2023年2月28日火曜日

ばぁばご飯 ひな祭りバージョン





















本日のばぁばご飯は
大して頼まれていもいないのに
オーママがひとり意気込んで
「ひな祭りバージョン」

去年のひな祭りバージョンは
雛人形のお寿司が上にのっている
菱餅型の押し寿司を作って好評だったので、
今年は「キンパ」と「スイーツ」で
華やかな女の子のお祝いの感じを出してみた。

キンパはいわゆる「萌え断」と呼ばれる
切り口(断面)が美しい代表選手だ。

ほうれん草の緑、卵焼きとたくわんの黄色、
人参の朱色、牛肉の茶色、
ご飯と白ごまの白に、海苔の黒。

すべての具材をひとつずつ味付けし、
卵焼きの黄色が鮮やかになるよう
わざわざ上白糖を家から持ち込んだ。
(娘の家はきび砂糖なので薄茶色)

スイーツは3種。
「苺のムース」と「フルーツグラタン」の
予定だったが
ホイップクリームが余ったので、
急遽「マリトッツォ」も追加した。

こちらは苺の赤、クリームの白はもちろん
たくさんのフルーツが入ってとてもカラフルだ。
どう見ても
オーママが「映え」を狙っているのが
バレバレだ。

他の料理はすべて、孫と娘のリクエストなので
みんなの好物ばかりだ。

生クリームはスイーツの他にも
「鶏むね肉のレモンクリームソース」に使った。
今日だけで計3パックの200mlの生クリームを
使用したので、
完全にカロリーオーバーだ。

いつもなら、
「ご飯が食べられなくなるから
甘いものは少しにしておきなさい」と
言われている孫たちが、
今日はポテトやチキンやスープのお替りを
ねだると
「後で苺ムースが入らなくなっちゃうよ」と
いつもとはあべこべの言われようだった。

とにかく食べたい一心の孫2号は
まだ2歳なのに
すっかりお箸が上手になって
一心不乱にポテトにかぶりついている。

孫1号も食べてる傍から目移りして
あれもこれもスイーツもと忙しい。

朝10時半からずっとキッチンに立っていた
オーママはいささか足がむくんで
お疲れモードだけど
これだけ喜んで食べてくれれば
ばぁば冥利に尽きるというものだ。

今年のひな祭りのばぁばご飯は
こうして無事にミッションクリア。
(ミッションだと思っているのは私だけ)

私も自分の娘たちのためには
ここまで一生懸命、お祝いのご飯なんて
作らなかったし、
現在、娘も仕事をしながらの子育てで
雛人形を出して飾るので精一杯という感じだ。

現役の母親はそんな余裕がないのが
現状だとしたら、
いつか、オーママがいろいろ作ってくれたと
記憶に残ってくれたらそれでよし。

なにしろ
人が美味しそうに何か食べている笑顔は
やっぱりいいものだから。









































 

2023年2月26日日曜日

きもので鎌倉観梅ツアー

 




















2月26日日曜日、
鎌倉に住んでいるお茶の友人Kさんを誘って
鎌倉の梅の名所に出かけた。

お茶のお稽古でご一緒の友人なので、
ドレスコードはきものと私が勝手に決め、
見学コースはKさんにお任せした。

お天気はこの上ないほどの晴天に恵まれ、
ちょっと風が冷たい。
けれど、日差しの力強さに
春の訪れを感じるそんな1日だ。

まずは鎌倉駅に集合し、駅前から
鎌倉霊園方面にいくバスに乗った。

バスにはご一行様という感じで、
かなりのご高齢の一群が
ウィンドブレイカーにパンツ、
ウォーキングシューズに帽子とリュック
といういでたちで私たちの前に乗り込んだ。

