2022年8月30日火曜日

おふくろの味とばぁばの味

 
















今回のばぁばご飯は既視感満載。
それぞれのリクエストに応えて作ったら、
こんなことになってしまった。

まず、ママのリクエストは
「春巻き」と「タコと山芋の中華サラダ」

孫1号志帆のリクエストは
「ポテトのチーズ焼き」「コーンスープ」
「ほうれん草のピーナッツバター和え」

孫2号由依のリクエストは
「チーズインハンバーグ」「海苔巻卵焼き」

他には
「もやしとニラのお浸し」「ぶり照り」
「青椒肉絲」の計10品

残りの3品は春巻きに使ったニラともやしと
竹の子の消化試合。
魚がないからぶり照りでもという
献立だ。

夕方、3人がにぎやかに帰宅すると、
まず、自分がリクエストしたものに
手が伸びる。

春巻きはそろそろ来る頃かなと思っていたが、
正しくママからのリクエストがやってきた。

待望の春巻きをひと口食べて
「ちゃんとした中華レストランより、
おーままの春巻きの方が美味しいわ」と
最上級のお褒めの言葉を頂戴した。

志帆もどれから食べようかと迷いながら、
にっこにこの笑顔で春巻きにかぶりついている。

だいぶ言葉の数が増えてきた由依は
「卵もっとちょーだい」「スープお替り!」と
スプーンを使うのももどかしい様子で
すごい勢いで食べている。

きっと今日の献立は
ママにとってのおふくろの味であり、
孫たちにとってのばぁば(おーまま)の味に
なるだろう。

そして、最後には
「今日はおーままに見せたいものがあるの」と
保育園で覚えたてのダンスを披露してくれた。

「踊るぽんぽこりん」と「どらえもんのテーマ」
それに何とかゲームの曲の3曲。

運動会のために練習しているとか。

保育園の先生には
志帆は1番早く振付を覚えたし、
小さい体なのに大きく動いてとても可愛いと
褒めてもらったとか。

育児も「褒め育て」が肝心だけど、
ばぁばご飯も「褒め育て」は有効だ。

美味しい美味しいの言葉につられて
今夜はばぁばも
踊るぽんぽこりん♪♬♪




























2022年8月26日金曜日

映画鑑賞『レインマン』

 



最寄り駅の映画館で
今日から「午前10時の映画祭」の枠で
『レインマン』が放映されるというので、
2日前から予約して観に行ってきた。

いわゆる名作と言われる映画の中でも
『レインマン』は
出色の出来だと思っているのだが、
何がそんなにいい映画だと思うのか、
今一度確かめようと
勇んで映画館に向かった。

1988年封切のこの映画は
34年前の映画ということになる。

物語は、高級車のディーラーをしている若い男
チャーリーが、ある日、
疎遠だった父親の死の知らせを受けるところから
始まる。

自分が相続したのは中古車と薔薇の木だけ。
それに対し莫大な遺産を相続するとわかったのは
存在すら知らなかった歳の離れた兄だった…。

34年前の若き日のトム・クルーズ。
もちろん若いのだが、
現在のトム・クルーズも若々しいので、
さほど驚くほどではない。

むしろ、34年後の2022年夏、
トム・クルーズ主演の『トップガン』では
スタントなしで戦闘機を操縦して
今なお放映され続けている事実の方が
驚きに値する。

映画は始まると、
更に驚くことに
すぐに日本語訳 戸田奈津子の文字を映し出した。

戸田奈津子氏はつい最近、85歳になったので、
今年で日本語の通訳を辞めることを決意したと
発表し、
トム・クルーズから誕生日に花とスカーフを
もらった話をしていた。

『レインマン』の日本語訳は
戸田奈津子さんの出世作だと思うし、
以来、トム・クルーズが来日した時の通訳を通して
トム・クルーズとは特別な親交が続いていると
いうのは有名な話なので、
ふたりのプライベートな親交と
映画史に残る名作とが1本の糸でつながったのを
眼前にして、感動を覚えた。

また、この映画のもうひとりの主役
レイモンドは
ダスティン・ホフマンが演じているが、
みなさんご存じの通り自閉症の中でも特殊な
サヴァン症候群という特質を持っている。

その聞き慣れないサヴァン症候群の
特徴的な行動のこだわりや
特殊な才能について、
昔、映画で観た時も私は驚いたのだが、
その驚きはチャーリー(トム)と同じく、
健常な一般人のそれと同じだった。

