2022年4月24日日曜日

成育歴の影響

 





最近は土曜日も日曜日もなく
カウンセリング予約が入っていて、
カウンセリングルームとして借りている
討議室に通うことが多い。

今日も朝9時半から2本、
カウンセリングが入っていた。

駅前の鎌倉街道に出る手前には
大岡川が流れており、
昨日から川を横断する形で
こいのぼりが吊り下げられ泳いでいる。

毎年この光景をみると、
「子どもの日」が近いことを知り、
世の中の親は等しく
子どもの成長と健康を祈って
こいのぼりを飾るんだろうなと思う。

しかし、昨今、
カウンセリングルームを来訪する
クライアントさんの傾向として、
『成育歴』
つまり、どんな親にどんな風に育てられたかが、
問題になっているケースが多い気がする。

カウンセリングを受けようと思うきっかけや
理由はさまざまだけれど、
追及していくと
今ある目の前の困りごとが
親との関係、子ども時代のトラウマなどに
起因しているのだ。

「機能不全家族チェックリスト」と呼ばれる
20項目ほどのリストで
当てはまるものがあればと
チェックしてもらうと、
そのほとんどが当てはまるなどという例もあった。

機能不全家族というのは
大きくいうと2パターンあり、
①親が肉体的・精神的に虐待をする家庭
②親が多大な期待をかけたり、
子どもが家庭内の不和などを調和させようとして、
子ども自身が
大人の振る舞いをしなければならない家庭
ということになる。

例えば、①は
なぐる・言葉の暴力・ネグレクト(育児放棄)など
②は
長男なんだから後を継げ、
医者の家なんだから医者になれなど。
自分はさておき親の精神的な世話をする。
家族がもめた時、仲裁役になって
なんとかしようとするなど。

しかし、
わかりやすい虐待とかではないケースは
表に出にくいし、
表面だけつくろう高学歴の家族のように、
はたからは羨ましがられるような家庭もあって、
そうした家庭に育った子供は
大人になった今も
うまく人間関係が結べなかったり、
自己肯定感が著しく低かったりして
苦しんでいる。

なぜかそうしたアダルトチルドレンと呼ばれる
簡単にはケアできない
根の深い悩みを抱えたクライアントさんが
増えて
今、正に
カウンセラーとしての力量を試されているような
気がしている。

カウンセラーとしての経験は約11年だが、
これまでの中で
今が一番、重たい症例の方を
何人も診ていると感じている。

「アダルトチルドレン」とは
親との関係で何らかのトラウマを抱えた人
というのが定義である。

そうした「アダルトチルドレン」は
どうやって克服するのかというと
1.まず自分がACであることを受け入れること
2.嘆き…喪失した健全な親子関係
健全な発育という子ども時代の喪失
3.人間関係の再構築
という流れになるが、
ことはそんなに簡単ではない。

即効性のある薬があるわけでも、
手術のような方法があるわけでもない。

何十年もかかって
おりのように積もった心の傷なのだ。

私が当初より掲げている「認知行動療法」を
更に深めた「スキーマ療法」は
「アダルトチルドレンの克服」に
効果があるとエビデンスが報告されている。

目下、私のカウンセリングルームで
スキーマ療法を実施している方は
5名。

どの方も年単位で私の元に通ってきて、
自分らしい人生を取り戻そうと
頑張っている。

すでに20数年から40年近く経った人生を
より生きやすく・輝いたものにするため、
リセットし、新しい価値観を身に着け、
前に進もうとしているのだ。

そんな人の人生に深く関わっている自分を
はたと見つめ直す時がある。

自分は親としてどうだったかと。

そして、月に数回、娘のところで
ばぁばご飯を作ったり、遊んだりしていることが
どんな形で孫の人生や
娘の人生に影響しているのかと。

人は良かれと思ってしていることも
相手にとってはトラウマになることもあるし、
知らずにトラウマを与えていないとも限らない。

そんなことを
今、関わっているクライアントさんから
感じる度に、
日々の小さな積み重ねを大切に
しなければと思う。

川面にそよぐこいのぼり

子どもは生来持っている
「中核的感情欲求」を満たして
自由闊達に育つように、
親は見守ることが何より大切だと
そう思う今日この頃である。









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