2015年12月3日木曜日

トリオ リベルタにかぶりつき

 
 
 
 
みなとみらい大ホールで行われた
トリオ リベルタのコンサートに行って来た。
 
誘ってくれた友人がみなとみらいホールの会員だったため、
先行予約でチケットを入手することが出来、
お陰で手に入れたチケットが
1階 Cー1列 22番、友人が23番。
 
これがどういう席かというと
舞台の真ん前、最前列の中央より3人ほど右寄りの席ということになる。

トリオ リベルタというのはピアノ・ヴァイオリン・サックスの3人編成。
 
もちろん舞台の真ん中にはグランドピアノが置いてあり、
ピアニスト中岡太志がそこで演奏する。
 
その右手前がサックスの松原孝政の立ち位置で、
舞台左手前にお目当てのヴァイオリニスト石田泰尚が立つ。
 
いつもはどちらかというと石田さまが見えやすいように舞台に向かって左側に
席を取ることが多いのだが、
最前列中央というのは
トリオリベルタのコンサートでは友人も私も初めての経験だ。
 
さて、実際に自分の席に着いてみた。
 
真ん前、3メートル50ぐらいのところに松原孝政がいる。
しかも舞台と床は3段の階段状になっているので、
トントンと3~4歩上がれば、抱きつけるぐらいの近さだ。
 
そして、松原さんの真横3メートルぐらいのところに石田さまは立っている。
石田さまの真ん前には譜面台が斜めに置いてあり、
中央に向かって斜めに立っているので、
私の位置からは4メートル先ぐらいのところに、正面の顔が見えることになる。
 
いつもはいくらなんでももう少しひいた位置から全体象と横顔をみながら
演奏を聴いているのだが、
今夜はとにかく譜面台をみているとは分かっているが
譜面台越しの真っ正面に石田さまの顔がある。

つまり、松原さんと石田さまと私は直角三角形の3点の位置にいることになる。
 
2時間15分、
その石田さまの細い指先から紡ぎ出される繊細かつ、ドラマチックな音色。
完璧なテクニックに裏打ちされた飽くなき追求心、
石田さまの音楽を愛する情熱を、直球で受け取ったような気持ちだった。

もちろんその表情、初めて間近に見る指先も手に取るように見えている。
 
友人は私より更に上をいく石田ファンなので、
私の右隣から私の目の前を横切って石田さまに視線を送り続けていた。
 
しかし、私は真っ正面にサックス奏者の松原さんがいるので、
それを無視して左斜め前ばかり見ているわけにもいかず、
松原さんにも気配り目配りしながら、
そのダイナミックで温かで迫力たっぷりのサックスの音を存分に楽しんだ。
 
ピアノの中岡さんもノリノリだったし、
今夜の演奏は3人の息がいつになくぴったりで、
テンションも高く、トリオリベルタとして出色の出来映えだったと思う。
 
選曲は前半にミシェル・ルグランの映画音楽や
エンリオ・モリコーネのニューシネマパラダイスなどを彼ららしいアレンジで。
後半はピアソラづくしだったので、
ベスト オブ トリオリベルタとでもいうようなラインナップだった。
 
持っているCDに入っている耳なじみの曲が多かったが、
彼らのお得意の曲を目の前で聴け、
しかも、至近距離で自分のために弾いていてくれると錯覚できる幸せ。
 
友人と、帰り道、こんなことを話した。
「今まで、このビジュアルの部分が足りなかったのね。
今日は本当に満足だわ」と。
 
特段イケメンなわけでもないし、
無口で愛想のない人なのに、
それでも側でずっと観ていたい。
なるべく1㎝でも近づきたい。
 
それがファン心理というものなのか。
 
いつになく最前列でかぶりつきの醍醐味を味わい、
興奮冷めやらぬ夜なのでした。
 


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