2024年9月27日金曜日

大満腹になる懐石弁当

 









ようやく秋がやってきた。
今日は朝から霧雨のような雨が降っている。
気温が23℃前後しかないので
半袖の薄いセーターでちょうどいいくらい。
揃いのカーディガンを持ち歩いていたが
着ると暑いなと感じる程度の気温だった。

今日は11時ごろ、陶芸工房で友人と落ち合い、
まずは友人がまだ観ていない
先生の個展を観てから、
川崎の「えん想」なるお店でランチをした。

先生の個展は
例の12枚のはがきに印刷された
先生のこだわりの文字への考察と
64個の小鉢に入れられたティランジア。

会場には先生とお世話係の会員さんとがいて、
もうひとり、先生の友人らしい男性が
観に来ていた。

私の方が1歩先に会場に着き、
すぐ後に友人がやってきた。
特に先生から感想を求めるでもなく
友人の方も何か意見や感想を述べるでもなく
静かに鑑賞している。

壁には先生の古い友人という人からの
「個展の感想」がプリントアウトされて、
貼り出されていたので、
手に取り読んでみると、
その小難しい先生の世界観を見事に
読み解いて「腑に落ちた」とあるので、
やはり昔から先生は小難しいことを考えるのが
好きだったんだなと判る。

だからといって
最近になって先生と知り合いになった会員が
同様に「腑に落ちる」わけではないので、
友人も小首をかしげながら
結局、何も言わずに私達は工房を後にした。

外は傘を差すほどでもない程度の小雨が
降っていた。
14~15分歩いて、
本日の目的地「えん想」という
炭火焼と懐石料理とうたっている料理屋さんに
到着した。

入るとまず、にじり口の奥に茶室がある。
脇を通って茶室の奥は
普通のテーブル席があるフロアーなので、
ランチタイムの懐石弁当を予約していた
私達はここでいただくことになる。

この店はまだ開店してまだ日が浅く、
川崎に住む友人も初めての来訪で
どんなお料理を食べさせてくれるのかも
知らないが、
お茶室もあって懐石料理を出すということで
お茶をやって長い私を誘ってくれたのだ。

亭主は裏千家でお茶をしているらしいが
歳の頃から行って
脱サラか、定年後に
このお店を奥さんとふたりで開いたのではと
思われる。

どんなお料理が出てくるのか、
お茶室は借りてお茶会ごっこが出来るのか
興味は尽きないので、
テーブル席の横の水屋や茶室を覗いていると
奥さんが最初のお膳を運んできた。

懐石料理で出される最初の折敷と同じで
飯椀・汁椀の向こうに向付があり
中に鯛とマグロのお造りが入っている。

ご飯は炊きたての蒸らしの入っていないご飯
お汁は赤みそで、具は生麩にからし。

そして、懐石用のお弁当箱が運ばれてきて
中にはぎっしりお弁当のおかずが
入っていた。その量が半端ない。

通常、こうした塗りの四角いお弁当箱は
中が4つの仕切りで区切られ
更に小鉢が入ってちょこんと料理が盛られ
松花堂弁当として出されるのだが、
ここのお弁当箱は
仕切りも小鉢もとっぱらっているので
(3つ汁気のあるものを小鉢に盛っているが)
とにかくこれでもかという種類の
お惣菜が詰め込まれている。

主婦はすぐこれを全部手作りしたらとか
これだけの食材を買ったら
どれだけ大変かを想像してしまうので、
見ただけで感激してしまう。

目移りしながら
迷い箸にだけはならないように
次々、口に運んでみたが、
これがどれも薄味ながら滋味深く
上手に出来ている。

お茶席での懐石料理と同じく、
最初の炊き立てのご飯が食べ終わるのを
見計らって
おひつにちりめん山椒炊き込みご飯が
運ばれてきて、
更に差し替えの椀物として
はものお汁が添えられた。

亭主がこんなお店をやりたかったという
夢を具現化したようなお店で、
そこここに亭主のこだわりを感じた。

最後にはお抹茶と練り切りが出されたが、
その練り切りも亭主が成形し、
出来立てを出したものだと判る。

どうやら奥さんの方は
ご亭主の夢につきあわされて勉強したという
感じで、
抹茶の点て具合など、まだ、素人っぽいが
新しく開いたお店を
ご夫婦でやっていこうということらしい。

しかし、これだけの内容のお弁当に
ロックの梅酒まで注文して、
ひとり2,360円は安すぎるだろう。

さすがに夜になるとこうはいかないし
懐石料理のコースを頼むと
それなりの値段にはなるが、
それにしても大盤振る舞いだ。

私が何度となく茶室を覗き込んでいるので
亭主が「ここでお茶事をなさるなら
5人ぐらいのお客様に亭主という形で
お茶事の真似事はできますよ」とのこと。

すでに11月の炉開きと、
1月の初釜の季節は
土日は予約で埋まっているらしいので、
「平日ならまだまだ受け付けます」と
言われた。

ランチタイムの大盤振る舞いで
あっという間に潰れないでほしいと
思ったが、
その調子なら大丈夫かもしれない。

いずれにせよ、
川崎の商店街の中、
八百屋さんや焼き鳥屋さんやらの
はす向かいに
こんなに美味しい懐石料理の店、発見!

友人と仕切り直して
次は鯛めしの懐石料理か
ふぐの懐石料理にトライしようと
いうことになった。



















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