友人がかねてより研鑽を積んでいるなぎなたの試合を見学しに、
中野にある中野体育館まで出掛けた。
友人は次女のママ友で、おつきあいして15年近く経つが、
私のママ友の中でもひときわ上品で奥ゆかしい奥様タイプだから、
武道であるなぎなたをする姿が想像できないでいた。
だいぶ前から一度試合を見せてと頼んでいたところ、
ようやく実現した次第だ。
なぎなたの試合には「演技競技」と「試合競技」の二通りあって、
「演技競技」はいわゆる型を競うもので、呼吸とか間合いとかかけ声などを競う競技。
「試合競技」は面や胴など防具を着け、実際に戦う競技である。
「礼に始まり、礼に終わる」の言葉通り、
古い体育館の地下の道場では小学生から、かなりご高齢の婦人まで、
相当な数の袴姿の選手達がきびきびを動いていた。
私も武道を見学するにふさわしくあろうとして、着物で伺うことにした。
到着した時、友人は記録係の席で、中学・高校の演技競技の記録を執っていた。
途中で私に気づいて、観客席のところまできてくれた友人は
いつものメガネをコンタクトに換え、袴姿のせいか、ちょっと雰囲気が違う。
実際に「演技競技」に出ている友人の声は野太く、お腹から出ているその声は、
いつもとはまったく違い、迫力があって凛々しい。
演技自体はやや遠くて、どこをどう見れば違いが分かるのか、
実はよく分からなかったが、
両者間の凛と張り詰めた空気だけは感じられた。
そして、次に小・中学生の「試合競技」が始まると、
防具を身につけたちびっ子剣士達が、次々トーナメント方式で戦うことになり、
何試合か見る内に、動きの俊敏さや呼吸の間合いの良さなど、
何が試合を分けるのか、少し見えてきたような気がした。
「試合競技」は次女が中学・高校時代にやっていた剣道にかなり近いものがある。
違うのは足にも防具を着けることで、
剣道のこてという技の代わりに、なぎなたは竹刀より長いので、足元を打つ技がある。
袴の裾を挟み込んだ形で膝下に防具を着けているその姿は
足が防具に覆われて一回り太くなるせいか、とてもたくましく見え、
面をつけていない時には若いお嬢さんだったはずが、
いずれも凛々しい剣士に早変わりする。
たぶん、防具を身につけた瞬間から、気持ちも武士のような戦う女になって、
気合いも入り、声もお腹から出るようになるに違いない。
友人のそうした胴着姿を間近に見ることが出来、
3回戦まで勝ち進む姿を見届け、私はもうひとりの友人と体育館を後にした。
ママ友ランチ会や海外旅行で見る彼女とは全く違う一面を見られて楽しかった。
同年代の友人が、子育てを終えた後、自分らしい楽しみを見つけて、
生き生きとしている姿を知ることは、心強い。
「自分も自分らしく頑張ろう!」
そう思いながら、家路についた。
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