2020年10月17日土曜日

白い器

 









先月の終わりに釉薬をかけた器がすべて焼きあがってきた。

注文を受けて作った取り皿10枚
同じく箸置き18個
中鉢1点
カレー皿2枚
自分用ドレッシングボート1点
大振り小鉢1点

計33個

普通、会員は2か月に1回の釉がけの日に
5~6点の器に釉薬をかけるのが平均的だ。

それに対して、33点は明らかに多いので、
誰かの迷惑にならないよう、
私は一人で作業のできる日に変更して、
ひとり黙々と釉薬をかけた。

工房にはここのところ陶芸体験にやってくる方が多く、
その分、先生が焼かなければならない器も増える。

工房の窯は1基しかないし、
焼く作業も先生ひとりにお任せなので、
正直、今日までに33点が焼きあがっているか
少し心配だった。

しかし、行ってみれば、
すべての器の本焼きをしてくださっていて、
感謝感激だ。

今回はいつもの失透(しっとう)という白い釉薬と
透明釉といって、文字通り透明に焼きあがる釉薬の
2種類を攪拌し、準備した。

先に失透をかけ、
乾いた頃を見計らって、透明釉をかけた。

ものによっては土の色そのままの部分に
透明釉だけがかかっているところと
白い釉薬の上に透明釉がかかっているところがある。

土の色は透明釉をかけることで、
優しいクリーム色に発色する。

白い釉薬の上に透明釉が更にかかっている部分は
「梨地」といって、
2種類の釉薬が器の表面で化学反応を起こし、
白い粒々模様になった。

計らずもなった梨地模様はなかなか美しく、
会員たちの評判も良かった。

取り皿と箸置きを注文してくれた友人たちの注文は
今回で一区切りにしようと思っていたのだが、
梨地のおおぶり小鉢には
新たに会員の中から注文がきて、
またまた受注生産のお題が出てしまった。

私自身も何気なく造った大振り小鉢と
ドレッシングボートの梨地模様は気に入ったので、
次回以降も、
もう少しこの釉薬の掛け合わせを試してみようと思った。

透明釉は無色透明な釉薬なので、
器に照りをだしたり、
土の色そのものを出したい時にかけるものと思っていたけど、
失透という釉薬と掛け合わせることで、
新たな表情を生み出すことを発見したことになる。

陶芸を始めて9年近くの年月が経つが、
会員は先生に教えられるというより、
会員同士情報交換をしたり、自分で試行錯誤しながら
作陶経験を積んでいるので、
今だにやってみたらこうなったみたいなことになる。

それが吉と出るか凶と出るか、
本焼きが上がってこないと分からないし、
先生さえ、失敗ばかりだと言っているので、
陶芸は奥が深いし、それが陶芸の面白みでもある。

人知を超えた炎の芸術。

窯に入れたら、あとは神のみぞ知る。

すべてをコントロールしようにもできない世界に
翻弄されて、一喜一憂するのではなく、
身を任せ、出来てきた偶然を愛でる。

その方が器とのつきあいとしては幸せだ。

なんだかそれは人との付き合い方にも通じる。
袖振り合うも他生の縁。
ご縁のあった方と過ごす時間を大切にしようと思う。






2020年10月13日火曜日

乳児ぷっぷくぷー

 















7月末に生まれた孫の由依は
2650gぐらいで生まれたはずが、
2か月半で、体重5500gになった。

「ほぼ母乳だけでここまで体重が増えるとは」と
区の保健師さんに、昨日、褒められたばかりだという。

私は週に1回のペースで会っているのに、
2度見するほど、毎回、顔がぷっぷくぷーになってきて、
だんだんつぶらな瞳が肉に埋まってきている。

最近は人の顔を見て、笑うようになってきたので、
「女は愛嬌」で勝負するしかない。

由依は上の子に比べ、肌は色白のようで、
この調子でぷくぷくなったとしても、
「色が白いは七難隠す」というから
昔の格言通りの女の子といえるかもしれない。

私の料理当番は、
由依が生まれてからは、
以前のように留守宅に侵入してマイペースで料理を作ると
いうわけにもいかず、
時には乳児を置いて母親が出かける用があることもあるし、
夕方の保育園のお迎え時は
毎回、置いてけぼりにされてしまうので、
私がベビーシッターも仰せつかることになる。

