2016年10月10日月曜日

Out putから In putへ

 

 
9月の初めから10月中旬にかけて、3つの展覧会が続いている。
 
 
この1年で制作した7点は、すでに横浜で、6月の紫陽花展に出品しているが、
9月からは東京で、展覧会の目的別に小分けにして出品している。
 
『文学と版画展』には、瀬戸内寂聴の『爛』の表紙装丁という設定で創った『爛』を、
実際に表紙カバーとして印刷したものと同時に展示した。
 
『版17展』では、『爛』と組作品の『艶』という作品を、
赤と青の対比する作品として展示した。
 
『日本版画協会展』は団体展なので、会場が都美術館での展示となり、
その天井高に映えるよう大型作品の『レクイエム』を出品した。
 
作品の置かれた環境が変わると、作品も違って見えるので、
4つの展示会場それぞれで、自分の作品でありながら、学ぶことも多い。
 
一方、7月8月は暑いので、木版の摺りの作業は出来ないから、
新作原画を起こして、家にこもって彫りの作業をしている日も多かった。
 
しかし、9月になった途端に、グループ展が始まり、
それに伴って、搬入、展示、当番、搬出はもちろん、
それぞれの展覧会で、友人を誘ってランチをし、絵を観ていただく日が続いた。
 
旧メンバーとの交流や、新しいメンバーとの出逢い、
友人知人、画廊関係者から、作品の感想を聴いたりして、
楽しい日々の連続の内に、9月はあれよあれよと言う間に過ぎていった。
 
がしかし、10月も1週間ほど過ぎたあたりから、
毎日のように、電車に乗って、どこかに出掛けることに疲れが出てきた。
 
Out putばかり続いたので、「In putしなくていいの?」と体が言ってきているのだ。
 
そうなると、急にどこにも出掛けず、家に閉じこもって、
朝から晩まで作品を彫っていたいという衝動がこみ上げてくる。
 
アトリエには原画を転写しただけで放置してある新作の版木が、
彫り師の帰りを待っているじゃないか。
 
なんだか版画家として、急に我に返ったような気分で、
昨日今日は、朝新聞を取りにポストまで行き、
ついでに花の水遣りをした以外1歩も外には出ず、彫り作業を敢行。
 
久々に彫りをしたせいか、右手の親指に水ぶくれが出来てしまったが、
何とか大きな版木の両面をクリアした。
 
10月中にこの作品の彫りを仕上げて、摺りへ移行できれば、
季節も秋本番で、ちょうど摺りに適した気温になっているだろう。
 
体育の日の今日は急に気温が下がったせいか、肌寒いぐらいだ。
9月が連日の雨と異様な暑さだったから、反動で少し気温が下がっただけで、
平年並みなのに寒く感じるということらしい。
 
さてさて、今夜は牛すじ肉の煮込みなど作って、
きのこの炊き込みご飯と共に、秋を味わうことにしよう。
 
こうして年間スケジュールのお披露目の季節は終わって、
これからは制作の季節の到来なのである。
 
 

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