とにかく暑い。
カウンセリングが入っていない限り、
家にいて、彫りの作業を進めている。
世の中はサマーホリデーだが、
私にとっては彫りデーだ。
周りが思う「人の3倍生きてる」としたら
こういう時間に木版の仕事を進めなければ
結果は出ない。
別に本人は苦痛でも何でもなく
この時間を楽しんでいる。
頭の中ではいろいろなことを思い出したり
考え事をしたり。
ニヤニヤしたり、唇をかんだり。
耳ではサザンを聴いたり、石田様を聴いたり。
すぐ横のテレビをつけながら
オリンピックの開会式ダイジェストを見たり
日本金メダル1号の角田夏実選手の
豪快な巴投げの解説を見たりしている。
31歳で初めてのオリンピック。
遅咲きの柔道選手にかかる
このオリンピック
1個目の金メダルと通算500個目の金メダル。
身長が161㎝あるのに48キロ級に階級を落とし
長い手足を活かして
豪快に相手を投げ飛ばして寝技に持ち込む。
朝からそのシーンを繰り返し見ながら
あんな風に相手を蹴り上げ、
投げ飛ばせたら、
さぞや気持ちいいだろうなと思う。
君が代の流れる表彰台で
31歳の頬には涙がとめどなく流れた。
私達はその輝かしい結果しか知らないが、
彼女にこれまで
どれだけ多くの苦しみと迷いがあったことか。
あまたの選手の歓びや悔しさのドラマが
この17日間に繰り広げられることだろう。
私は一言も発せず、
ただ、彫り台に向かい、
彫刻刀を動かしているだけだけど、
心の中ではふつふつと
「私も頑張るぞ」という気持ちが湧いてきた。
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