保育園から帰宅した3歳児の方は
「お外から帰ったら、手洗いと着替えをしなくちゃ」と
自分で手を洗うのはいいとして、
さっさと洋服まで脱いで、
パンツと肌シャツになってしまうので、
まるでフォトジェニックじゃない。

というわけで、今回は
ぷっぷくぷーのベイビーと
料理の写真しかアップできないという顛末である。

生後2か月の乳児はまだおっぱいしか飲んでおらず、
並んだ料理を食べたわけではないが、
料理を見ると、芋料理が2品もはいっており、
見るからに量が多いのは一目瞭然、
ここにぷくぷく家族の原型を観た思いがする。

案の定、帰宅した志帆がまず「これ食べる~」とせがんだのは
「ポテトのチーズ焼き」と「ささみのフライ」
「大学芋」と「れんこんのきんぴら」だったから、
これでは痩せるわけがない。

それでも、娘が
「もし、我が子が素うどんしか食べない子だったら、
ホント悩むと思うわ」と
偏食に悩む友人の話をしてくれたので、
あれもこれもと美味しく食べることができるのは、
幸せなことだと思う。

娘に、昨日観た映画「82年生まれ キム・ジヨン」は
絶対、観た方がいいわよと伝えつつ、
今のところ、我が娘が産後うつだったり、
ふたりの子供たちが深刻な問題を抱えていないことは
ほんとうに安堵する。

これから長い人生、
何が起こるかわからないけど、
とりあえず、
「ぷっぷくぷーなベイビーは癒しである」
「ぷっぷくぷーな3歳児も癒しである」
そう実感した秋の夕暮れであった。




























2020年10月12日月曜日

「82年生まれ キム・ジヨン」鑑賞

 


2日続けて映画館で映画を観た。
最寄り駅に映画館があるのはありがたい。

今日は「82年生まれ キム・ジヨン」

韓国映画で、まさに現在の韓国のお話。
主人公は1982年生まれ、現在38歳の女性キム・ジヨン。

彼女は広告代理店で働いていたが、数年前に結婚。
現在2歳2か月の女の子がひとりいる子育て中の母親だ。

子供が生まれ、家事と育児が大変なので、
仕事はやめ、専業主婦の状態だが、
なぜか精神的に追い詰められている。

ダンナさんはサラリーマンで、優しい人だが、
日中の育児はワンオペにならざるを得ず、
孤立感が彼女を襲う。
そして、周囲の心無い言葉や無理解が高じると、
時折、別人格が彼女に憑依する。

韓国の働く女性の結婚・出産・子育ての問題。
嫁姑問題、男子が女子より圧倒的に重用される社会の構造。
男性の男尊女卑の考え方と世間の目など。

私にもどんぴしゃ1982年生まれの娘がいるせいか、
とても他人事ではないとないと思って観ていた。

女性が結婚し、子供を産むと
たちまちぶつかる問題としては日本も同じようなものだが、
一世代昔かと思うような韓国の社会構造が
つぶさに描き出されていて、
途中から涙が止まらなくなってしまった。

主人公は産後うつと言ってしまえばそれまでだが、
その喪失感や孤独・無理解・やるせなさなど、
自分にも当時、あったなと思う感情を思い出した。
しかし、それを何とか乗り越えてきたのだが…。

今では思い出せないほど昔の出来事だが、
我が娘にしてみれば、
On Timeの出来事なので、
今この映画を観たら、
きっと身につまされるのではないだろうか。

この映画には
主人公と精神科の医者とのカウンセリングの様子も出てくる。
だから、韓国のカウンセリング事情も垣間見え、
心理カウンセラーとしての興味も掻き立てられ、
とても身近なテーマの映画だと感じた。

