2017年5月16日火曜日

ふたつの茶の湯展をハシゴして

 
 
 
 
お茶のお稽古に通うお茶フレンドふたりと誘い合わせて、
東京で開催されているお茶道具に関する展覧会ふたつに行ってきた。
 
お茶道具の展覧会としてはいずれも最大級の品揃えだというので、
1日で2箇所を巡ることにした。
 
1箇所は上野の東京国立博物館の『茶の湯』展
もう1箇所は竹橋の東京国立近代美術館の『茶碗の中の宇宙』展
サブタイトルは『楽家一子相伝の芸術』
 
私達3人は神奈川県人なので、上野と竹橋はかなり遠い上に
両方ともかなりの人出だという噂なので、
とにかく上野に開館時間の前に着いて、1番に入館することを目指した。
 
先ず、両展共通のチケットを事前に手に入れることで、
券売機の列に並ぶことを回避。
次に9時半の開館時間に対し、8時57分に上野に到着し、
9時3分には博物館前の門に着くことで、
先着10番目ぐらいの位置を確保した。
 
案外3人でおしゃべりしていると朝の通勤ラッシュも、博物館前の列も、
難なく時間が過ぎ、
案内の男性に誘導され、開館してすぐの展覧会場に入場できた。
 
こちらの展覧会は茶の湯がどのようにして始まり、千利休によって確立され、
その後の時代に受け継がれていったのか、
様々な代表的な茶道具を通して分かるよう展示されている。
 
私達3人はイヤホンガイドも借りて、
うろ覚えの茶道の知識だったものを、
解説付きで観ることにより理解を深めることにした。
 
利休の好みは侘びの世界だが、時代が変われば道具のテイストも変わる。
 
あまたある茶碗や茶入れ、水差しなどを眺める内に、
「この展示の中の茶碗でお茶を一杯飲めるとしたら、自分ならどれを選ぶか」という
問いかけをしながら会場の茶碗を観て廻っていた。
 
出口のところで合流したひとりに同じ問いかけをしたところ、
「長次郎の黒楽」というので、長次郎の黒楽の展示のところまで一緒に戻ったところ、
ふたつ並んだ長次郎の黒楽の内、ひとつが彼女好み、
もうひとつが私の好みだった。
 
ふたりともお茶をやっているので、茶碗を観ているだけで、
手に取ったときの感触が何となく分かるし、
茶筅が振りやすそうとか、飲み口のあたりがよさそうとか感じることが出来るので、
自分の好きな茶碗が決まるんだなと思う。
 
長次郎とは楽茶碗の創始者で、
千利休に頼まれて利休好みの侘びた茶碗を創り出した人。
 
午後からの楽家15代の茶碗の変遷を観る展覧会の方は
もちろんその長次郎の黒楽の茶碗から展示が始まるので、
通しで観られたのはよかったなと思う。
 
このふたつの展覧会場を行き来するシャトルバスが出ていたので、
私達は9時半の一番に会場入りし、
11時15分には入口のシャトルバスの停車場に並んで、
無事、無料で竹橋まで移動することが出来た。
 
12時には近代美術館の中のレストラン・ミクニの予約が取ってあったので、
まずはフレンチのコースで腹ごしらえ。
2時間ほど食べたりおしゃべりしたりしてから、楽家の茶碗の鑑賞に。
 
すべての段取りがとてもスムーズに進み、
お天気も薄曇りで暑くもなく寒くもなく、
「早起きは三文の徳」を地でいく素晴らしい1日であった。
 
陶芸を趣味にしている私としては、次の作陶のイメージも掴めたし、
お茶人としては、それぞれに造詣を深め、好みを再確認できたと思う。
 
今日観たウン百万円もするような高価な抹茶椀でお茶を飲むことは
この先もないかもしれないが、
連綿と続いたお茶の世界に思いを馳せることが出来、
あたかも手に取り、飲み口に口をつけたような気分になれた豊かな1日だった。
 

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