2019年4月5日金曜日

映画鑑賞「記者たち」

 
映画「記者たち~衝撃と畏怖の真実~」を観てきた。
 
2001年9月11日に起きたテロによるニューヨークの爆撃から、
イラク戦争に突入していくアメリカ政府を、
記者と記事という視点で、その真実を暴く社会派の作品だ。
 
イラク戦争はブッシュ大統領の演説によって開戦した。
 
「イラクは大量破壊兵器を隠し持っている。
それを使われたら世界はおしまいだ」という
当時の演説がそのまま映像に出てくる。
2017年に制作されたものなのに、
当時の殺気だった空気をそのまま映し出しているようで、
一瞬も気が抜けない作品だった。
 
先ず最初に、イラク戦争に従軍した若い黒人兵士が車椅子にのって、
公聴会に出廷するところから映画は始まる。
 
彼はバーを営む両親の元に生まれた極普通の少年だったが、
9・11以降の政府の考えに看過され、
志願してイラクへとおもむいた。
 
しかし、現地で乗っていた車を爆破され、脊髄損傷し、
弱冠19歳で負傷兵となって帰国したのである。
 
彼は問う。
「なぜ、戦争をしたのか?」
 
アメリカはなぜ、当時イラク戦争に突入したのか、
過去にベトナム戦争でも膨大な数の兵士を亡くしているのに、
なぜ、また、イラクへと兵士を送り込んだのか。
 
政府の要人たちは戦場におもむいたことがないくせに、
何の正義をかざして、
若き子ども達を戦場に送って犠牲を出すのか。
 
それが、アメリカの負うべき正当な理由ではなく、
戦争ありきで作り上げられたでっち上げの記事が発端だとしたら?
 
事実、イラク戦争の結果、
イラクからは大量破壊兵器はひとつも見つかっていないのに・・・。
 
ナイト・リッダーという弱小新聞の記者がつかんだ
戦争へ突き進むために行われた情報操作とは。
 
 
 
私にとって、先週、偶然にもイラクという言葉が身近だったので、
思わず観にいったのだが、
全然、違う意味で面白い内容だった。
 
世界で戦争のない時代はないのが現実だが、
そこにはどこかに好戦的な指導者がいるという事実がある。
 
日本は平成という30年間、戦争を経験せずに過ごすことが出来た。
しかし、今、世界の空気はすこぶる不穏だ。
令和の世の中が、戦争を知らずに平和に終わることが出来るか。
 
つい先日、自分の身に降りかかった仮想の戦争でさえ、
おもむいた人の無事を切望したぐらいだから、
これが本当に自分の息子を戦地に送るなんてことになったら、
家族は耐えきれないに違いない。
 
人が踊らされてしまうかもしれない情報操作、
「フェイク・ニュース」の言葉に象徴されるような記事の真実と嘘とは何か。
 
なかなか平和ボケの日本ではあまり考えないような硬派な内容で、
興味深い映画だった。

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