昨日観た「ミッドナイト・スワン」は
カウンセラーとして追いかけている
トランスジェンダーの人の話だったけれど、
「82年生まれ キム・ジヨン」は
長女とちょうど同じ年生まれの女性のお話なので、
今日は母親の視点で観ている自分がいた。

古くて新しいテーマ、
「女性の生き方・人生の選択の問題」

最後は我が娘の人生と重ね合わせ、
うまく子育てと仕事を両立させて
自分らしい人生を歩んでいほしいと願っている私がいた。


2020年10月11日日曜日

「ミッドナイトスワン」鑑賞

 



たぶん7~8か月ぶりに映画館で映画を観た。

「ミッドナイトスワン」
草彅剛主演のトランスジェンダーの男性と、
シングルマザーからネグレクトにあっていた少女との
愛情物語。

私は4月のコロナ自粛以来、
YouTubeの動画を見る時間がとても増えた。

中でも、心理カウンセラーとしての興味からか、
普通に女性としての興味からか、
LGBT、
とりわけトランスジェンダーの人がアップしている動画を
見ることが多い。

何人かは登録して追いかけている。

その元男の子、元女の子の今の生活や
性転換に関するホルモン療法や手術のことを
赤裸々に語っているものを何本も見ていたお陰で、
この映画は何が何でも観に行かなければという気になった。

「ミッドナイトスワン」の草彅剛演じる凪沙は
体は男性、心は女性のトランスジェンダーだ。

目下、ホルモン注射を週に1回受けているので、
徐々に体やしぐさは女性らしく、声も少し高くなっている。
しかし、下半身はまだ手術していないので男性のままだ。

ニューハーフバーで働いていて、
ショータイムには
白鳥の湖に出てくる踊り子が着るチュチュを着て、
ショーに出ている。

そんな凪沙の元に育児放棄をされた姪っ子、
14歳の一果が押し付けられた形で転がり込む。
養育費目的で、凪沙は引き受けることにした。

バレエダンサーを夢見る一果。
才能を開花させ、すこしずつ成長する一果と凪沙の間に
徐々に疑似親子のような感情が芽生える。

劇中に出てくる凪沙の注射のシーンや医者とのやり取り、
手術を決意し、
タイに渡って、ひとりで性転換手術を受けるシーン、
手術の予後が悪く、大変なことになる凪沙。

実の母親のとんちんかんな考え、
心無い言葉を投げつける周囲の人々。

どれも今までの私だったら、
何の知識もなく、よく意味が分からなかったと思うが、
トランスジェンダーの人たちの動画をたくさん見ていたお陰で
何がおきているのか、何を言わんとしているのか、
今の日本のトランスジェンダーの現実など、
それなりに理解でき、涙があふれてきた。

性同一性障害への無理解や興味本位な見方、
シングルマザーの生きていくことの厳しさ、
本当の親子の愛情とは…など、
いろいろな問題を提起し、考えさせてくれた。

毎日、テレビや動画では
トランスジェンダーであることを克服したかに見える人たちが
楽し気に映っているから、
彼らの本当のところは、私達には分からないということが
よく分かった。

新人の一果役を演じた服部樹咲は
手足が長く、バレエもめきめき上達して、
とても可愛い。

草彅剛も元男性である女性のイタい感じがよく出ていて、
とても演技が上手い。
(動画の中のトランスジェンダー達も何人もが言っている)

人間て生きていくの、辛いね。
それでも笑って生きていたいよね。

人がそれぞれ抱えているものを乗り越えて、
強くありたいと思える、
そんな映画だった。



2020年10月9日金曜日

「肩甲骨はがし」の効果

 



Facebookで整体院AYAの動画を見つけて、
これだ!と思って
「肩甲骨はがし」なるストレッチをはじめて12日。

今日は長年通っている整体院の予約の日だったので、
その成果を検証しに行ってきた。

「肩甲骨はがし」の動画というのは、
太っているのは
肩甲骨が体の前にずり落ちて固まって、
血流やリンパの流れが悪くなっていることが原因である。

痩せたければ、
いくら食事療法や運動をしても、
この肩甲骨を直さなければ効果ゼロ。

スマホやパソコンのしすぎなどで肩こり・首凝りに
悩んでいる人、
最近、太ってきて困っている人は、
とにかく「肩甲骨はがし」のストレッチをして、
「痩せる体質」を手に入れなければ、
他のどんなことをしても効果なし!

