かれこれ20年ぐらい
非常勤講師として教えている
パティシエ養成専門学校の卒業式と謝恩会に
出席してきた。
コロナ禍前は当然のように
出席していた卒業式だが、
コロナ禍の2021年の卒業式に
非常勤講師は列席できなくなったのを
きっかけに
復活後も出席せずに今日まで来ていた。
私は就職対策講座を担当しているので
前期だけしか授業がないから
学生の前で講義するのは9月半ばまで。
それ以後は
11月初めの文化祭に行った時、
出店やレストランの接客担当などで
偶然、会えた学生は何人かいるが、
ほとんどの学生とは半年ぶりの再会だ。
就職対策講座は4クラスあるが
週に1回、1時間の授業なので
私の顔なんて忘れた学生も多いだろうし、
授業中に双方向で交流できた学生の数も
大しているわけではない。
しかし、昨年の学生の中には
何人か個人的に
就職対策を一緒に練った子が何人もいて
第一希望のホテルに決まった学生もいるし
第一志望には決まらず、
結果を知らないまま卒業式を迎えた子もいる。
決まった学生にはおめでとうが言いたかったし
私がいる間には決まらなかった学生には
どうなったか聞きたかったので、
思い切って
今年は卒業式と謝恩会に出席することにした。
この学校の卒業式は
横浜の某ホテルの一番大きな宴会場を貸し切って
親御さんたちも参列してとても賑やかに行われる。
来賓と非常勤講師は
金屏風の前のひな壇に並び、
丸々2時間、
学生が卒業証書を受け取り、
各賞を受賞した学生が賞状を受け取るのを
見守る。
私は偶然、中央の賞状を受け渡す台のすぐ横、
2列目
理事長のすぐ後ろの席になってしまったので、
賞状を取りに壇上に上がった学生が
一礼する目の前に座っていたことになる。
卒業証書を代表の学生が受け取ると、
続いて各部門の賞、
例えば、校長賞とか理事長賞の発表がある。
そして、その後には重たい賞の順に
20部門位の受賞者が呼ばれては壇上に上がった。
そのトップバッター
「日本洋菓子協会連合会 会長賞」の受賞者として
一番最初にホテルニューオータニに
就職を決めたK君の名が呼ばれた。
壇上でお辞儀をするK君と目が合うと
去年の春、
自己PR文や志望動機の文章を
ふたりで練り直した日々がよみがえった。
すでに担任からOKが出ているという
自己PR文を読んで
「これちょっと上から目線じゃない?」という
私の助言に対して
「そうですよね。
そういう意見が欲しかったんです」と
素直に手直しに応じたK君。
「どんなパティシエになりたいか」
最初の授業でみんなに自己紹介してもらった時
「世界一のパティシエになりたいKです」と
大きな風呂敷を広げてみせた。
そんな彼が第一希望のホテルに就職が決まり、
文化祭ではチョコレート菓子でエスコフィエ賞を
受賞し、
卒業時にも最後に大きな賞を獲得した。
賞状を受け取るK君を見ながら
壇上で私も誇らしい気持ちになり、
この学校で長年教えてきて
初めての感情だなと思った。
謝恩会になったら、
おめでとうを直接言ってあげよう。
会場が整うまでの1時間半
講師控室で談笑しながら
謝恩会が始まるのを待った。
謝恩会は学生が主導なので、
卒業式とは打って変わって
くだけた様子になり、
学生たちも先ほどまでのはかま姿から
ドレス姿に着替えた子たちもたくさんいる。
卒業式と謝恩会に
一緒に行くことを約束した講師のTさんは
同じ非常勤講師といっても
つい一昨日まで追試の面倒をみていたというぐらい
頻度高く学生と関わってきたので、
入場の時から何人もの学生とハイタッチするほどだ。
私はそこまで親しい学生はいなかったけど、
会場の真ん中へんにK君を見つけると
手を振ってくれたので、
こちらも手を振った。
ビュッフェの食事が終わる頃、
K君が傍に寄ってきて
「お世話になりました」というので
「お世話しました」と笑って応え
一緒の写真を何枚も撮ってもらった。
私にとって非常勤講師なんて腰掛的な仕事で
さほど思い入れもなかったのだが、
今年は他にも何人かの学生が声をかけてくれ
ちょっといつもの年とは違う感慨がある。
4月1日から
彼らは新しい社会に飛び立っていく。
本当に世界一のパティシエになってくれるのか
K君の未来に期待しつつ、
私もこの学校で新しくどんな学生に会えるのか
楽しみにしているところである。
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