鎌倉ではこうしたご高齢の団体が
リーダーの説明を聴きながら
歩き回っている姿をよく見かける。

彼らは見事に似たような恰好をしているので、
その群れの中にまぎれたきもの姿の私たちは
まるで異邦人だ。

バスに乗るとその方たちのひとりと
若者のひとりが慌てて席を譲ってくれ、
私たちはきもの特権のお陰で
座ってバスツアーを始めることになった。
(といってもバスに乗ったのはこの1回だけ)

まずは浄明寺で下車し、
いよいよ強行軍の観梅ツアーの
はじまりはじまり。

最初はKさんご推奨の
「一条恵観山荘」から。

一昨年の秋の紅葉がとてもよかったとのことだが、
特段、梅の名所というわけでもなく、
お屋敷内の拝観日ではないので
逆さ富士ならぬ逆さ灯篭の映る
円窓と床を拝見し、1か所目はサラっと見学。

その後は、「旧華頂宮邸」と「報国寺」

近隣とはいえ、
きもので歩くとなるとかなりの距離がある。
しかし、常日頃、
このあたりをジョギングしているKさんは
ものともせずにきものでずんずん進んでいく。
私も負けじとずんずんついていく。

肝心の梅はややまだ早く、
満開に近いものもあれば
五分咲ぐらいのものもある。

それでも、梅はその枝ぶりに趣があり、
古木であればあるほど風情があるので
大量に咲き乱れていればいいというものでもなく
じゅうぶん楽しめた。

ランチをとった稲荷山・浄妙寺の中の
石窯ガーデンテラスでは
スタッフの何人かにきものを褒めてもらい
「何かあるんですか」と訊かれたりした。

「梅を観にきたので」というと
驚いた様子で
古都鎌倉でも、ハイキング姿のお客さんは
見慣れているけど、
きもので観光に来る人は珍しいとみえる。

本日の私のきものの柄は梅の花。
帯の飾りの根付けも梅の花。
こんなお遊びができるのも
きものならではの楽しみ方だ。

その後も「きもので歩き倒すツアー」は続き、
元原節子邸の前をウロチョロしたり、
裏道をまわって荏柄天神に立ち寄ったりした。

最後は鎌倉彫会館なるところのカフェで
一服。
抹茶味のプリンと和紅茶のアイスティーを
いただいて本日の全行程を終了。
結局、帰りはバスには乗らず
駅まで歩き通した。

帰宅してスマホを見ると
総歩数 17066歩
距離 10,95キロ

なかなかあっぱれな数字だと思う。
ランチのビールと夕餉の赤ワイン
いずれも心置きなく頂戴した。







































2023年2月22日水曜日

映画鑑賞『エゴイスト』

 










ポコッと時間ができたので、
みなとみらいのKinoCinemaに
『エゴイスト』を観に行ってきた。

R15指定の大人の映画で、
ご近所のTOHOシネマあたりでは
やっていないマニアックな映画だ。

主演が鈴木亮平と宮沢氷魚
ふたりがゲイのカップルなので
かなりきわどいベッドシーンが
繰り広げられていて
だいぶエロティックだという噂だった。

ベッドシーンはともかく
個人的には鈴木亮平がすごくうまい役者だと
思っているので、
今回の役をどんな風に演じるのか
とても興味深かった。

結論からいうと、
いつものシュッとしたイケメン有能なになに
みたいな役に比べ、
どこか女言葉のイントネーションが出ちゃう
あたりすごくうまいなという印象だ。
大柄な男性の泣きの演技もいい。

また、宮沢氷魚演じる龍太の母親役を
阿川佐和子が演じていて
それがすごくうまいという映画評を見て
そこも興味津々。

こちらはすっぴんの体当たり演技で、
貧しくつましい生活をしている
初老の女性の心理を見事に演じていた。

この映画の原作は高山真というコラムニストで
自伝的小説だというから
本人もゲイだったもようだが、
2020年、癌で50歳という若さで他界している。

物語は
鈴木亮平は齋藤浩輔という役どころで
ファッション誌の編集者。
なので、高山真はこの男性のポジションか。

一方、宮沢氷魚が演じるのは龍太という若者で
病気がちな母親のために
パーソナルトレーナーや他の危ない仕事を
掛け持ちしながら生計を立てている。

そんなふたりが出会って惹かれ合う。
前半は確かにかなりのきわどさで
ふたりの男の肉体がもつれあう。
鈴木亮平の隆々としたたくましい肉体と
宮沢氷魚の白くて細く美しい肉体。