そんな謳い文句が
グサッとささり、
「これは私にむけて発信された動画ではないだろうか」と
妙に動かされ、
そのストレッチを実践してみることにしたのが約2週間前。

以来、
6種類のストレッチ+大胸筋に刺激を与えつつの腕の運動
更に両腕のぐるぐる回しを1セットとして、
1日1~2回、
今日まで欠かさず続けてきた。

それともうひとつ
「二重あご解消ストレッチ&マッサージ」というのも
実践してみた。

自分的には
朝起きたら、早くも肩が凝っていると感じていたのが、
全くそんなことなく軽快に起床。

以前は大胸筋を手で掴むと
息もできないほど痛かったのが、
左手で思い切り強く大胸筋を掴んで、
伸ばした右腕を上下にローリングさせても
掴んだ大胸筋はさして痛くないという状態になった。

あごのラインも若干すっきりしたのではと思うが、
なにせマスクをしているので
傍目にわかるかどうか。

さて、整体のY先生の評価はいかに。

1番の驚きは
まず最初にY先生が、
私のファイスラインがすっきりしたことに
気づいてくれたことだった。

マスクをしているとかいないとかより、
体の整体に行っているのに、
人の顔のあごラインを見ていてくれたことが嬉しい。

そして、いよいよ整体の施術が始まってからの
先生の1番の驚きは
やはり大胸筋が柔らかくなって伸びていることだった。

今までは私の大胸筋は固く凝り固まっていたので、
その下にある小胸筋とやらまでは指が入らないから、
ほぐすことができなかったらしい。

しかし、今日は大胸筋の端にスッと指が入るから、
小胸筋にも届いて、
そのあたりのコリを全体にもみほぐすことができた。

また、いつもは肩の上に盛り上がっていた乳酸も
今日はさほど溜まっておらず、
後頭部の僧帽筋の先っちょも柔らかかったらしい。

さすがに自分では手の届かない肩甲骨のくぼみの真ん中に
痛みがあり、
それは先生にほぐしてもらわなければならなかった。

しかし、
今まで、腕を伸ばして、耳の後ろまで倒すことなど
到底できなかったことが、
今日は軽々とできたので、その可動域の広がったことに
驚いた様子だった。

これで「肩甲骨はがし」は
ちゃんと毎日コツコツやればできるということが証明された。

次は本当に「肩甲骨はがしで痩せ体質を手に入れる」
ことができるかだ。

確かに肩甲骨周りは軽くなったし、
「朝から肩こり」という症状も解消された。

人が見て「あら、少し痩せた?」と訊かれる日は
本当に来るのか。
更に私のストレッチ習慣は続く。。。

次なる目標は10月31日の孫の七五三だ。

その日は着物を着て写真を撮る予定なので、
すっきり肩回りに映っていたら、
今回のミッションは成功と言える。

その直前には整体の予約もいれ、
最後の仕上げをY先生にお願いするとして、
私の「映える肉体改造」は
結果にコミットできるか!?

