9月の初めから10月中旬にかけて、3つの展覧会が続いている。
この1年で制作した7点は、すでに横浜で、6月の紫陽花展に出品しているが、
9月からは東京で、展覧会の目的別に小分けにして出品している。
『文学と版画展』には、瀬戸内寂聴の『爛』の表紙装丁という設定で創った『爛』を、
実際に表紙カバーとして印刷したものと同時に展示した。
『版17展』では、『爛』と組作品の『艶』という作品を、
赤と青の対比する作品として展示した。
『日本版画協会展』は団体展なので、会場が都美術館での展示となり、
その天井高に映えるよう大型作品の『レクイエム』を出品した。
作品の置かれた環境が変わると、作品も違って見えるので、
4つの展示会場それぞれで、自分の作品でありながら、学ぶことも多い。
一方、7月8月は暑いので、木版の摺りの作業は出来ないから、
新作原画を起こして、家にこもって彫りの作業をしている日も多かった。
しかし、9月になった途端に、グループ展が始まり、
それに伴って、搬入、展示、当番、搬出はもちろん、
それぞれの展覧会で、友人を誘ってランチをし、絵を観ていただく日が続いた。
旧メンバーとの交流や、新しいメンバーとの出逢い、
友人知人、画廊関係者から、作品の感想を聴いたりして、
楽しい日々の連続の内に、9月はあれよあれよと言う間に過ぎていった。
がしかし、10月も1週間ほど過ぎたあたりから、
毎日のように、電車に乗って、どこかに出掛けることに疲れが出てきた。
Out putばかり続いたので、「In putしなくていいの?」と体が言ってきているのだ。
そうなると、急にどこにも出掛けず、家に閉じこもって、
朝から晩まで作品を彫っていたいという衝動がこみ上げてくる。
アトリエには原画を転写しただけで放置してある新作の版木が、
彫り師の帰りを待っているじゃないか。
なんだか版画家として、急に我に返ったような気分で、
昨日今日は、朝新聞を取りにポストまで行き、
ついでに花の水遣りをした以外1歩も外には出ず、彫り作業を敢行。
久々に彫りをしたせいか、右手の親指に水ぶくれが出来てしまったが、
何とか大きな版木の両面をクリアした。
10月中にこの作品の彫りを仕上げて、摺りへ移行できれば、
季節も秋本番で、ちょうど摺りに適した気温になっているだろう。
体育の日の今日は急に気温が下がったせいか、肌寒いぐらいだ。
9月が連日の雨と異様な暑さだったから、反動で少し気温が下がっただけで、
平年並みなのに寒く感じるということらしい。
さてさて、今夜は牛すじ肉の煮込みなど作って、
きのこの炊き込みご飯と共に、秋を味わうことにしよう。
こうして年間スケジュールのお披露目の季節は終わって、
これからは制作の季節の到来なのである。
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