映画『君の名は.』は8月26日に封切られたアニメーション映画なのに、
12月末の今日の時点でもまだ上映されており、
予想をくつがえす興行収入を上げている。
当初、中高生向けの純愛アニメだとタカをくくっていた私も、
これは終了してしまう前にちゃんと劇場で観ておいた方がいいかなという気分になり、
ちょっと恥ずかしながら、チケットを取ってみた。
そうしたら、あに図らんや会場は木曜日の昼過ぎなのに、
子どもが数名と20代から70代ぐらいの男女で8割方埋まっており、
とりわけ男性が多いことにビックリ。
私の右隣は20代の男性だし、その向こう隣は30代男性か?
左はどう見ても60代男性で、皆、ひとりで観に来ている。
おもしろい集客層だと思いながら、映像が始まると、
とにかくその美しさに、またまたビックリ。
新海誠監督があちこちで取り上げられ、映像のしかも特に風景の美しさには、
定評があったが、実際に見て、クリエイターのひとりとして本当に凄いと思った。
主人公の男の子は東京に住んでいるから、新宿や代々木などの街の風景、
女の子は鎮守の森がある飛騨高山の山奥の田園風景が主な舞台だ。
それぞれ現代なり昔からある日本を代表するような場所なのだが、
そこの1番美しい時間や季節を切り取り、綿密な描写で見せてくれている。
特に秀逸なのは空の描写で、雲の動き、星や彗星の瞬き、
差し込む光など、本当に美しい。
そして、
なんてことのない街路に雪が降っていたり、雨に濡れていたりすることで、
人の感情をも映し出すような街角になっているし、
田園風景の黄昏時のどこか切なくなるような映像には
その場の風の香りさえ漂っている。
そこここに日本人のDNAに組み込まれた
郷愁や誇りを思い起こさせる仕掛けがしてあって、
日本人に生まれてよかったと思わせてくれるのだ。
また、「片割れ時」などという雅な言葉や、
「黄昏時は誰そ彼とも書いて、誰か見にくい夕暮れ時のこと」を指すとか
「口噛み酒」のいわれなど、
美しい日本語や日本の神事にまつわる話が物語の伏線になっているので、
そのあたりにこの映画の奥行きと、日本人としての優越感を感じてしまう。
プロデューサーの川村元気氏が、「ひょっとしたらかなりの興行収入いくかもと
最初の1週間で思ったのの何倍も、予想を遙かに超えています」と言っていたが、
メインターゲットを若者層に絞っていたところ、
開けてみたら全日本人の心に響いたということだろう。
ピコ太郎も世界中でとんでもないことになっているが、
『君の名は。』ももはや社会現象。
その美しい映像と物語の温かさ、日本の伝統のよさに触れ、
年末年始をしみじみ過ごされることをオススメする。
娘の結婚に題材を得た新作のタイトルを『縁』にしようかと思っていたが、
『結』にした方がいいのではと、目下、思案中である。
謎解きは劇場で・・・。
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