また、ご報告させていただきます。



2020年10月5日月曜日

降臨 辻井伸行

 











10月4日日曜日、17時開演
サントリーホール 大ホールにて
「三浦文彰・辻井伸行・ARKシンフォニエッタ」
~ヴェートーベン~

3日に石田組のコンサートに
みなとみらい大ホールまで行ってきたばかりなのに、
連チャンで、辻井伸行のピアノを聴きに行くことになった。

なんと、もったいないとも思うが、
コロナのご時世、
たまたま延期になった日程が連チャンだったということで、
せめて、重ならなかっただけでも良しとしなければ。

今回のサントリーホールには
ご近所のおばさまとおじさま、
言ってみれば、私の陶器のファンの方達とご一緒することに。

私を含む4人の一致した意見として、
かねてより
「辻井伸行さんは凄い!一度、本物を見てみたい」
というものがあり、
その思いがここに結実した形だ。

会場はみなとみらいホール同様、
コロナで厳戒態勢、
席はひとつおきにしか取れず、もちろん満席。
4席並びでは取れなかったので、
チケット入手担当のおじさまの配慮で、
2階席の5列目、左右に分かれてふたりずつという形になった。

開場前のカフェで、4枚のチケットを前にして、
元幼稚園の園長先生Sさんと介添え役Fさん、
おじさまTさんと私のチームに分かれて座ることになった。

舞台に向かって、右が園長先生と介添え役、
左がおじさまと私。

席についてみれば、ピアノの手元がばっちり見えるのが、
私とおじさまの2席で、
SさんFさんの席は、
ピアノに阻まれてどうやら手元が見えない感じだ。

演目は
前半が三浦文彰のバイオリンソロとARKシンフォニエッタで
ヴァイオリン協奏曲ニ長調Op61
ヴェートーベン

後半が辻井伸行ソロピアノとARKシンフォニエッタで
ピアノ協奏曲第5番 変ホ長調Op73「皇帝」
ヴェートーベン

いずれも聴きなじみのある大曲である。

三浦文彰さんはNHKの大河・真田幸村のオープニングテーマで
ソロのヴァイオリンを弾いた人といえば、
わかってもらえるだろうか。

辻井さんとは同年代で、仲もよく、
共にARKシンフォニエッタの
アーティスティック・リーダーでもある。

とはいえ、私たち4人のお目当ては辻井さんであることは
いうまでもなく、
とにかく生で一度、あの辻井さんを見てみたいという
一念でサントリーホールの席に着いたのであった。

公演後半、20分の休憩の後、
扉が開き、「辻井伸行」が遂に舞台に登場した。

思っていたより、小柄で、コロコロしている。
まるで熊の着ぐるみを着ている男の子が
ちょこちょこと歩いてきて、
ピアノの前でお辞儀をしているみたいだ。

しかし、演奏が始まり、
いったんピアノのソロパートが始まるとどうだ。

その迫力、その華やかでのびやかな音色、
美しい指先から紡ぎだされる「皇帝」の荘厳なイメージ。

ピュアが着ぐるみを着て、
天賦の才を惜しみなく
会場いっぱいに響き渡らせているという感じだ。

Facebookで、多くの指揮者や音楽家がいうように、
彼の目が見えるとか見えないとかは全く感じさせないし、
なぜそんなに難解な譜面を何も見ないで弾けるのかなどという
陳腐な質問はどこにも見当たらない。

そこには血のにじむような努力があるのだとは思うが、
凡人には
神が与えたGIFTを得た天才がそこにいるだけだった。

三浦文彰さんも十分素晴らしい 演奏なんだけど、
なんだか辻井さんが異次元すぎて、
圧倒されてしまっていた。

アンコールは辻井さんひとりのピアノソロで
よく聴く小曲なんだけど、
今はアンコール曲はコロナのせいで、紙に張り出されないので、
曲名をしかとは思い出せないでいる。

終演後、私たちはタクシーで品川の新高輪プリンスへ向かった。
予約してあった和食「清水」で夕飯をいただきながら、
4人はそれぞれ興奮冷めやらない様子で、
演奏の感想を述べ
「推しメン辻井伸行への愛」を確かめたのであった。

ヴァイオリンの石田泰尚
ピアノの辻井伸行

なんと高尚な私の推しメンたち。

好きなアーティストがいるって素敵!
そう思えた初秋の出来事であった。





2020年10月3日土曜日

秋のスイッチ

 









