今年も松山のミカン農家のおっちゃんから
「弓削瓢柑」が箱一杯届いた。
松山のおっちゃんはすでに我がブログに
何度か登場しているので、
ご存じの方も多いとは思うが…。
3年前の春、
クロアチアに旅した時、
偶然、同じ日に申し込み、
旅をご一緒したという間柄だ。
「袖振り合うも他生の縁」といった程度の
知り合いのおっちゃんS氏なのだが、
旅行から帰ってすぐから、
年に4~5回はおみかんが届く。
最初に届いたのがこの「ゆげひょうかん」で
初めて見た珍しい種類だったが、
皮が厚いので
マーマレードとショコラオランジェに仕立てたら
とても美味しかったので、
以来、これが送られてくると
マーマレード作りにいそしんでいる。
今年は4月半ばの個展の折に
おっちゃんは
「本当なら会場に行きたかったんだけど、
コロナで行けずにごめんね」と言って
立派な胡蝶蘭を贈ってくださったので、
気持ちに応えるべく
ここは気張ってマーマレードを作らなければ。
胡蝶蘭とゆげひょうかんのお礼として贈った
「八海山大吟醸」は
松山では手に入らないからと
とても喜んでくれたので、
とりあえずのお礼はしてある。
しかし、
「こんなん作ったよー」とマーマレードを送ると
毎年、奥さんの方が喜んでくれるからだ。
だが、今年のゴールデンウィークは
コロナのせいもあって
次女が実家に帰ってこなかった。
毎回、ふたりでキッチンにこもってする作業を
今年はひとりで黙々としなければならない。
1年前も緊急事態宣言が出ていて、
なんとも重苦しい感じだったが、
1年経っても、事態は大して改善しておらず、
ワクチンの見通しも見えていない。
朝8時半、
今年は個展でいただいた甘いお菓子が
まだ大量に残っているので、
ショコラオランジェよりマーマレードを
たくさんつくることにし、
箱からあらかた弓削瓢柑をキッチンに移した。
5㎏分を一気に
マーマレードにしようと思う。
まず、家にある大きな鍋という鍋を出してきて、
一番大きな炊き出し用かと思うようなふたつで
主に煮込むことにした。
ひとつカレー20皿分はいける容量なので、
相当量のマーマレードができるはず。
この2年、せっせと溜めたジャムの瓶と
生協のトマトペーストの瓶を
まず、熱湯消毒する。
そして、弓削瓢柑のヘタを取り、きれいに洗ったら、
皮目に切れ目を入れ、
実と皮を分ける。
皮の内側の白いワタは全部つけたままだと苦いので、
スプーンでこそげ取る。
これがへばりついていてなかなか取れない。
ナント5㎏のミカンの白いワタを
こそげ取るだけに1時間もかかってしまった。
娘とふたりで作業していた時は
なんのかんのとおしゃべりしているので、
さほどの時間には感じなかったのだが、
ひとりで黙ってただ手を動かしていると
びっくりするほど時間が経っている。
その後、みかんの皮を茹でこぼすこと3回。
ふたつの鍋なので6回沸騰させたことになる。
マーマレード作りは
このワタを取るというのと
煮こぼすという、実に地味な作業が大切で
これを怠ると
苦いマーマレードになってしまうのだ。
煮こぼしている間に
実を房から外し、
タネは別途、分けておく。
タネは茶葉に使用する袋に入れて一緒に煮ると
とろみがつくので、捨ててはいけない。
煮こぼした皮を細切りにしたら
いよいよ煮込み開始。
2.5㎏ずつふたつの鍋に分け、
それぞれ約1.3㎏ずつ、グラニュー糖を上から加え、
水気は一切加えず静かに火にかける。
水分が徐々に上がってくるので、
焦げないように上下を返し
砂糖が溶けるようにかき混ぜる。
あとは鍋の顔色を伺いながら
少し飴色になるまで
計2時間ほどコトコト煮込む。
さほど難しい作業はないが、
ただただめんどくさいし、
時間がかかる。
終わってみれば、
3時45分。
今日の東京の新規感染者の速報やら、
緊急事態宣言の解除の目安やら、
いつもどおりのニュースを一通り見終わって、
ようやく瓶に詰め終えた。
空気が入ると傷みやすいので、
満々一杯あふれるところまで詰め込んで、
蓋をした。
19個の大と中の瓶
そして、ドレッシングボートに1杯分という
大量のマーマレードが完成した。
もちろんこれをダンナとふたりで消費したら
年単位でかかると思うので、
松山のおっちゃんや娘たち、
これから先、お目にかかる方や友人に
おすそ分けしようと思っている。
まだ、箱にはいくつか弓削瓢柑は
残っているが、
それをさらにショコラオランジェに仕立てる元気は
今のところ出てきそうにない。
本日のマーマレード工場は
これにて
「閉店ガラガラ」である。
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