映画館の客席は満席で
40~50代の女性がほとんどだったが、
物音ひとつたてず
息をのんで映像を見つめている気配を感じる。

私も予想外の人気ぶりで
前から2列目中央のかぶりつきの席しか
とれなかったので、
大写しのふたりの体から匂い経つ熱気で
むせかえるような気がした。

しかし、物語は途中で思いもかけない展開に。

これ以上は書けないが
後半は龍太の母親役の阿川佐和子と
浩輔役の鈴木亮平のふたりの心と心が
解けていく人間模様を丁寧に描いている。

「与えることで満たされていく、
この愛は身勝手ですか?」と
タイトルの『エゴイスト』の意味を
解説しているが、
観た人はそれぞれに愛とは何か
宿題を投げかけられ、
映画館の椅子からなかなか
立ち上がれない。

きっと同性愛者に生まれた人は
私たちのような普通の性愛者より
そんな問いかけをずっとずっと抱えて
生きているんだろう。

個人的に私は女なのだが
ゲイというセクシャリティに
とても興味があり、
追いかけてSNSで見聞きしている人も
何人かいる。

そんな内のひとり
ドリアン・ロロブリジータが
とても重要な役どころで、
しかもゲイの役そのままで出ている。

どういう好奇心でこの映画を観るかは
人それぞれだとは思うが、
いわゆるマイノリティの性自認をもつ
人たちの苦悩や生きづらさを
ひりひりと感じることができた。

東京国際映画祭での評価も高かったと聴く。
是非、変な色眼鏡で見ずに
人間愛の奥深さに触れてほしいと思う
そんな映画だった。



















2023年2月19日日曜日

ろくろに挑戦

 







趣味の陶芸工房に通い出して
早くも12年ほどの年月が経った。

このブログにも何度も作陶風景やら、
出来上がった作品をアップしてきたが、
実はそれはすべて
「手びねり」という工法で作られている。

陶芸には大きくいって
「手びねり」と「電動ろくろ」という
2種類の作り方があって
私が通っている工房は
どちらでも自由に選んで作陶することができる。

12年前、入会時に教えてもらって経験したのは
「玉づくり」「板づくり」「紐づくり」の3種の
手びねりによる作り方だったので、
そのままの流れで手びねりばかり作ってきた。

私は陶芸で自分が作りたかった器が
抹茶椀や陶板、オーバルの大皿など
ろくろの成形より手びねりで作った方が
向いているようなものが多かったこともあり、
ろくろにはご縁がないままに今日まできた。

この間、
全くろくろに触ったことがないかといえば
嘘になるが、
きちんと正式に習ったことがない。

6年ほど前、1度だけ
先生のろくろの講習会を受けたことがあるが、
運の悪いことに帯状疱疹にかかった直後で
わき腹と背中が痛すぎて
全く体に力が入らず、ものにならなかった。

手びねりでは手動のろくろ台の上で作陶するので
そのまま電動ろくろでも同じかと思いきや
これが全くというほど勝手が違う。

電動ろくろで作陶するには
まず、土を真ん中に据えて
「芯出し」と「土殺し」という作業を
しなければならず、
きちんと中心に据えられていない土で
いくら作ってもまともなものはできないのだ。

