昨日の夜、
パティシエ学校の講師仲間3人で
中華街に繰り出し
ちょっと早い忘年会を行った。
月曜日の夜ということもあってか、
予約した店も含め
中華街全体に人が少なく、
呼び込みなどの声もしない静けさだった。
私は中華食材がいくつか欲しかったので
集合時間より前に中華街に向かった。
地下鉄の関内駅から地上に出て、
JR関内駅の手前をスタジアムの方へ曲がる。
夕方5時、
今日は野球の試合がないが
スタジアムのライトだけは
煌々とついていて美しい。
つい先日、日本一になった
横浜ベイスターズの本拠地のスタジアムだが、
今日はただライトだけが夜空に輝いていて
スタジアムの周りを行き交う人もまばらだ。
そこから中華街の門をくぐり、
中心部への道を進むけど
やはりまだここも薄暗く
人通りも少ない。
そして、中央部の始まりである
もう一つの門をくぐると
ようやく繁華街らしい賑わいになった。
しかし、横浜中華街のお店も
ここ数年で相当入れ替わり、
今や小籠包や肉まんなどの
立ち食いの店が増え、
若者たちがそぞろ歩きしているか、
買い食いしている行列ばかりが目に付く。
台湾勢の進出も多く、
台湾小籠包や
ぺったんこの鶏のから揚げのお店も
何軒もある。
それもやはり店先で買い、
その場でかぶりつくスタイルだ。
私達は「華錦飯店」という
中央の通りからはかなり外れた
知る人ぞ知るといったローカルな店を
予約してあったので、
中央の通りをずんずん進み
脇道へと入っていった。
このチームは会う時はこの店と決めていて
年に2回ぐらい会食を楽しんでいる。
私は食事の前に買い物がしたかったので、
まずはその店を目指した。
レストランの近くに
中国食材を売る小さなお店がある。
ただいろいろな中国食材を棚に並べただけの
昔風の店構えのその店は
中国人の店主ひとりが店の奥に座っている。
私のお目当ては
紹興酒ときくらげなので、
まず、紹興酒のコーナーで立ち止まり
いくつかの酒瓶を見比べ
料理用に使うならどの程度にしようか悩んだ。
そんな客を見たら、
「何かお探しですか」とかいって
お店の人が声をかけてきてもよさそうなものだが
この店は全くの放置プレイだ。
私は3年、5年、7年とあるなかで
5年物の紹興酒を手に取った。
400円、安すぎる。
次にきくらげのコーナーにいくと
2種類の袋があったが、
いずれも日本のスーパーで見るような
小さなパックに10個ぐらいしか入っていない
ものを見慣れている者にとっては
いかにも大量で驚く。
大きい方は「枕ですか」と言いたくなるほどで
800円はとても安いと思ったけど、
そこまで使い切る自信がない。
きくらげのコーナーは店主の近くだったから
何か声をかけてくるかなと思ったが、
ここでも何も言ってこなかったので、
どうやらここの店主は商売をする気は
ないらしい。
結局、やや割高になるけど
小さい方のきくらげを選んだ。
100個ぐらい入っていて350円。安い!
そして、
紹興酒コーナーからきくらげコーナーへ
いく間に見つけたスライスアーモンドは
お正月の「アーモンド田作り」に
欠かせないので、
是が非でも買わなければと思った。
こちらは、ぱんぱん大袋で750円。
予定外のスライスアーモンドが
一番高価であった。
亭主は最後までレジ横に座っていて
私がカウンターに商品を置くと、
無言のまま薄いビニール袋に
いきなり酒瓶を突っ込もうとしたので、
「割れないように何か巻いてください」というと
新聞紙を出してくるりと巻いた。
日本語は通じるが、実に素っ気ない。
3品で計1500円。
昔の中国がここにある気がした。
買い物を済ませ、予約してあったお店に到着。
3人が揃ったところで、
ここの自慢の料理をいつも通り何品か注文した。
半年ぶりにこのレストランに来たが、
写真入りのメニューの値段の部分には
ことどこくシールが貼られ
軒並み値上がりしていることが判る。
このお店は隣で鮮魚店を営んでいるので
ネタの良さとリーズナブルな価格がウリだった。
しかし、この価格高騰の波は
ここにも容赦なく押し寄せているようで
何度か来ている私達は顔を見合わせ
「これってこんな値段でしたっけ」と
シールの下の値段を思い浮かべた。
お味はどれも美味しく
以前と同じで安心したけど、
そこまで変わってしまうとなると
客足は遠のくことだろう。
私達はこの店でも
5年物の紹興酒を、熱燗で注文してみたが
こちらはお料理にとてもよく合い、
深みのあるいい味わいだった。
たぶん同じ5年物でも
さきほど買った5年物紹興酒とは
全くの別物だろうという気がする。
帰り道、
みんなで中央通りを歩きながら
周囲を見渡すと
「萬珍楼」や「同發」など
何十年も昔からある大店が
「定休日」の看板を掲げて閉まっていた。
それらの店は店構え自体が立派で
中では円テーブルを囲んで中華のコースや
ふかひれや北京ダックなどがいただけた。
東京に住んでいた私達家族も
特別なイベントとして横浜に来て
その豪華な食事を楽しんだものだ。
そんな在りし日の姿が
蜃気楼のように浮かぶが
看板も中も電気が消えて
真っ暗になっている巨大な料理店は
その栄華を知るだけに寂しさが迫る。
スタジアムに近づくと
行きには煌々とついていたスタジアムの
ライトも消灯していて
関内駅への抜け道も真っ暗だった。
早めの忘年会。
暑い暑いと言っている内に
秋もなくいきなり冬になり
暮れていく2024年。
なんだか切ない気分になりながら
お腹に入れた紹興酒の味と
お腹に抱えた紹興酒の重みを感じた。
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