本年度のアカデミー賞最優秀作品賞に輝いた
映画「Coda あいのうた」を観てきた。
当初、封切られたときには観なかったから、
今は夜6時半から8時の1回だけで、
会場はガラガラだったが、
ちょっと無理して観に行ってよかった。
「Coda」とは
聴覚障害の親をもつ健聴の子どもという意味。
最初、Codaそのものが聴覚障害者という
意味かと思ったが違った。
映画の主人公ルビーは
両親と兄の3人が聴覚に障害があり、
その第2子として生まれ、
聴覚障害がなかったばっかりに
17歳になるまで、
家族の通訳という役目を担ってきた。
父親と兄は漁師で、
時にはルビーも船に乗り、
家族の通訳として、作業を手伝う担い手として
過ごしている。
しかし、一方、
ルビーには家族の知らない特技があった。
それは歌うこと。
類まれな声と歌唱力を持っていて、
歌うことは大好きだが、
家族の通訳として働くため、
進学はあきらめようとしている高校生だ。
けれど、高校の音楽教師にその才能を見出され、
強く進学を勧められる。
(その音楽教師がぶっ飛んでいて面白い)
先生に指名され、ルビーは
まったく家庭環境の違う男子学生と
デュエットを組むことになるが、
ある事件を契機にふたりは反目する。
分かり合えない二人。
Codaの子どものあるある問題を
ユーモアと下ネタで笑いに変え、
悲痛な映画にならずに描き、
でも、深く考えさせられた。
「ドライブ・マイ・カー」も作品賞に
ノミネートされ、最優秀賞は逃した。
両方、観たが、
「Coda あいのうた」の方が
分かりやすいし、共感率も高いと思う。
「Coda」に出演していた
お父さん役とお母さん役のふたりは
実際に聴覚障害をもつ俳優さん達だし、
確か、お父さん役の俳優さんは
最優秀助演男優賞も取ったはず。
今年のアカデミー賞は
ウィル・スミスの殴打事件に
話題をかっさらわれ、
ウィル・スミスは向こう10年の出禁になった。
もちろん壇上に出て行って
司会者を平手打ちは
いただけない行為だとは思うが、
あの司会者の言ったことは
ジョークでも何でもないし、
脱毛症という病に対するデリカシーも配慮もない。
人は決して完全ではないというのは
オリンピックイヤーの去年と今年、
パラリンピックの時にも
「健常ではない人の数全人口の15%?!」だかの
数字と共にみんなの記憶に新しいはずだ。
アメリカン・ジョークとして
笑えない、えげつない言葉や態度が
どれだけ人を傷つけることになるのか、
アカデミー賞を観ていて共通した
問題なのではないかと感じた。
映画の中の何がえげつないのかは
是非、実際に観てほしいなと思う。
映画自体は本当に素晴らしいし、
最後は心が暖かくなるから!
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