最寄り駅の映画館で
今日から「午前10時の映画祭」の枠で
『レインマン』が放映されるというので、
2日前から予約して観に行ってきた。
いわゆる名作と言われる映画の中でも
『レインマン』は
出色の出来だと思っているのだが、
何がそんなにいい映画だと思うのか、
今一度確かめようと
勇んで映画館に向かった。
1988年封切のこの映画は
34年前の映画ということになる。
物語は、高級車のディーラーをしている若い男
チャーリーが、ある日、
疎遠だった父親の死の知らせを受けるところから
始まる。
自分が相続したのは中古車と薔薇の木だけ。
それに対し莫大な遺産を相続するとわかったのは
存在すら知らなかった歳の離れた兄だった…。
34年前の若き日のトム・クルーズ。
もちろん若いのだが、
現在のトム・クルーズも若々しいので、
さほど驚くほどではない。
むしろ、34年後の2022年夏、
トム・クルーズ主演の『トップガン』では
スタントなしで戦闘機を操縦して
今なお放映され続けている事実の方が
驚きに値する。
映画は始まると、
更に驚くことに
すぐに日本語訳 戸田奈津子の文字を映し出した。
戸田奈津子氏はつい最近、85歳になったので、
今年で日本語の通訳を辞めることを決意したと
発表し、
トム・クルーズから誕生日に花とスカーフを
もらった話をしていた。
『レインマン』の日本語訳は
戸田奈津子さんの出世作だと思うし、
以来、トム・クルーズが来日した時の通訳を通して
トム・クルーズとは特別な親交が続いていると
いうのは有名な話なので、
ふたりのプライベートな親交と
映画史に残る名作とが1本の糸でつながったのを
眼前にして、感動を覚えた。
また、この映画のもうひとりの主役
レイモンドは
ダスティン・ホフマンが演じているが、
みなさんご存じの通り自閉症の中でも特殊な
サヴァン症候群という特質を持っている。
その聞き慣れないサヴァン症候群の
特徴的な行動のこだわりや
特殊な才能について、
昔、映画で観た時も私は驚いたのだが、
その驚きはチャーリー(トム)と同じく、
健常な一般人のそれと同じだった。
しかし、今日の驚きは違った。
この10数年で、
私は心理カウンセラーの資格を取得し、
それなりに専門知識を得たし、
カウンセリングを生業として活動している。
なので、今日観たレイモンドの一挙手一投足は
当時よりだいぶ身近なものとして
捉えることが出来た。
35年前、サヴァン症候群のモデルが
実際にいたからこそ、
この映画は創られ、
脚本賞も受賞しているが、
実際、当時の脳科学では、現代よりずっと
発達障害や自閉症、サヴァンなどに関する
認知度も理解度も低く、
変人扱いされていたことは
想像に難くない。
しかし、だからといって
現在、一般的に偏見はなくなっているかと
言えば、そんなことは全然ないので、
35年という年月は
短いのか長いのか…。
そんな風に自分の35年を引き合いに出して
感傷にふけったり、
映画を心理カウンセリングの見地で
読み解くまでもなく、
この映画の秀逸さは抜きんで来ている。
どんな国籍の人も
どんな年齢、どんな育ち、
障害のあるなしに関わらず、
人と人の心は通じるということを
この映画は私達にプレゼントしてくれた。
今日は
曖昧模糊とした単にいい映画という印象を
裏付けるように映画を観ることが出来、
私にとって「レインマンは秀逸」という
新たな印象を上書きすることが出来た。
古い映画を見直すという経験は
その工程の中に
自分の成長や意識の変化などを
読み解く作業でもある。
期間限定の2週間、
時間は10時からの1日1回、
(正確には9時45分から12時10分)
逃すと上書きのチャンスを失うので、
気になる方はお見逃しなく!
おススメの1本だ!
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