2015年12月5日土曜日

陶器のオブジェ

 
 
 
 
通っている陶芸工房では3ヶ月に1つ課題が出て、
それを意識して制作することになっている。
 
10月からの課題は『置物』だった。

置物という課題ですぐに思い浮かんだのは沖縄のシーサーだったのだが、
周囲の人達は
 置物の捉え方として、通常のお皿やお茶碗ではないとはいえ、
柿の形の蓋ものの小物入れや、
家の形の物入れ、陶器のクリスマスツリーなどを創っている人が多かった。
 
さて、私は何を創ろうか。
 
元々、先生から「縄文人」というあだ名を頂戴して、
自由に作陶してきた私だから、
いつもとは全く違う何かを創りたい。
 
そう考えて、今回は『雪ん子ファミリー』なる人形達を創ることにした。
想像上の人形達なので、人間のこどもというわけではないのだが・・・。
 
大きな白いコートのような花瓶がお母さん。
小さな角のある3体は、お姉ちゃんと弟と年の離れた妹という設定だ。
ハリネズミみたいな2匹はペット。
 
雪山奥深くに棲んでいる雪ん子達。
 
中は空洞なのだが、実はこの人形達、創るのに大変、苦労した。
 
新聞紙をまるめたものを芯にして、粘土を上からかぶせればいいというので、
言われたとおり創ったまではいいが・・・。
 
中の新聞紙があまりにぎゅう詰めなので
新聞紙を詰めたままでは酸欠状態になってうまく焼けないだろうと
先生の指摘がはいった。

しかも、新聞紙を詰めたまま焼くと何とかガスが発生して
電気炉を傷めるかもしれないし、
一緒に焼く他の人の作品にも悪影響が出るかもしれないと脅された。

そんな、人に迷惑をかけてまで、お人形を焼くつもりはない。
 
そこで、人形の底に開けた5ミリほどの穴を3㎝ぐらいまで大きく削って、
その穴から中の新聞紙をほじくり出すことになったのだが、
その硬くて硬くて手強いこと。
 
先生の手まで借りて、
ただ乾かしただけの本体が壊れんばかりの力で、
2時間かかって新聞紙をほじくり出すという大難産の果てに
何とか素焼きに持ち込んだ。
 
素焼きの後も、釉薬はどんな風にかければいいのか、
顔の表情はどうしようとか、
顔に使う絵の具は上絵用のものなのか下絵用のものなのか、
誰も工房でオブジェを創ったことがなく、まったくの手さぐり状態。
 
しかし、今日、工房に行ってみると、
実験的に施した釉薬や上絵用絵の具はなかなかいい味を出して、
結果的にはかわいい雪ん子ファミリーが無事に焼き上がっていた。
 
「いい大人が何を始めたんだ」と怪訝な顔色だった先生も
「えっ、キャラ変えたの」と笑っていた先輩も
「いいのが焼き上がった」と認めてくださった。

本人も「なかなか可愛いじゃないか」と自己満足。
 
大物のお母さん花瓶には赤い薔薇か赤いカーネーションを飾ろうと思う。
 
今日は焼きあがった花瓶ににじみ止めの薬をかけ回し、
お漏らししないことも確認済みだ。
 
『ファーストペンギン』はどこでもいつの世でも風当たりが強く、
勇気がいるが、
当たって砕けろ精神で、これからもいろいろ挑戦しようと思う。

なんてったって陶芸は趣味なんだし、
ダイエットが必須課題の私にとって、
お皿やどんぶりばかり増えてもしょうがないのだから・・・。


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