2016年9月15日木曜日

偶然の一致

 
 
最近、私には新しい友達がふたり出来た。
 
ひとりは、時折、キモノや帯を求めていた呉服屋さんの新しい担当Nさん。
もうひとりは、昨年11月から通っているコナミで、初めて友達になったNさん。
 
夏の初め、キモノの展示会のお便りがNさんの名前で送られて来た。
古い担当の方はご高齢を理由に辞められたので、新しく担当になったとのこと。
 
挨拶かたがた、長女の結婚式に使うバッグとぞうりのセットを求めて、
東京駅近くの展示会場まで出向いた。
 
初めてお目にかかったNさんは、フィギュアスケートの鈴木明子さんそっくりの
大きな瞳をくるくるさせた綺麗な人だった。
 
初対面だったのに会話はとんとん弾み、気に入ったバッグと草履のセットも見つかり、
良い方が担当になってくれたと嬉しかった。
 
社交辞令とはいえ「版画の展覧会があったら、お知らせ下さい」と
申し出があったので、
銀座のお店にほど近いからと、「文学と版画展」の案内状をお渡しすると、
本当に甘納豆を携えて、観に来て下さった。
 
その上、共通の話題である歌舞伎のチケットも手に入れる手立てがあるからと、
10月の橋之助の襲名披露公演にもご一緒することになった。
しかも、取ってくださったのは、前から3列目のど真ん中の席である。
 
歌舞伎によく行っていた友人を昨年末に亡くしている私としては、
歌舞伎のことを話せるお友達ができただけでも嬉しいのに、
板東流の踊りを習っていた関係で、チケットも手に入れられるなんて・・・。
 
板東流と言えば、玉三郞であり、亡くなった三津五郎であり、
私にとってのご贔屓役者という共通項が、Nさんとはあることになる。
 
一挙に呉服屋の担当さんという垣根を越え、
まだ、ひとつもキモノを買っていないうちに(買っていないからこそ)
そういうことでのつながりなしに話の合う友達になれそうと確信したのだ。
 
 
もうひとりのNさんは、コナミスポーツで私がよく参加しているダンスのクラスで、
ひときわ背が高くて、アフロヘアを腰まで伸ばした
存在感のある女性だ。
 
いつもインストラクターの台の正面3列目に陣取り、
60~70名の参加者が、
周囲とおしゃべりしたり、ストレッチしたりして開始を待つ時間も、
誰とも話さず、何かダンスの振りの練習をしたりして、
ひとり時間を過ごしている。
 
私はいつも彼女の左隣エリアに陣取り、誰も話すような相手もないので、
ひとりストレッチしたりして過ごしていた。
 
ある時、レッスンの中でフリータイムといって、
隣近所の人と自由に踊っていい時間に、彼女と組んでいい感じに踊ることが出来た。
 
つんとすまして、話しかけないでオーラ出しまくりの彼女だったが、
組んで踊ってみると笑顔の可愛い人だった。
 
お互い、「今日はありがとうございました」といってスタジオを後にし、
そんなことが数回あった後に、いつしか開始前の時間にも話すようになった。
 
ある時、
「何か踊る系のこと、なさっていません?」と尋ねると、ベリーダンスをしているという。
 
「やっぱり」
 
「私は3年前までフラメンコをやっていて、今はアルゼンチンタンゴを少し」と、
踊りが共通なことが分かり、一挙に話は盛り上がり、距離が縮まった。
 
「見たい、見たい」とお互いにいうと、
彼女のベリーダンスの発表会が10月にあるという。
 
今まで名前も知らずに、水曜日のクラスで会うことしかなかった人が、
「本当に来て下さるんですか」といって、昨日、発表会の案内状を持ってきてくれた。
 
「ぜひ、伺わせてください」そう言って、初めて名前を訊いたところ、
「西村ユウコです」という。
 
「えっ、西村さん!?」
 
歌舞伎フレンドになったばかりのNさんも実は「西村さん」なのだ。
そちらは「西村サダコさん」
 
そんな偶然、あるだろうか。
 
歌舞伎とダンス。
私との共通項をもつ急接近中の新しい友達が、ふたりとも「西村さん」だったことに
かなりビックリしながら、
何かどこかでつながるってことの不思議さを感じた事件だった。
 
 

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