2022年6月27日月曜日

血圧上昇やむなしの日々

 














まだ6月だというのに
昨日の横浜は35℃越えの猛暑日になった。
この分だと今年の夏の暑さは
相当、厳しいものになるだろう。

そんな暑さの中、
個人的には忙しい日々が続いていて、
なかなかその日のうちに
ブログをアップする余力が残っていない。

今日は月曜日の朝だが、
先週も連日、
詰まった予定をあれこれこなしていた。

6月の第3週に紫陽花展があったので、
13日から19日までは
イレギュラーに連日、お客様をお迎えし、
たくさんの方に作品を観ていただいた。

その嬉しい1週間が終わると、
そのしわ寄せのように
第4週にはいつもの予定が押し寄せる。

長女宅のばぁばご飯作りや
お茶のお稽古、
パティシエ学校の非常勤講師、
何本かの心理カウンセリングなどだ。

しかも、5月の陶芸展で注文いただいた器の
削りと更なる作陶のために
木曜日の午後は追加の使用を願い出て、
工房に籠って器の制作をした。

そんな風にウィークデーや土曜日は
連日、外に出る予定が入っていたので、
結局、自宅のアトリエで制作するというような
仕事は日曜日にやらざるを得なくなる。

新作の原画を起こし、
トレッシングペーパーに写した
「トレぺ原画」が出来ていたので、
なるべく早く、しかも1日のうちに
それを版木に転写する作業をしなければ…。

なぜなら、
トレぺは湿度で多少伸び縮みするので、
同じ天候の日に一気に作業したいし、
1日で写し終わらないと、
ゲージが変わると言って
人間の生理的な感覚が変わってしまうので、
やはりズレの原因になってしまうからだ。

というわけで、
日曜の朝8時から、
版木に原画を写す「版木転写」という作業に
取り掛かった。

今回の作品は版木1枚の大きさ90×60を
一回り小さくしたサイズの大きな作品なので、
版木の中には「カギ見当」と「ひきつけ見当」を
作ることが出来ない。

そこで必要になるのが、
外付けの見当版ということになり、
トレぺもあらかじめ見当のところで裁ち、
見当版に合わせてから鋲で固定し、
カーボンを差し込んで
水性ボールペンでトレースしていく。

私の作品は色数が多いので、
その分、版数も1版だけというわけにはいかず、
大体は10版前後の版数になる。
それで使用する色の数は25~30色ぐらいだ。

昔の浮世絵は1版1色だったので、
10版10色などざらにあったが、
それも作品サイズが小さいからできたし、
それだけ版木の数が膨大でも
売れたので、元は取れたに違いない。

今回は大きな作品故、
1枚に1版しか取れないので、
(いつもは1枚の版木に2~3版入れる)
10版も作ったら、
いくら両面彫れる版木とはいえ、
版木が5枚になってしまう。

私は版木はどんなに多くても3枚までしか
使わないと決めているので、
どこでどのように取るか考えながら、
何とか3枚に収めて版木転写を終えた。

朝8時から作用して、夕方5時まで。
途中、やむなく中座し
レトルトカレーを温め、胃に流し込み、
強炭酸で割ったカルピスを飲んで、
気合を入れた。

汗で手がべたつくと
その湿気でトレぺが伸びるので、
版のズレを誘発しないよう、
こまめに手を洗いながら、
集中力だけは切らさないよう
細心の注意力と持続力も総動員して、
何とか、1日のうちに転写し終えることが
できた。

そこから、夕飯はレトルトというわけには
いかないので、
鶏の甘酢あんかけとキャロットラぺ、
新わかめのポン酢あえ、
レタスとじゃこのサラダ、にら玉を作った。

目が鳥目のようにかすみ、
手がじんじんしびれている。
腰がギシギシしていることは言うに及ばず。

しかし、達成感は半端なし。
キーンと冷えた白ワインが美味い。

土曜日の昼過ぎ、医者に行って、
いつもの降圧剤をもらおうとしたら、
下はまあまあだったが、
上の血圧が140を割らない。
3回測ってもらったが駄目だった。

午前中にカウンセリングが2件入っていて、
約3時間しゃべっていたと言ったら、
「そりゃ、無理ですね」と言われた。

でもって、日曜日は版木転写に
9時間かかり、
今日はこれからカウンセリングが3件。
4時間半はしゃべるだろうか…。

カウンセリング、口先三寸で人助け、
わたしゃ、血圧が急上昇して、
ぶっ倒れるまでこの調子か?