10月1日、季節はカチッと音をさせて
秋へと変わった。

朝夕の気温が下がり、道を歩けば、
どこからともなく金木犀の甘い香りが漂っている。
我が家の金木犀も
暦通りに目覚めたようだ。

そして、
夜空を見上げれば、煌々とした満月が美しい。

今日は早3日である。
朝、起きて新聞を取りに玄関先に出てみると、
脇に立っている金木犀は満開になっており、
いよいよ香しい香りを放っている。

本日は12時に友人と桜木町で待ち合わせ、
ランチの後、石田組のコンサートという予定である。

天気は快晴、暑くも寒くもない上天気。
自分としては少し上等なニットのワンピースに
紺のジャケット、南洋パールのネックレスという装い。

足取りも軽く、金木犀の香りをまとって、
坂道を降りていった。

駅の改札に現れた友人もベージュのパンツに
ペンシルストライプの紺色ジャケットだったので、
ふたり並ぶといい感じ。

お出かけのスタイルの方向性が合っていると、
なんだか気分がいい。

ランチはランドマークタワー5階の「chef's V」
野菜をいろいろな形で食べさせてくれる
ヘルシーかつ女性に嬉しいレストランだ。

目の前にみなとみらいが一望のカウンター席が取れたので、
食事と共にビューもご馳走という感じだった。

「石田組」というのは
わが愛しの石田泰尚さま率いる弦楽器だけの13人組。
編成は第一ヴァイオリン3名
第二ヴァイオリン3名
ビオラ3名
チェロ3名
コントラバス1名の計13名。

石田組の名のとおり、石田組組長石田泰尚氏を信奉する
12名の組員が、組長を慕って集まっているという構図。

8月9月に4回通ったYAMATOは
第一ヴァイオリン、第二ヴァイオリン、ビオラ、チェロ各1名で、
各人の個性と力量がぶつかり、融合するという
弦楽四重奏団だった。

もちろん第一ヴァイオリンは石田様。

石田組はそれぞれの楽器が3名ずつに増えた分、
チーム対抗戦の様相を呈し、
第一ヴァイオリンチームと第二ヴァイオリンチーム、
ビオラチームとチェロチーム、
そして、コントラバスが戦っている。

そして、時に石田様のソロあり、
ビオラのソロあり、チェロのソロありと、
チームの代表が競い合うみたいな場面も多く、
一口で言うと編曲の上手さが光ったコンサートだった。

前半のクラシック曲は
13名の調和が重視され、まとまりの良さは感じるものの、
面白いという印象はなかった。

しかし、後半の現代曲になると一転、
会場で紹介された編曲の松岡あさひ氏の腕が冴えわたり、
13人の個性が引き出され、
石田様のパフォーマンスも絶好調だった。

例によって、衣装替えも数度あり、
オオカミの被り物をしてきたかと思ったら、
上手く弾けないと途中でかなぐり捨てるという
パフォーマンスまであって、会場は大いに沸いた。

3時開演5時20分終演、
アンコールは4曲という大盤振る舞い。

外に出てみれば、街は黄昏て、
みなとみらいのそこここに灯りが灯りだしていた。

さっきまで王子様と踊っていたシンデレラは、
馬車がかぼちゃに変わる前にとばかり地下鉄に乗り、
最寄駅からはタクシーを飛ばして家路についた。

50分でぜいぜい息を切らせて作った晩ご飯。
何とか7時のディナータイムに間に合った。
「現実はこれか」とげんなりするが、
今はコンサートの余韻を取り戻しながら、
パソコンの前に座っている。

2020年、
ほんの少し前まではコンサートは延期かキャンセルだった。
それを思えば、
みなとみらいホールの1席おきとはいえ満席のお客さんと共に、
石田組の演奏を楽しめたこと、
そのことで良しとしよう。

季節のスイッチも秋に変わったんだから、
気持ちのスイッチの切り替え上手なきみのさんに戻って、
この日々の忙しさを楽しもうと思う。