しかし、今日の驚きは違った。
この10数年で、
私は心理カウンセラーの資格を取得し、
それなりに専門知識を得たし、
カウンセリングを生業として活動している。

なので、今日観たレイモンドの一挙手一投足は
当時よりだいぶ身近なものとして
捉えることが出来た。

35年前、サヴァン症候群のモデルが
実際にいたからこそ、
この映画は創られ、
脚本賞も受賞しているが、
実際、当時の脳科学では、現代よりずっと
発達障害や自閉症、サヴァンなどに関する
認知度も理解度も低く、
変人扱いされていたことは
想像に難くない。

しかし、だからといって
現在、一般的に偏見はなくなっているかと
言えば、そんなことは全然ないので、
35年という年月は
短いのか長いのか…。

そんな風に自分の35年を引き合いに出して
感傷にふけったり、
映画を心理カウンセリングの見地で
読み解くまでもなく、
この映画の秀逸さは抜きんで来ている。

どんな国籍の人も
どんな年齢、どんな育ち、
障害のあるなしに関わらず、
人と人の心は通じるということを
この映画は私達にプレゼントしてくれた。

今日は
曖昧模糊とした単にいい映画という印象を
裏付けるように映画を観ることが出来、
私にとって「レインマンは秀逸」という
新たな印象を上書きすることが出来た。

古い映画を見直すという経験は
その工程の中に
自分の成長や意識の変化などを
読み解く作業でもある。

期間限定の2週間、
時間は10時からの1日1回、
(正確には9時45分から12時10分)
逃すと上書きのチャンスを失うので、
気になる方はお見逃しなく!

おススメの1本だ!




2022年8月22日月曜日

取材という名の鎌倉ランチ

 













夏中、彫っていた木版画の作品が、
日曜日に最後の飾り彫りを終え、
一区切りついた。

次の作業は摺りということになるのだが、
暑い日々が続いている内は
クーラーの使えない摺りの作業は
しないことにしている。

そこで、次なる作品のための取材と称して、
鎌倉の八幡様の源平池に
蓮の葉と花の写真を撮りに行くことにした。

蓮の盛りは6月から7月なので、
8月下旬では葉っぱは伸び放題だし、
花もみんな散っているのではとも思ったが、
来年の「文学と版画展」の装丁に使う作品に
どうしても蓮の葉の浮かぶ水辺が必要で、
来年の6月を待つわけにもいかず、
出掛けることにしたというわけだ。

こんな風にお題に合わせて作品を
準備しなければならないものは
案外、先のことを考えて行動することになる。

まだ、どの本の装丁にするつもりかは
公開できないが、
まずはイメージを自分の作品に定着できるか
試行錯誤の舟を出すというのが
今の段階だ。

「舟」という言葉を使ったのには
わけがあり、
それが次の装丁のヒントになるのだが、
さて、本日の蓮は首尾よく
本の表紙として漕ぎつけるのか、
しばしお待ちいただければと思う。

今日は鎌倉の源平池が取材先だったので、
11時近くに鎌倉駅に降り立つと、
驚くほどの人が行き交っている。

月曜日という平日だというのに、
浴衣を着た若者や
子ども連れやお年寄りなど、
ゆく夏を惜しむかのように、
また、コロナ禍のうっぷんを晴らすかのように
人が湧いて出ている。

本当はゆっくりスケッチブックを広げ、
デッサンしようと思っていたのだが、
ぶしつけな態度で
他人の作品を上から覗き込む人が
後を絶たないので、
気持ちが折れてそそくさとしまってしまった。

それでも2枚はスケッチができたので、
これからイメージを膨らませ、
構図を考えたいと思っている。

そして、今度、鎌倉に行くときは
声をかけてみようと思っていた
お茶の友人K姐さんが
快く誘いにのってくださったので、
12時半には取材を切り上げ、
鎌倉ランチに繰り出した。

K姐さんはサバサバした姐さん気質、
鎌倉に移り住んでまだ5年といいながら、
お友達も多く、
すっかり鎌倉通になっているので、
馴染みのイタリアンを予約してくれていた。

小町通のミーちゃんハーちゃんには
出くわさないよう、
裏の小道を分け入り、
そこここのお店の紹介を交えつつ、
目的地に到着。

予約客で満員のこじんまりしたレストランで
ランチのコースに生ビール、
食後にカッサータとエスプレッソを注文し、
丁寧に作られたイタリアの味を堪能した。

お茶のお稽古では
そうそうお茶からかけ離れた話もできないし、
今までのお茶歴みたいな
つっ込んだ話もできないので、
話はあっちに飛びこっちに飛びしながら、
楽しい時間は瞬く間に過ぎていった。

帰りがけに
「ここもちょっとおしゃれなものがあるのよ」と
私も気にしていた呉服屋さんに誘われた。

「ちょっとだけよ」
「見るだけよ」といいつつ、
すぐに気になるものを二人とも見つけ、
お店を出る時には
姐さんはカレンブロッソ(草履)の入った紙袋を
私は大きめの和装用バッグの入った紙袋を
ぶらさげていた。

