今年も玄関前のアプローチの白い薔薇が満開になった。
近所では白い薔薇のおうちと言われているらしいが、
実はこの薔薇、20年ものの薔薇で私が植えたものではないので、
あまり気に入っていなかった。
とにかく生命力が強すぎて、フェンスに這わせる前はところ構わず伸びては、
枝を切る度にとげで怪我をしていたし、
フェンスに這わせたら這わせたで、他の時計草や赤いミニバラを押しのけ、
どこどこまでも伸びる。
5月には一斉に花を咲かせるが、
8月には花の咲かない長い茎が何本も塀からぶら下がり、
近所で「しだれ薔薇」と呼ばれる始末。
第一、私好みの薔薇はもっと花弁が少なく、香り豊かな絵になる薔薇なのに、
この薔薇ときたら、まるで小学校の運動会の時、
入場門に飾られる薄紙のポンポンみたい。
花弁の数なんか多すぎて何枚あるか分からないし、
ひとつ枯れかかって散ると、そこら中が薔薇の花びらになるので、
掃除が大変だ。
剪定の時期になると、どこでかぎつけたか、
ご近所さんが「挿し木にするから、少し茎をちょうだい」と言ってきたりするが、
内心、「この薔薇のどこがいいんだか」と思っている。
ところが、今年の薔薇の咲きっぷりといい、清らかな白さといい、
いつもの年とは何だか違う。
まるで、もう少しで生まれる初孫の誕生を待っているかのような初々しさだ。
しかも、たんまり咲いて、ゴージャスでもある。
予定日は5月下旬なので、その通り生まれたとしても、
退院して、長女が孫を連れて帰省する頃には、完全に散っているか、
もしくは枯れて、洟をかんだ後のティッシュが枝にくっついたみたいになっているだろう。
それでも、今は「早く生まれておいで」
「ちゃんと生まれておいで」と言っているように見えるから不思議だ。
単に心待ちにするばぁばの気のせいだとは思うが、
清く美しい白薔薇をしばし楽しもうと思う。
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