バカは死ななきゃ治らない。
アーメン。






















2022年6月22日水曜日

石田様 本を出版

 










ヴァイオリニスト石田泰尚の自叙伝と言おうか、
何と言おうか、
とにかく自分のことを書いた本が出た。

本自体は1cmほどの薄いものだが、
石田様の写真が満載で、
彼のヴァイオリニストとしてのポリシーや
母親のこと、若き日のことなど、
ファンにはたまらない内容の本である。

石田様は見てのとおりのコワモテだし、
コンサートなどでは口数も少なく、
ただただ見た目とのギャップの激しい
美しく繊細な音色のヴァイオリンを奏でる
名手だということしか分からなかった。

しかし、石田様の実力と人望とで、
彼を慕って共に演奏したいと思っている
演奏家はあまたいるので、
そのあたりの理由を知りたいものだと思っていた。

この本は
石田泰尚49歳のこれまでと現在を
いろいろな角度から暴いて見せてくれ、
とても面白い読み物だった。

タイトルは
「音楽家である前に人間であれ!」
しかし、中身は読めば読むほど、
人間である前に
まんま音楽家であるということがわかる。

彼は高校3年で音大を目指したとあるが、
ヴァイオリンを始めたのは3歳だし、
国立に入学した時には
すでにヴァイオリンの腕前は鳴り物入りだった。
そして、国立を首席で卒業。

その後、どんな経歴かは
ミーハーなファンの私は初めて知ることも多く、
中でもチェロの小野崎純先生からの苦言と
N響のマロさんからの助言は
彼の心に響いたようで、
とても興味深かった。

そのど派手なファッションはどこのものなのかや、
なぜ、そんな恰好をしているのかなど、
単に好みであるだけでなく、
彼一流の自分へのプレッシャーのかけ方も
知ることが出来た。

また、昔からお母さんとの仲の良さは
有名だったけれど、
お母さんが作ってくれたブラウスを
ステージで何度も着ているし
今も大切にしていることもわかった。

しかし、そのお母さんが数年前に
突然、亡くなり、
その時の石田様の様子や気持ちなども
書かれている。

もちろん、2台のヴァイオリンについても
詳しく書かれているが、
私と友人が本妻ヴァイオリンと呼んでいる
ヴァイオリンと
愛人ヴァイオリンと呼んでいるものの
音色の特徴は
石田様自身の感じているものと
私たちの感想とは違ったので、
少しびっくりした。

しかし、2台をどう使い分けているのかが
分かり、
今後はコンサートにいっても
そのあたりを注視できるだろう。

いずれにせよ、
石田泰尚49歳、
ヴァイオリニストとして最も脂ののった
この時期、
彼のプライベートなことまで分かって、
ミーハーファンとしては
いろいろな意味で収穫があった。

石田様が石田組をいかに大切にしているかを
知ったので、
今後はもっと石田組のコンサートも
観に行こうと思う。

ギャップ萌えだと思っていたが、
真摯でまじめでシャイな部分と
自信と直感とこだわりの両面があるんだと
よく理解できた
ファンにはたまらない1冊である。

















2022年6月19日日曜日

千客万来の千秋楽

 










紫陽花展も今日が最終日。
火水、土日と4日間当番として
ギャラリーに詰めていたが、
お客様のご来訪にはずいぶん波があった。

14日火曜日の11時、
埼玉の所沢から駆けつけてくれたママ友Sさん、
陶芸教室のYさん、
お茶のお稽古のKさんと立て続けに
来てくださり、嬉しい悲鳴。

それぞれが違うステージでのお友達なので、
一緒にお話しすると失礼があるかしらと
右往左往。

その後もご近所のコンサートやご飯を共にしつつ、
私の器のファンでもある3人組。
元の絵画教室の生徒さんなど、
私が八方美人におつきあいしている方が
次々に来てくださった。

