映画「LEGEND & BUTTERFLY」を観てきた。
織田信長と濃姫の夫婦の物語だ。
戦国武将を語る時、
織田信長か豊臣秀吉か徳川家康か、
この3人だったら誰が好き?
みたいな語られ方はよくある。
しかし、この映画は
完全に織田信長と濃姫という夫婦が
どんな夫婦だったのかが焦点の
愛情物語だ。
濃姫はその史実があまりというか
ほとんど残っていないらしいので、
これは原作者なのか監督なのかの描く
「こうであってほしい」という人物像であり、
夫婦像なのかもしれない。
しかし、
キムタクの信長は念願の配役だったようだし、
綾瀬はるかの濃姫も彼女でなければという
ご指名だったと聞いている。
個人的にはキムタクは
あまり素直に好きになれない役者で
口をひん曲げてニヤッとするのが嫌いだし、
外股すぎる足も嫌いだし、
第一、女の趣味が悪いと思っているのだが、
それは何でもできる人への嫉妬かもしれない。
また、何でもこなすあまり、
どんな職業をやっても
キムタクの何々に見えていたのだが、
今回の信長はちょっと違って、
信長はキムタクでなければと思わせてくれた。
さて、私のキムタク論はどうでもいいので、
物語の内容に話を転じよう。
濃姫は斎藤道三の娘で
信長とは完全な政略結婚。
濃姫は3度目の結婚で姉さん女房。
信長は初婚。
結婚当初、信長はまだチャラけたこわっぱで、
男のプライドと鼻っ柱の強さだけの
中身が伴わない若造だ。
それに対して、
濃姫は肝の座ったおなごで
気が強く武芸に秀でていて
信長に真っ向からぶつかっていく。
大河ドラマ「麒麟がくる」の
信長と濃姫の配役は
染谷将太と川口春奈だったのに比べ、
キムタクと綾瀬はるかの方が
しっくりくる。
いささかこわっぱ時代をやるにしては
キムタクは歳をとりすぎているが、
キャラクターとしては万人が思い描く信長像に
こちらの方が馴染むのではないだろうか。
物語は気の強いふたりが紆余曲折を経て
強く結びついていく晩年までを追っていて、
最後はファンタジーのような映像だが、
史実がどうであれ
そうであってほしいと思えるエンディングだった。
題名の「LEGEND&BUTTERFLY」は
「伝説と蝶」という意味だが、
信長が伝説の人だからということと、
濃姫の別名が帰蝶だったことから
来ていると思われる。
映画の途中に亡霊のような形で
蝶々が舞い、信長の肩に止まるシーンがある。
美しくて象徴的なシーンだ。
これ以上はネタバレが過ぎるのでこの辺に
しておくが、
この映画の「キムタクは何をやっても
キムタクはキムタクよね」という枠を超え、
「やはり信長はキムタクじゃないと」と思わせる
ハマりっぷりなので、一見の価値ありだ。
濃姫は本当にあそこまで武芸に秀でていたのか、
この時代にあれだけ女性が自己主張できたか疑問だが、
女性ならではの切ない心情も描かれ、
綾瀬はるかがやってくれたお陰で
とても魅力的な女性像になっている。
映像的にもこの映画は莫大な予算を費やし
脇も充実の俳優陣が揃っており、
今期の大河のようなちゃちなCG処理などもなく
見ごたえがあった。
時代物は大軍の合戦シーンやら、
馬の駆け抜けるシーンやら、
城が燃え落ちる場面やら、
何かと真っ赤な嘘になりがちだが、
そのあたりの美術さんの技術もいい。
ちょっとキムタクの本領発揮で
一皮むけて、
個人的にも見直せた映画であった。
オススメだ。
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