2015年6月2日火曜日

イタリア紀行4  一発入場『青の洞窟』

 
 
 
 
 
イタリア旅行のメインイベントに『青の洞窟』をもってくるコースは数多くある。
 
今回私たちが参加したコースも南北周遊型のコースなので、
旅の後半の最大の山場として用意されていた。
 
しかし、この『青の洞窟』
行けば必ず入れるというわけではないところがミソで、
天気がよくても風がすこしでも強い場合は危険と判断されて入ることが出来ない。
 
5月から夏にかけては入場率は高くなるので、
例によって根拠のない自信で「大丈夫よ、きっと入れる」と思っていた私だが、
実際、前日は午前組は入れたけど、午後組は駄目だったなどと聞くと
にわかに「大丈夫かしら」と心配になってきた。
(後日談として、私たちの次の日は入れなかったらしい)
 
当日は当日で、これまた船の順番取りが熾烈らしく、
朝7時30分にはホテルを出発し、港に向かった。
 
港に着くとイタリア人ガイドの男性が切符を入手してくれており、
200人乗りぐらいの大型船にまず乗って、ナポリからカプリ島に向かう。
 
(200人はカプリ島に仕事やレジャーに行く人もいるので
皆が皆、青の洞窟に行こうとしているわけではないが・・・)
 
船を下りたら今度は30人乗りぐらいの中型船に乗り換え、
その際の出発順で洞窟内に入る順番が決まるということで、
なるべく大型船の出口付近に座っておいて、
降りたらすぐにダッシュで中型船に乗り換えるよう指示が出ていた。
 
参加メンバーはおしなべて中高年なわけだから、
みんな自分が足を引っ張らないよう、
カプリ島が近づくにつれ、
入場への期待と共に、責任も感じることになり、変な高揚感に包まれている。
 
私たち29名のメンバーは他の日本人の団体より、
何人か分からないが外人の団体よりもいち早く中型船に乗り換え、
(ここでは日本人の私たちが外人だということはさておき)
無事、洞窟のある島の西側へと出港した。
 
天気は快晴。
風も穏やかで、本日午前中の入場は許可された。
 
陽気なイタリア人ガイドがみんなを盛り上げ、
夫婦で参加のメンバーには「タイタニックみたいにして」とポーズを取らせ、
記念写真を撮ってくれる。
 
「ここまでくれば、いよいよ入れる」とわくわく感が増して、
旅の気分も最高潮。
 
洞窟の入り口は実際にみると驚くほど小さく、
海面からは60㎝ほどの高さしかない。
 
昨今の地球温暖化の影響で水位が全体に上がっていることと、
日々の潮の満ち引きの関係で、
毎日、入れたり入れなかったり、同じ1日でも違ってくるというのもうなずける。
 
洞窟の目の前のエリアまでくると
今度は5人乗りボートにそれぞれ乗り換える。
 
29名の仲間は8艘のボートに4人ずつ分乗し、船底にお尻をつき足を投げ出して座り、
さあ、いよいよ洞窟の中へ!
 
洞窟入り口の上部には綱が1本張ってあり、
私たちお客はなるべく船底でのけぞってが岸壁が頭に当たらないようにし、
船頭さんがロープをたぐって中にボートを一気に滑り込ませる。
 
メンバーの乗ったボートが何艘か分からないが狭い洞窟にひしめき合って入場し、
船頭さん達の歌う「帰れロレンツォへ」の歌声が洞内にこだまする。
 
見たこともないような神秘的な蒼い海がそこにあって、
ボートのオールの金具の音と、みんなの歓声と、
必死にきるカメラのシャッターの気配が小さな洞内に湧き上がり渦を巻いている。
 
2周ぐらい洞内を巡ってくれたのかもしれないが、
次々と入場し、ぐるり廻って、次々と外海に戻っていくので、
興奮の青の洞窟体験は3分ぐらいで終わったのかもしれない。
 
まるでデイズニーランドのアトラクションみたいだと思いながらも、
念願の青の洞窟はこうしてトライ1発目で楽々クリア出来てしまった。
 
イタリア旅行に3回参加し、3回目のトライでようやく入れた人の話や
事実入れなかった友人のお土産話を聞いたことがあるので、
なんだかガチャガチャ興奮している内にあっという間に終わってしまったが、
一発入場の幸運に感謝しなければいけないのかもしれない。
 
帰りの船では大仕事をやり遂げた後の満足感と安堵感みたいなものが
みんなにも添乗員さんにもあるようで、
スムーズな流れの中でたくさん出来たカプリ島の自由時間に
驚くほどの大量のお土産物を買い込んで帰るメンバーの姿があった。
 
私もそのひとり、
レモンピールのチョコに、オリーブの柄のついたオリーブ専用小鉢、
レモンの絵柄のチーズカッター、小皿、
イタリアをかたどったガラスボトルに入ったレモンチェッロというお酒などなど、
重たい、しかも割れ物をずっしり買い込み、
案の定、後で泣きをみることになるのである。
 
 


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