姐さんはお買い物も即断即決。
そんなところも自分に似ているなと
内心、思いながら、
ふたりともお気に入りが運よく見つかって
ルンルンであった。

帰りは最寄り駅のデパ地下の崎陽軒で
23日までの限定販売の、
マグロの漬け煮のかわりにサケが入っている
シュウマイ弁当を買おうと思ったら、
いつ入るか分からない「入荷待ち」の札。

最後はさっと見てさっと買おうと思っていたが、
あっさりフラれてしまったので、
潔く空手で帰宅。

珍しくダンナのいないひとりの夕食なので、
冷蔵庫整理しながら
のんびり本日2回目のビールを飲もうっと。

ダンナが留守のこの数日間は
お気軽そのもの、
自分で決めて自分で行動。
誰の文句も嫌味もないのが極楽至極である。




























2022年8月20日土曜日

『石田組』へ着物でGO!

 














石田様の5回連続月一コンサートの4回目、
遂に『石田組』の日がやってきた。

1回目は無伴奏だったので、基本ひとり。
2回目はピアノの外山啓介さんとのデュオ。
3回目は『YAMATO』だったので4名。

そして、今回の『石田組』
弦楽アンサンブルは14名。

内訳は石田様をはじめとするバイオリン6名、
ビオラ3名、チェロ3名、コントラバス1名、
そして、チェンバロ1名の計14名。

6月に出版された石田様の本によれば、
彼が『石田組』をとても大切にしているのは
分かるし、
3回目の『YAMATO』あたりから、
どんどん石田色が全開になってきていたので、
4回目の『石田組』はとても楽しみにしていた。

なので、その日は着物で行くと
1か月前から決め、
通常のヘアカラーのための美容室の予約を
わざとコンサートの日の午前中にセットし、
最後のブローをアップスタイルにお願いして、
夕方の「きものでコンサート」にスタンバイした。

美容室の私担当のN代表は
腕を奮って、銀座マダム風夜会巻に結い上げ、
持ち込んだ
スペインで購入の銀細工のかんざしは
ななめにして小粋な感じに刺してくれた。

朝はもちろん洋服で美容室に行ったので、
「こんなんできましたけど」と
着物姿を見せたくて、
コンサートの行きがけに美容室に立ち寄り、
N代表と記念写真を撮った。

私は、自作の器が
どんな風に使われているかを知りたい、
織元さんは、自作の着物が
どんな人がどんなコーディネイトで着ているか
知りたいと思うのと同じで、
美容師さんも
着物用にセットしたお客さんの着物姿を見たい、
きっとそう思っているに違いないという
勝手な思い込みで美容室まで押し掛けた。

しかし、それは想像にたがわず、
N代表はとても喜んでくれ、
運よくお手すきの時間だったので
何枚も何枚も美容室の前で写真を撮ってくれた。

N代表は「チームきみの」の大切な一員である。

そして、電車に乗り、川崎のコンサート会場へ。

私のわがままにはまだ続きがあり、
ミューザ川崎の前のオブジェのあたりで
コンサートにご一緒するSさんと待ち合わせ、
更に何枚ものプロフィール写真を撮ってもらった。

娘あたりに「ホント、ママ自分好きだよね」と
あきれ顔で言われそうだが、
例の明石ちぢみの着物に、
「黒地の帯とのコーディネイトにしてみました」と
織元さんに報告したいから。

(もちろん、私は自分が好きなことは認めます)

さて、そんなこんなで大量の写真も撮れたところで、
いよいよコンサート会場内へ。

『石田組』とは石田様が組長の男ばかりの
弦楽器奏者でできている団体だ。
組長の呼び名は
当然、石田様の風貌に由来する。

しかし、組員(団員とはいわない)は流動的で
今回みたいに川崎の会場だと、
東京フィルのメンバーが多く、
横浜の会場だと神奈フィルが多めなど、
石田組長の采配で入れ替え制である。

今回の演奏曲目は
前半が皆さんご存じの
ヴィヴアルディの「四季」だったが、
後半には同じくヴィヴァルディの協奏曲、
後になるにつれ、
「バック・トゥ・ザ・フューチャー」
「ニューシネマ・パラダイス」
クイーン「輝ける7つの海などと
クラシックから、ロック、映画音楽まで
何でもありになっていく。

しかし、ポピュラーになるということではなく、
松岡あさひ氏による編曲で
超絶技巧のテクニックと色香に満ちた音色で
石田イズムを貫く見事なアンサンブルがそこにあり、
2000人の観客を舞台中央にギューッと集め、
グイグイと魅了する。

