても眩しく、
額に汗がしたたり落ちる。
地球温暖化も叫ばれて久しいが、
毎年、異常気象と言っていいほどの暑さは
いや増すばかり。
私は農家でもないし、漁師でもないので、
自然の驚異が直接的に生活を脅かすものでは
ないが、
こうした小さな花の変化を見ても
何かおかしい、
何か私にできることはないか、
私がすべきことはないか、
そんなことを考えてしまった。
今日は夕方6時半から、
また、カウンセリングが入っている。
夕方、同じ道を行くと
あの昼過ぎにピンクに染まっていた酔芙蓉は
どうなっているだろう。
酔っぱらったどころか
泥酔状態になって
すでに落花しているのかもしれない。
まだ、明るいうちに酔いつぶれるなんて
色っぽいどころか興醒めだ。
暑さも酒量もほどほどに。
風情を感じる程度がいいと
今年の夏に思ったことである。
パリのオリンピックの開会式は
セーヌ川が舞台だというのに
どしゃ降りの雨。
それはそれで素敵と思いたいところだけど、
情け容赦ないどしゃ降りだった。
それもこれも地球温暖化のせいなのか。
人の想いと裏腹に
自然の猛威が荒れ狂っているのを感じる。
こちらが夕方6時前の酔芙蓉。
全員、酩酊状態で酔いつぶれてしなだれて…。
まだ、落花してはいなかったが、
朝、凛として咲いていた姿と同一の花とは
思えない変貌ぶり。
こんな風に酔っぱらった女性を可愛いと思う
男性はいるとは思うが。
面白い花である。
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