昨年の4月に開催予定だった個展は
コロナの緊急事態宣言を受け、1年延期になった。
全く同じ作品を並べるだけでは
意味がないと思って、
コロナによる自粛の時に考えたことと
コロナ禍の中で生まれた孫を見て思ったことを
新たに2点の作品にした。
その作品を延期になった今回の個展の案内状に使うつもりで
来週には作品の写真撮影が予定されている。
この1年は気分的にまず落ち込んで
制作意欲が湧いてこなかったので、
新作はようよう創ったこの2点だけになるかと思われたが、
ここまで来て、
個展用の小品も新たに2点創ろうという気になった。
先の2点は大きな作品なので、
お買い求めいただけるかというと難しいかもしれないので、
もっと手軽にお求めいただけるサイズのものを
個展の際には用意するのが通例である。
それでもテーマはやはりコロナ禍で感じたこと、
大切にしなければと思ったことで、
それを紙や布でラッピングされている箱や缶で
表現してみた。
そのうちの1点がこのブルーの作品だ。
作品の本摺りは
和紙を湿気らせた状態を保つため、
部屋は加湿器をガンガンたいているし、
和紙は段ボールと古い新聞紙を湿らせ、
その間に挟んで、乾燥を防いでいる。
段ボールは黄ボールと呼ばれる画材屋さんで購入したもので、
新聞紙はその都度、配達されてから10日以上経っている
枯れたものを使用する。
重しをするので、インクが和紙につかないようにするためで、
新聞の配達日は気にするが、
書かれている内容は気にしたことがなかった。
ところが、今日の作業中に
ふと紙面の文字に目が留まった。
「毎日、お疲れ様でございます!
ひざ・腰・肩に痛みはございませんか?」と、ある。
思わず、「痛み、あります!」と言いながら、
あまりのタイムリーさに
思わず笑った。
サプリメントの広告文で、
広告としては昭和感漂う古い感じのものだったが、
私が摺りをしている時には
常に、ひざ・腰・肩の痛みと戦っているので、
正にこれだ!と思うような広告だったのである。
幸い今回の小さめの作品を摺っている分には
さほどの痛みはないのだが、
摺りは正座、もしくは片ひざついた姿勢で、
前のめりになっているので、
いつも整体の先生に呆れられるような
ひざ・腰・肩の状態になるのが常だ。
このサプリメントは
特段、木版画家のために作られたわけではないだろうが、
あまりにドンピシャ
今の自分の状態を心配してもらったようで
おかしかった。
今日の摺りは途中でこんな面白エピソードがあったせいか、
ルンルン気分で、
ミスもなく、
つつがなく12枚を摺り終えることができた。
これで枚数的には
個展をするのに十分な点数が揃ったことになる。
気がかりなのは
たとえ緊急事態宣言が解除になっても、
どの程度のお客様が銀座まで足を運んでくださるか。
ここで心配しても埒が明かないので、
今、自分ができることをして、
準備するしかないと思っている。
4月、桜が咲き、
春爛漫の陽気になり、
さあ、銀座にでも繰り出すかという気分に
皆さんがなりますように!
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