バンマスというかまさしくボスの石田様が
若手の弦楽器奏者たちを
演奏中も鼓舞し、挑発するので、
どんどん舞台上も熱を帯び、
エキサイティングな演奏はアンコール曲まで
ノンストップで疾走する。

単なる1ヴァイオリニストではない石田様の
一挙手一投足に見惚れ、
共に巻き込まれたくて、
演奏者も会場の観客も
皆一丸となって前のめりに石田ワールドに
飛び込んでいく。

というわけで、
上部の写真にもあるように
石田様の好きな京都のブランドのど派手な服の
向こうを張りたくて、
今回の私はモノトーンの明石ちぢみで対抗する。

つまり、コンサートは
何を着て行っても構わないわけではない。
会場にいるひとりひとりが
その場の空気を決めるのだという気概を持って、
この場合、
自分も石田組の組員のつもりで参加するのが
正しいコンサートへの臨み方だと思う。

朝から気合十分だったせいか、
帰宅が夜10時半と遅かったせいか、
いささか今日は眠気がさすが、
コンサートの余韻は今まだ残る。
本当に素晴らしい出来映えだった。

石田泰尚、49歳。
脂の乗り切ったアーティストと
時代と空間を共有できることを
幸せに感じた至福の時間であった。

























2022年8月18日木曜日

器の嫁入り

 









8月初めに出来あがってきた注文の器を
お盆が過ぎてから
ようやく納品してきた。

注文は5月の末の陶芸展の時に受けていたので、
3か月もお待たせしてしまった。

この間に懸案だった一番大きな大皿と、
取り小鉢5枚と、白い中皿5枚、
白の取り皿5枚を新たに造り、
展示会の時にはすでに焼きあがっていた
2色かけわけの取り皿5枚と
ボンボニエール、植木鉢3組も加え、
丁寧にラッピングした。

懸案だったと表現した大皿は
造る上でハードルが高く、
無事に最後まで焼きあがるかが心配だったので
「懸案の」と言ったのだが、
それが首尾よく出来あがったことを
SさんにはあらかじめLINEでお知らせし、
車でお届けしに向かった。

Sさんのお宅にはすでに私が造った器は
何十点もあるので、
立派にコレクターさんといえると思うが、
食器棚の一画を占めるマイ器のラインナップに
あらたにこの大皿含め、
16点が加わることになった。

もうひとりの友人Fさんは
数はSさんには及ばないが、
やはり相当数、すでにご購入いただいていて、
とても丁寧に毎日使っていると報告を受けている
大切なコレクターさんだ。

Fさんも、Sさん宅で待っていてくださり、
ご注文の白い中皿5枚と植木鉢を
お求めいただいた。
(白い取り皿は後日のお届け)

Sさんはお宅に伺うと
決まってこれまでにお嫁入りした器を使って、
日本茶や
お菓子やフルーツを出してくださる。

そうやって「こんな風にこの器は使って
とても便利しているわ」と
私に見せてくださるのだ。

やはり、作り手にとって
「嫁入り先でうまくやっているのか」
「どんな人にかわいがってもらっているのか」は
とても気になるところで、
それは版画であっても器であっても
同じことだ。

だから、私が求めた着物を着て、
写真を撮ったりブログにアップしたりして、
織元さんに送るのは
作り手だったらそれを知りたいだろうと
思うからに他ならない。

Sさんのところで
梨が盛られたオーバル型の器は
我が家では焼きナスやゴーヤチャンプルなど
主に2番手のおかずがのっているので、
果物をのせることがとても新鮮に感じたし、
ティアドロップ型の小皿にのせた
ゆず風味のゆべしは
コロコロととても可愛かった。

そして、包みを開いて
「懸案の大皿」の実物を見たSさんは、
抱きしめて大喜びし
「大切にします!」と言ってくれた。

実はこの大皿だけは
他とは1桁違う値段をつけ、
LINEであらかじめお知らせしてあったのだが、
それもすんなり受け入れてくれ、
「誰にも渡さないわ。さあ、何を盛ろうかしら」と
思いを巡らせるように
胸に抱いて天を仰ぎ見た。

こうして主役の大皿は
白無垢姿でお嫁に行き、
S宅の家風に染まって、
何か豪勢なお料理をのせてもらえるに違いない。

また、2色かけ分けの和モダンシリーズの
取り皿と取り小鉢は
「こうしてこのふたつを組み合わせてもいいわね」
と、新しいスタイルでテーブルに並んだ。

こんな風に私の手元を離れた器たちは
嫁ぎ先の新しいテーブルで
新しい器人生?を歩みだす。

時折、お邪魔する度、
その新しい器人生を送っている器たちを見て、
嫁の親としては
ホッと胸をなでおろすのである。

今日も心密かに
「うまくいきますように」と声をかけた。