今日はお茶のお稽古で、年に数回行われる
特別なお稽古「天然忌」の日だった。
特別なお稽古というのは
「初釜」「利休忌」「炉開き」などがあるが、
忌のつく行事は仏前に供えるお茶とうと呼ばれる
お供え用のお茶を点て、
表千家茶道を開いた先人を奉るとともに
茶道に精進することを喜びとする日である。
というわけで、
「天然忌」のメニューは
まずは『お茶とう』
次に今回は『一二三』
ランチを挟んで、午後からは『且座の1組』
『且座の2組』ということになった。
お茶とう以外は「七事式」と呼ばれる
茶道のゲームのようなものの中から
毎年、違うものが選ばれ、
楽しみながらお茶の道を深掘りするのが目的だ。
お社中のメンバーの中で、今回の参加者は9名。
その中から、先生がその人の力量と
同じ役を近年、やっていないかを勘案して
役どころを決めて連絡がくる。
その連絡のLINEが先々週の土曜日にきた。
4つのエントリー種目があるうちの
2回にエントリーされている人と
3回エントリーされている人がいる。
私はなぜか3回エントリーされており、
お茶とう以外の3組に出場することになっている。
しかも、よくよく見ると、
「一二三」の亭主
「且座1組の半東」「且座2組の正客」とある。
「一二三」とはお客様4名の前で
亭主がお濃茶を点て、
そのお点前の出来具合、亭主の所作、濃茶の味など
総合的に観て、点数をつけるというもの。
いわば、濃茶点前の公開テストだ。
ほんの数年前にもこの役を振られた記憶があるので
一瞬「なぜ?また?」と思ったが、
LINEでは決定事項になっているのでしかたない。
マイノートを作って予習することにした。
お客様役の4名には
グループLINEの返信で
「お手柔らかに」と送っておいた。
そのお陰か、
点数を表す4枚の札は
「月の二」「月の三」「一」「一」と
軒並みの高評価をいただいた。
お点前の評価は9種類の小さな札の中から決める。
上から「月の一、二、三」「無印の一、二、三」
「花の一、二、三」とある中で
普段通りによくできたと思えば「無印の二」を
入れればいいとのことなので、
皆さま、大いに忖度してくださったのか、
本当によくできたと思ってくださったのか。
きっと
社中のお姐さんに配慮してくださったに違いない。
午後からは「且座(さざ)」と呼ばれるゲームで
5人一組で「花を生ける」「炭点前」「香をたく」
「濃茶を点てる」「薄茶を点てる」の5役がある。
それを「正客」「次客」「三客」「東」「半東」が
それぞれ分担して、
お茶のお稽古に出てくるいろいろなお点前を
一気呵成にお勉強するというゲームである。
一番大変なのは「半東」で
「且座」の間中、立ったり座ったりして
次に必要な道具を出したり引っ込めたりする。
そして、最後には薄茶を4人前点てなければならない。
そんなしんどい役回りなのに、
なぜか今年は1組の「半東」役が回ってきた。
午前中に「一二三」の亭主をやったことを
お忘れか?
もしかして「いじめ?「可愛がり?」と思うほど
忙しいお役なのだ「半東」は。
また、9名の参加者なので、誰かひとりは
1組にも2組にも出場するのだが、
なぜかそれも私が2組の「正客」になっており
床の間の前に出ていって、花を生けることに。
それが2枚目の写真の茶花である。
事前に作ったノートには覚えきれない「半東」の
役目にラインをひいたり〇で囲んだりしたが、
結局は午前中に集中力のすべてを使い果たし、
午後の「且座」は見学に回っている方に
あんちょこを見てもらって何とか凌いだ感じだ。
まあ、
お遊びなんだからそんなに緊張しなくてもと
分かってはいるのだが
ついつい頑張ってしまう自分がいる。
なんだかドッと疲れて家に着くと
今まさに大相撲の千秋楽では
大の里と豊昇龍が横綱対決で優勝を決める大一番。
本割では、あっけなく大の里は負けてしまい
ガッカリしたが、
その後の決定戦では大の里が寄り倒して
豊昇龍を破り、優勝賜杯を手にした。
まるで濃茶のように濃い1日。
着物を着た状態で目まぐるしく動いても
体調的にはふらついたりせず乗り切れたので、
何よりそれが良かったと思う。
大の里の優勝を祝いつつ、
自分も勝手に
お茶の世界の優勝賜杯をいただいた気になって
糖質ゼロのビールで乾杯した。
(ダイエットはそれなりに)