それに比べ、15日と18日は
「在廊予定です」と書いたにも関わらず、
カーカー閑古鳥。

そして、いよいよ最終日の今日。

朝、11時前に画廊に着くと、すでに人影が…。
陶芸工房で知り合って間がない男性と女性が、
陶芸工房の先生が意識している萩原は
どんな作品を創るのだろうと
興味をもってくださった様子で、
初めてのご来訪。

このおふたりは工房の先生の元生徒さん。
当時、同じ高校の同級生だったとか。

彼らにとっての怖い先生に、
平気で意見する私に
興味津々という感じだった。

おふたりに
ギャラリーで作品の説明などに追われている内に
次は我が親族ご一行様の到着。

長女一家4人と次女がにぎやかにやってきた。

紫陽花展のメンバーには
孫1号の志帆の誕生の時から心配してもらい、
毎年、当人たちもギャラリーに来ているので、
他のメンバーもその成長を喜んでくれている。

「ほらほら、萩原さんのご一行様、到着よ」と
関内から歩いている姿を発見して、
知らせてくれる。

今回はすっかりお姉ちゃんらしくなった志帆と、
ぷっくぷくの由依は
笑いを誘いつつ、ギャラリーの空気を
一気にかっさらっていく。

そこへ、今度は40年来の昔の友人登場。
初めての海外転勤の任地でご一緒し、
共に同時期に子どもができ、
一喜一憂した戦友のようなふたり。

今は二人とも介護に明け暮れる日々の中、
それぞれ遠方から駆けつけてくれた。

そして、
嵐のように親族と旧知のご一行が過ぎ去り、
今度はパティシエ学校の講師仲間の女性が
初めてのご来訪。

今まで、学校の中でご一緒しても、
プライベートな話にはならなかった方だが、
教えている科目が
シュガークラフトなので、
創作系のものには興味がある様子で、
とても感激したといいつつ、
会場中の作品を丁寧に観てくださった。

そして、極め付きはご夫婦そろって
着物でご来訪の陶芸教室の仲間Aさん。

最初は奥さんひとりで見えるはずが、
ダンナさんもひとつ用事を済ませて、
着物姿ではせ参じてくれた。

おふたりは元学校の先生同士なので、
教師とはかくあるべきという信念の元、
5月に終わった陶芸展について、
陶芸工房の先生と陶芸展の運営の仕方の話で
大いに盛り上がった。

そして、思いがけず、
最後は小品をお買い上げ。
玄関の一番目立つところに
飾ってくださるという。

千秋楽の展示は午後4時でおしまいで、
店じまいになるのだが、
その時間を待って、お買い上げの小品は
壁から外し、そのままお持ち帰りいただいた。

今日は1日、
40年来の古い友人から親族、
初めて来てくださった友人達と、
着物姿のご夫婦と
実にバラエティに富んだメンバーが
訪ねて来てくれた。

かくして無事に2022年度の紫陽花展も終わり、
壁の作品は各自、運送の業者さんに
手渡され、家路についた。

それなりに忙しくて、楽しくて、
ちょっと疲れたグループ展が閉幕し、
また、1年後の契約書を手に、
来年への制作の決意を新たにした。

紫陽花展という
誰かひとりが前に出ることなく、
かといって馴れ合いにもならず、
程よい距離感で切磋琢磨できる仲間を得て、
本当に良かったと再確認した。












2022年6月16日木曜日

展覧会をだしに旧交を温める

 














紫陽花展の期間中には
多くの友人たちが駆けつけてきてくれている。

主には横浜周辺に住んでいる友人に
声をかけて来ていただくようにしているが、
中には埼玉県の所沢からとか、
東京の代々木からという友人もいる。

そういう方とはゆっくりじっくり
この機会におしゃべりして、
近況報告をしたり、昔話をしたりして、
旧交を温める時間が欲しくなる。

先月の陶芸展といい、
今回の紫陽花展といい、
何人かの方は私の作品の展示にかこつけて、
観に来ていただいた後の
ご飯を食べにいくのがメインだったりする。

今日は代々木からのお客様、
毎年のように海外旅行に行っていた友人が
来てくれるというので
奮発して「クイーン・アリス」を予約した。

アリスのプリフィックスのコースの
メニュー表をつらつら眺めながら、
ママ友グループでアリスに来たのは
かれこれ20年ぐらい前になるかもという
話に花が咲いた。

その頃は、私たちの娘たちは高校生、
同じクラスのママとして、
学校のバザーのお手伝いをしたり、
ママ友ランチなどに行くうちに
遂には彼女とは海外旅行にまで行く仲になった。

