ポコッと時間ができたので、
みなとみらいのKinoCinemaに
『エゴイスト』を観に行ってきた。
R15指定の大人の映画で、
ご近所のTOHOシネマあたりでは
やっていないマニアックな映画だ。
主演が鈴木亮平と宮沢氷魚
ふたりがゲイのカップルなので
かなりきわどいベッドシーンが
繰り広げられていて
だいぶエロティックだという噂だった。
ベッドシーンはともかく
個人的には鈴木亮平がすごくうまい役者だと
思っているので、
今回の役をどんな風に演じるのか
とても興味深かった。
結論からいうと、
いつものシュッとしたイケメン有能なになに
みたいな役に比べ、
どこか女言葉のイントネーションが出ちゃう
あたりすごくうまいなという印象だ。
大柄な男性の泣きの演技もいい。
また、宮沢氷魚演じる龍太の母親役を
阿川佐和子が演じていて
それがすごくうまいという映画評を見て
そこも興味津々。
こちらはすっぴんの体当たり演技で、
貧しくつましい生活をしている
初老の女性の心理を見事に演じていた。
この映画の原作は高山真というコラムニストで
自伝的小説だというから
本人もゲイだったもようだが、
2020年、癌で50歳という若さで他界している。
物語は
鈴木亮平は齋藤浩輔という役どころで
ファッション誌の編集者。
なので、高山真はこの男性のポジションか。
一方、宮沢氷魚が演じるのは龍太という若者で
病気がちな母親のために
パーソナルトレーナーや他の危ない仕事を
掛け持ちしながら生計を立てている。
そんなふたりが出会って惹かれ合う。
前半は確かにかなりのきわどさで
ふたりの男の肉体がもつれあう。
鈴木亮平の隆々としたたくましい肉体と
宮沢氷魚の白くて細く美しい肉体。
映画館の客席は満席で
40~50代の女性がほとんどだったが、
物音ひとつたてず
息をのんで映像を見つめている気配を感じる。
私も予想外の人気ぶりで
前から2列目中央のかぶりつきの席しか
とれなかったので、
大写しのふたりの体から匂い経つ熱気で
むせかえるような気がした。
しかし、物語は途中で思いもかけない展開に。
これ以上は書けないが
後半は龍太の母親役の阿川佐和子と
浩輔役の鈴木亮平のふたりの心と心が
解けていく人間模様を丁寧に描いている。
「与えることで満たされていく、
この愛は身勝手ですか?」と
タイトルの『エゴイスト』の意味を
解説しているが、
観た人はそれぞれに愛とは何か
宿題を投げかけられ、
映画館の椅子からなかなか
立ち上がれない。
きっと同性愛者に生まれた人は
私たちのような普通の性愛者より
そんな問いかけをずっとずっと抱えて
生きているんだろう。
個人的に私は女なのだが
ゲイというセクシャリティに
とても興味があり、
追いかけてSNSで見聞きしている人も
何人かいる。
そんな内のひとり
ドリアン・ロロブリジータが
とても重要な役どころで、
しかもゲイの役そのままで出ている。
どういう好奇心でこの映画を観るかは
人それぞれだとは思うが、
いわゆるマイノリティの性自認をもつ
人たちの苦悩や生きづらさを
ひりひりと感じることができた。
東京国際映画祭での評価も高かったと聴く。
是非、変な色眼鏡で見ずに
人間愛の奥深さに触れてほしいと思う
そんな映画だった。
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