粘土2,4キロを使って創ったてびねりの大皿
目下、シリーズ化している白と茶のマーブル模様のオーバル鉢
久しぶりに陶芸工房に行ったら、
5月に釉薬をかけた何点かの陶芸作品が焼き上がっていた。
少し間が空いているので、自分の作品ながら新鮮な感じだ。
今回の目玉は何といっても黒い大皿で、
2月3月のテーマ作品だった。
工房では基本、何を創っても許されているが、
テーマ作品というのが2ヶ月ごとに設定されており、
いままでに「れんげ」「板作りの重箱」「蓋のつく器」「どんぶり」などなど
日常使われる器の中から、先生が決めて課題として出され、制作してきた。
私はてびねりしかしない上に、あまり興味が持てなければ課題は無視するという
勝手な生徒なので、
今まではやったりやらなかったりだったが・・・。
今回の課題の大皿は、「直径28センチ以上を目指して創ること」というルールだった。
大物ばかり創るハギワラさんとしては、やらないわけにはいかない課題だ。
しかも、今までそこまで大きなお皿は創ったことがない。
お皿はどんぶりなど深さのあるものに比べ、
平らにした時、粘土がだれて落ちないないようにするのが大変だし、
均一に28センチの直径まで粘土を延ばすのが難しいことは容易に想像できたので、
逆にやってみようという気持ちを駆り立てられた。
焼きあがりが28センチになる為には
焼成で縮むから、生粘土の時、31~32センチの直径のものを創らないといけない。
焼きあがりが28センチになる為には
焼成で縮むから、生粘土の時、31~32センチの直径のものを創らないといけない。
しかも、
陶芸は大物になればなるほど、途中で割れたり、ひびが入るリスクが増す。
最初の乾燥、1回目の素焼き、釉薬をかけた後の本焼きと
段階が進む度に、
粘土の厚みが均一でなかったり、無理な力がかかっていたりすると
簡単に割れたり、ひびが入るので、ドキドキものだった。
しかし、今日、工房の大きな作業台の上に自分の黒い大皿を見つけた時、
案外、想像していたとおりに焼き上がっていたので、内心、小躍りして喜んだ。
今日の工房は先生含め、男性ばかり7人に女性は私だけだったので、
人の作品の品評会はしないまま、まずは黙々と新作の作陶に励んだ。
これが女性の多い日だと、
すぐさま焼き上がったみんなの作品をわいわい批評し合うのだが、
男性陣は人の作品については褒めもけなしもしないので、つまらない。
結局、作業時間の途中で、一度手を休め、先生の講評を聴くところまで
焼き上がった作品についてはノータッチだった。
講評ではまず先生が私に「ご自分ではどうですか?」と訊いてきたので、
内心、先生はいいと思っているのか、大したことないと思っているのか
計りかねるところがあった。
でも、正直に「案外、自分が狙った感じに焼き上がってきました」と言うと、
いきなり「これ、いいよね」と周囲の男性陣に念を押すような感じでおっしゃった。
「この30センチの大皿という大きさに対して、
ハギワラさんらしいドーンとした感じで釉薬もかかっているし、
お皿の縁の厚みも厚くてどっしりしている。
みんな縁が薄くて何だか頼りないんだよね。
縁のこと、もっと気にした方がいいよ」
そんな風に女性なのに、誰より男性的と褒めてくださった。
それは喜んでいいのか、よく分からないが、
とにかく狙っていた感じにたっぷり黒天目の釉薬がかかり、
縁の白い失透という釉薬が黒と混じって、なかなかいい表情を創ってくれた。
焼きあがりの皿の重みや厚みも、大皿として求めていた感じに焼き上がった。
(生粘土の時と焼きあがりでは大きさも重さも全然違ってしまう)
10月の初めには、県民ギャラリーで工房の作品展がある。
その時はひとりずつテーブルを担当して、自分の島を作るのだが、
それとは別に今年は「大皿コーナー」を作るらしい。
まだ、自分のテーブルをどうするかコンセプトが煮詰まっていないが、
大皿コーナーにこの黒天目の大皿を出品することだけは決まった。
出来上がり寸法、直径28㎝。
ここまで大きなお皿は創ったことがなかったのに、
何とか最後まで割れもひびもいかずに焼き上げることが出来た。
その上、ある程度、狙いどおりの釉薬の感じに焼き上がったのだから、
これはもうビギナーズラックとしか言いようがない。
まだ、陶芸は始めて3年半。
2年ぐらい前は、焼きあがりの度に、割れるもの、ひびが入るものがあって
その度に悲しい思いをした。
最近は少しだけ粘土との対話ができるようになって、
相手がなりたがっているものがわかる時がある。
きっと野菜とか肉もなりたい料理があるのかも・・・。
人の気持ちも、粘土の気持ちも、野菜や肉の気持ちも、
深く息を吸って素直な気持ちで、相手に耳を傾け、わかるようになれれば、
世の中、もっとうまくいくことだろう。
10年選手のおじさま達が、首をひねりつつ私の大皿をひっくり返してみていたが、
今回の勝因は「無欲の勝利」
「黒いでっかいお皿に揚げ物をドーンとのせた~い」
ただそれだけの食欲の勝ち。
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