2026年4月9日
今年の本屋大賞が発表になった。
1位は朝井リョウ『イン・ザ・メガチャーチ』
2位は佐藤正午『熟柿』
3位は村山由佳『PRIZE-プライズ』
だった。
私は大して読書家ではないので、
芥川賞や直木賞などの書評には
あまり興味がない。
けれど、書店員の選ぶ『本屋大賞』だけは
案外、純粋な本好きが選んでいる気がして
信頼している。
毎年、『本屋大賞』が発表された後には
駅前の大手の本屋を覗いて
今年の受賞作をペラペラめくってみる。
1位の『イン・ザ・メガチャーチ』は
著者が朝井リョウさんだし、
「推し」の話だと聴いて
かなり食指が動いた。
しかし、もっと読んでみたいと思ったのが
2位の『熟柿』だった。
著者の佐藤正午さんは
全く知らない作家だったけど、
本の帯に
「これほどまでの傑作に出会えたことが
僕は幸せでなりません。
未読の方、これから『熟柿』を読むことが
できるなんて本当に羨ましい』
とあるのを見て、
こんなに褒めちぎられている書評は
見たことがないと思った。
それでも、4月の最初に見た時から
何度も何度も手に取りながら
分厚い本なので、
その時の手荷物の多さを考えると
持ち帰る勇気がなく日にちが過ぎた。
その間にパラパラと立ち読みしたところ、
主人公の女性は
大雨の中、車を運転していて
事故を起こしたことが事の発端らしいと
分かってはいた。
2日前、今週の水曜は台風が最接近して
お茶のお稽古は中止になるかもしれないと
わかった。
急に予定がぽっかり空いて
家にいなくてはいけないなら
ここで読書をとしようと思い、
ようやく『熟柿』を買い求め帰宅した。
台風6号の大雨と強風は
正に主人公のかおりが事故を起こした日と
同じような天候だった。
葬儀に出席した帰り道、
夫のてっちゃんは酔いつぶれて
助手席で寝込んでいる。
田舎道を走っている時にかかってきた
友人からの電話に出て…。
今日、正に大雨の中、
読み始まった物語は息もつかせぬ勢いで
人の人生が流転する様を描き出し、
抗いようもなく転がっていく。
朝ご飯を作って食べて、読み始め、
昼ご飯を作って、読み進み、
夜ご飯を作るために重い腰をあげる
夕方5時半ギリギリまでかかって
ようやく読了した。
本の中に登場する何人かの
人物描写がとても巧みで、
読んでいる内にきっとこの本は
映画化され、あの役者が演じるのではと
イメージできるほど
リアリティをもって顔立ちや体つきが
想像できた。
とりわけ幼稚園時代のさきちゃんの
おしゃまな言い回しなど
70歳の著者によく書けたなと感心した。
(その年代の孫でもいるのか?)
かおりの人生は思いがけない方向に
転がっていくので、
ハラハラドキドキ毎回のドラマの
オンエアが気になるような気分で
読み進んで、止めることが出来なかった。
たしかに「傑作」だと思う。
「読み終わった後、
しばらく何も考えられなかった。
茫然と表紙を眺めつづけた。
しばらく他の物語を読みたくない、と
思った」という帯の文字を見て、
私も同じ気持ちだと思った。
良かったら書店に行って
手に取ってほしい。
今、私の一推しは『熟柿』です!!



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