当時から私が展覧会をすれば、
必ず観に来てくださる
私の大切なパトロンでもある。

今日もつもる話が二転三転しながら、
目の前の見目麗しいお料理に
舌鼓を打ちつつ、
おしゃべりもしているので、
時間の経つのの早いこと。

春先に会った時には
彼女が難しい資格試験に挑戦して
一発合格したと聞き、
びっくり仰天したが、
今は、新たに長いこと続けている
なぎなたの審判の資格を取得するために
これから長い研修の後、
年末に試験を受けるという。

あくなき向上心に再び驚くとともに、
60代のやりがいが
次世代に襷を渡すことにあるというのは
発達心理学の観点でも実証済みだと説明すると、
これからやろうとしていることに
彼女の納得が得られたようだった。

同年代の友人が
生き生きと生きる道を見つけ、
こんな時代でも前を向いて歩いているのを見ると、
我がごとのように嬉しくなる。

そのことを確かめるために
私の展覧会はあるような気さえしてくる。

アリスの美味しいお料理とデザートと
友人の近況報告にパワーをもらい、
明日のパティシエ学校の講師とカウンセリングも
頑張ろうと思った。

明日のテーマは「性格分析」
さあ、授業のプランを立てなくては…。

夜のカウンセリングは新規のクライアントさんで
16歳の高校生。

いずれも60代の私が
若い人たちの道しるべになれるよう、
しっかりナビできればと思う。























2022年6月14日火曜日

雨にけぶる紫陽花展

 






自作の器とチョコ

萩原季満野コーナー

雨音

朱い橋

古都の雨

雨にけぶる街

緑雨










第22回 紫陽花展が始まった。

かれこれ4半世紀に及ぶこのグループ展、
会を追うごとに作家はひとつずつ年を重ね、
あっちが痛いこっちが痛いと言いつつ、
作品は成熟し、
それぞれの個性が際立ってきた。

何しろ、
油絵4名・日本画3名・木版画1名の
バラバラな画法の8名。
共通しているのは神奈川県に住む女性
ということだけ。

同じ日本画といっても、
優しい色合いの花ばかり描いている人、
動物が出てくる人、
墨色だけで花や猫を描いている人と
その技法もコンセプトも全く違う。

私は唯一の版画家なので、
参加した当初から、異端児であったが、
いつのまにかこの会のまとめ役になったので、
今回は会場中、雨でびしょびしょにしながら
偉そうにしている。

雨のシリーズは
コロナ禍で毎日毎日、
来る日も来る日も、
世界中の人の心に雨が降っている今の世の中、
こんな時もあったねと作品にとどめようと
始まった。

1年間、雨をモチーフに
雨をデザイン化し、
スタイリッシュに描けないかと思案してきた。

作品が上下に2分されているのは、
時間が経っても、朝も夜も雨降りということを
表している。

しかし、そうした作品も5点6点と作り進むうちに
徐々に明るさが見えてきた。

最後に創ったカタツムリがでてくる2点は
「もうすぐコロナも終わるよ、きっと」と
そんな風に思えてくる。

同じシリーズでも1年間の内に作家の心持ちが
変化することで、
作品全体の色調も変わってきて、
受ける印象が違ってくるものだと、
展示して初めて感じた。

今日は会期の2日目だが、
お当番として会場に行った初日だったので、
たくさんの友人知人をお迎えしながら、
他方で自作を見つめ直すいい機会にもなった。

今日はあまりいとまがなかったけれど、
明日もお当番なので、
他のメンバーの作品もじっくり観ながら、
自分以外の「ものつくりびと」たちが
どんな風に作品に取り組んでいるのか
研究してみたいと思っている。

なんだかんだ言いながらも、
長きに亘って作品を生み出し続ける原動力は
こうした観に来てくださった方からのエールや
同好の士の作品から得られる刺激が
パワーになることが多い。

1週間、会場でパワーチャージに努め、
新作の活力になればと目論んでいる。