2015年8月22日土曜日

夕ざり茶会

芝増上寺のすぐ近く、浄運院というお寺の中で
『夕ざり茶会』と銘打たれたお茶会があり、
知人に誘われ、伺うことにした。
 
都会のど真ん中にこんなところがあったのかと思うような不思議な空間。
周囲はビルに囲まれているのに、
まるでタイムスリップしたかのような古民家と茶室があった。
 
まず、おしのぎとして、簡単な食事が供され、
お口湿しにと日本酒まで出された。
 
初物の松茸にはものお吸い物、
う巻き、生湯葉、赤こんにゃくなど、季節を感じる食材が
少しずつ盛られ、小腹を満たすように出来ている。
 
席主の先生はアイデアマンで本席に席入りする手前のお部屋に
いわゆるお茶のルールとは違うけれど、ユニークな品々を飾り、
お茶会に参加した私達を大いに楽しませてくれた。
 
これはネコの五徳の下に色石を敷き、
ティーポットをのせたもの。
中に氷水を入れ、目で涼しさを味わう趣向。
 
ティーポットの右に、本来表千家では使わない茶箱がしつらえてあり、
中にミニミニのお茶道具が仕組まれている。
 
入れ物である籠は東南アジアのどこかの国のものに
和紙で裏打ちし、布を貼って作られたとか。
中にはこんなにたくさんのものが納められていたのかとビックリする量の
茶道具一式が入っている。
 
その茶箱の中のお道具で、最後に冷たいお抹茶を点てていただいた。
 
先生はとてもおおらかな方らしく、
奢ることなく今日の茶道具の由緒をいろいろお話になりながら、
額に汗して、10杯以上のお茶を点ててくださった。
 
本席では夏限定の『お盆手前』でお薄が点てられた。
お盆を使ったお点前は本来、略式のものなので、
こうしたお茶会では行われることがないのが普通だ。
なので、逆にもの珍しく、
こうした趣向もいいものだなと感じた。
 
部屋が暗くて何も見えないが、
主茶碗は半透明のガラスに青いかわせみが描かれており、
まるでガレの作品のよう。
他にも氷柱を模したガラスの花入れにのうぜんかずらが入っていたり、
東京にもそんな窯元があるのかと驚くような茶碗が使われていたり、
席主のセンスが随所に光っていた。
 
 
普通、お茶会というと百人単位でお客様が押し寄せ、
3~4席ある茶席を順番に巡って、何杯かのお茶とお菓子を頂くのが常だ。
 
しかし、10名限定で、
おしのぎと薄茶を1服と主菓子をひとつ頂戴する
(今回は冷茶とお干菓子もいただいたが・・・)
そんな気軽で、それでいて趣向に富んでいて、
親しみやすいお茶会もいいものだ。
 
お茶事が本当に好きで、
席主のおもてなしの心がそこここに感じられる、
そんなお茶会を自分もやってみたいと思うが、
コソコソてびねりの抹茶椀を作っている程度では到底無理なので、
せめてこれを機会にまたこちらに寄せていただき、
楽しませてもらおうと思う。

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