長らく同じ時間帯で一緒に陶芸をしていた友人が
今月で工房を辞めることになった。
個人的には辞めてしまうAさんとは
大相撲に誘っていただいたり、
一緒に笠間の火祭りに行ったり、
着物を着て会食に行ったりと
もはや陶芸工房の域を超えたところで
おつきあいをしているので、
きっと辞められても交友は続くであろう。
しかし、同じ曜日の他のメンバーにしてみれば
第1と第3土曜の午後組のメンバーが
ひとり欠けることになるのは
寂しい限りなので
送別会を開くことになった。
場所は工房の近くの商店街の中に
オープンしてほどない「fill」というお店だ。
Aさんとはランチタイムに利用済みの
元アリスのシェフが独立・開業したお店だ。
なので、テイストはアリスのまま、
絵画のように美しいプレートが並ぶ。
まずはシャンパンで乾杯し、
Aさんが辞めるに至った経緯などを話し、
私は本の出版に至る経緯を話した。
工房ではそんなプライベートな話は
ほとんどすることもなく
みんな静かに作陶に向き合っているので、
陶芸以外の話題はこういう時でないとできない。
Aさんが元教師としての教師のあり方や
趣味に求めるものなど
熱く語り、
それを聴きながら、
自分にとっての陶芸について考えた。
私はすでに14年くらいの作陶歴があり、
家の中にはと使いきれないあまたの器が
ごろごろ転がっている。
いったいいつまで続けるのか。
そろそろ潮時という気がしている。
趣味を通じた友人関係は大切にしたいが、
使いもしない器がたまりにたまって
会費の値上げだけが押し寄せてくるのは
いかがなものか。
ものごとには始まりがあれば
終わりもある。
人も出会いがあれば、別れもある。
そんなことを感じながら、
一皿一皿、心を込めて作られた
美しいお料理をきれいに食べ終えた。
今日、一諸に会食したメンバーは
気持ちよくこの度の本の出版を喜んでくれ
13日の発売日には電子書籍の注文を
約束してくれた。
単に同じ時間帯に土をこね
器を作っている以上の親交がここにあって
お互いに親しみを感じていることが判る。
趣味を通した友達とは
そうした人間関係なんだなと
あらためてありがたい存在だと思った。
Aさんが辞めてしまっても
また、美味しいものを食べにいきましょう。
そう約束してレストランを後にした。
歳をとればとるほど
友達は出来にくくなるので
別れても、努めて繋がる機会をもつことが
大切だと感じた送別会だった。
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