先週の日曜日、
久しぶりに会員向けの「ろくろ講習会」が
行われたので、
「ここでやらなければ一生やらないだろう」と
意を決して申し込んだ。

1回に3人ずつ、
横に並んで一斉に作陶するのを見ながら
先生が口で説明するだけで手は出さない。

受講申し込みの用紙には
お題は「マグカップ」で作陶の説明はするが
会員は土殺しまではできるようになっていること
とある。

この工房に素人さんが体験教室に申し込み
マグカップだの茶碗だの作陶する時は
前段階の難しい芯出しや土殺しは
先生がみんなやってしまう。

体験に来た人はすでに中心に据えられた土で
おいしいところだけ作って
自分で作った気分を味わってもらうのが
体験教室なのだ。

しかも、
作陶した後の「削り」「釉がけ」「焼成」など
めんどくさいところも全く無しで
色だけ決めて、そこから先の工程は
すべて先生がやって器は出来上がってくる。

しかし、会員はそのすべての工程を自分で
できるようにならなければ
自分が作ったとはいえないからと
まずは「芯出し」と「土殺し」も
自習して会得するように言われている。
(焼成だけは先生がなさる)

しっかし、この「芯出し」と「土殺し」
やってみると実に難しいし、
とにかく力がいる。

木版の制作ではのみで木を彫っているし、
ばれんで版も摺っていると思っていたが、
そことは違う場所に力を入れるせいか
腰は痛いし、腿と二の腕はパンパンだ。

自習するにあたって
何本動画を見ても男性の陶芸家しかいないと
思ったが、
こんなに力仕事だったとは。
あらためて陶芸は男の世界なのかもしれない。

その難しい「土殺し」を自分で覚えろとは
教師としてずいぶんいじわるな奴だと
会員同士で悪口を言いながらも
とにかくできませんでは済まないので
必死に動画を探して自習した。

お陰で講習会当日、
電動ろくろによる「土殺し」のコツは
おぼろげながらできるようになったので、
先生のレクチャーの元、
何とかマグカップらしきものが出来あがった。

それを6日間、発泡スチロールの箱にいれ
乾燥させてあったので、
昨日の作陶日は「削り」の作業へと進んだ。

削りについても先生のレクチャーはなく、
大抵、土曜日は体験の人につきっきりなので、
やはり動画を見まくってイメトレをし、
なんとか削りの作業も終えることができた。

やはり同じ会員同士、
「そこもちゃんと教えないのは
おかしいんじゃないの」と
憤懣やるかたないという感じで
陰でブーイングの嵐が吹き荒れたが、
たまたま新人会員のために教えにきていた
先輩会員に教えを乞うて
事なきを得てマグカップの削りができあがった。

私も友人も教師業なので、
「教えてもいないことに対して受講料をとるのは
おかしいし、
できるようになっておけというのも
おかしい」と友人の鼻息は荒い。

自由作陶で好きなものを作れる工房であることは
嬉しいが、
会員の会費を徴収している以上、
基本的な技術を教えなくてもいいわけじゃない。

そのあたりの問題が
いよいよ顕在化して
火を噴きそうな状況だ。

個人的には
昨日、削りを終えた「大鉢」は
はめ込みの装飾があるので
電動ろくろでは決して作り得ない。
こうしたデザイン性の強い器は
買おうと思っても、まず売っていないだろう。

こうした個性的な器ができると嬉しいので
今後、体験した電動ろくろにのめり込むかと
言えば、きっとそうでもないだろう。

なにしろ電動ろくろは円しかできないので、
オーバルのもの、四角いもの、
今回のように
飾りがはめ込まれたものなどはできないからだ。

というわけで
すでに作陶歴の12年の手びねりの世界で
自分らしい作品ができるようになっていることを
あらためて確かめ、
一層、手びねりの世界でやりたいことが見えた
そんな気がする電動ろくろ体験だった。

とはいえ、もう少し粘って
電動ろくろに向き合ってみるつもり。
やはりできないものがあるのは悔しいし、
負けを認めたくないから。