2017年4月1日土曜日

焼き立てほやほやの貯金箱


 
 
 
 
 
午後イチで陶芸工房に行くと、先生が、今まさに釜から出したばかりの器たちを、
土を練る工作台の上に所狭しと並べているところだった。
 
釜から出したばかりの器からはかすかに湯気が立ち、
触れば熱い。
そんな釜出しのタイミングに遭遇したのは初めてだ。
 
それを土曜日午後のメンバー5~6人が取り囲んで見守っている。
 
釜から出てくる器はいろいろな形をしていて、
中には自分の器もあるし、仲間の器も入っているわけだが、
今回は課題の『貯金箱』と『抹茶椀』が含まれているので、
普通の茶碗やどんぶりなどに混じって、面白い形のものが見えると、
みんなから「おーっ」という声が上がる。
 
貯金箱はロケットやロボットの形だったり、鉛筆削りの形だったりと、
ひとつひとつ全く違う形なので、無事に焼きあがってくるのか
それが例え人の作品であっても心配なので、
ちゃんと釜から出てくるだけで歓声が上がってしまうというわけだ。
 
私の貯金箱も、ワインボトルを何かでラップしてリボンをかけたような形なので、
背の高さもあるし、すぐにでも折れそうな華奢な部分もあるしで、
みんなの注目を浴びていた。
 
ふたつ作ったのはきちんと最後まで焼きあがるか心配だったので
保険をかけたという意味合いもある。
 
それが、無事、ふたつとも欠けたり割れたりひびが入ったりすることなく
焼きあがったのだから、嬉しいの一言だ。
 
先生も内心、ホッとなさったのではないだろうか。
 
何しろ、陶芸工房では作陶は会員自身だけど、その後の素焼きと
釉薬をかけた後の本焼きという焼成パートは先生の手にゆだねられているので、
土の問題や練り加減の問題、厚みの問題など作り手起因の失敗なのに、
焼成で失敗すると何だか先生がしくじったみたいになる。
 
だから、今回みたいに複雑な形の作品がいくつかの山場を乗り越え、
最後まで焼きあがってくるのは、作者はもちろん、先生にとっても喜ばしいことなのだ。
 
今日の私の分は他に抹茶椀が3つと、和菓子をのせるのに向いてそうな小皿も
焼きあがってきた。
 
しかし、抹茶椀のつもりだったものが、予想以上に焼成で縮み、
少し抹茶椀としては小ぶりになってしまった。
 
釉薬の掛かり具合は想像していたものとはちょっと違うけど、
これはこれで有りかなという感じ。
 
それをひとつの参考にして、これからまた、もひとつ大きく抹茶椀を作る。
そして、素焼きに出し、釉薬も参考作品をたたき台にもう一度かけ、
本焼きへと進む。
 
まあ、作ること自体が好きだから、長い時間と高い材料費をかけ、
いくつもの工程を経て、器作りに取り組んでいるけど、
冷静に考えると買った方が早い。
 
残念ながら、これは間違えなく、言える。
 
 

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