2017年4月18日火曜日

スペイン紀行③ 圧巻のアルハンブラ宮殿

 
 
 
 
 
 
4日目の朝を迎えた。
「ギックリ腰の運転手さんに代わる運転手さんは見つかっただろうか」
「昨日、悪魔の橋の駐車場に乗り捨てたバスは、今朝、来ているだろうか」
 
そんな心配を胸に朝食を済ませ、ロビーに出ると、
そこにはマドリッドからかけつけてくれた運転手さんが、我らがVIPバスを運転して
到着していた。
 
前の晩遅くにマドリッドからAVEと呼ばれる新幹線でバルセロナに出て、
バスとタクシーを乗り継ぎ、悪魔の橋の駐車場でバスを拾い、バスの中で仮眠をとり、
朝、マッサルファサールのホテルまで駆けつけてくれたのである。
 
日本でいえば、東京の運転手さんが大阪まで新幹線で行き、
そこからバスとタクシーを乗り継ぎ、姫路の駐車場で空のバスを拾い、
これから九州旅行に行く私達のために広島に来てくれたようなもの。
 
何とか昨日の緊急事態を挽回し、バスは無事、一路グラナダを目指し発車した。
そこから、グラナダまでは何とまだ550㎞もあるのだ。
 
ところが、またもや問題発生。
 
運転手さんが道を間違え、50分のロス。
目指すアルハンブラ宮殿の入場は予約制なので、遅刻すると入れなくなる。
 
遅れを取り戻すため、途中下車のランチはレストランではなく、
バスにサンドイッチと水を持ち込み、走りながら済ませることに・・・。
 
今回2度目の生ハムを挟んだパンをかじりながら、
とんだスペイン旅行になりつつあると、思わず友人とため息をついた。
 
私達にはもはや気を揉む以外何も出来ないが、
添乗員さんのバス会社と運転手さんへの苛立ちもマックスに・・・。
 
しかし、ランチ返上の甲斐あって、何とかギリギリ予約時間の4時半には到着。
そして、グラナダの街は本当に美しく、アルハンブラ宮殿も圧巻だった。
 
 
 
現在のスペインは97%がキリスト教だが、
その昔、イスラム教徒が多く住んでいた。
 
1492年、レコンキスタと呼ばれる国土回復運動により、
イスラム教のユダヤ人が国外追放になった後も、
イスラム建築の素晴らしさをリスペクトしていたスペイン人がそのまま保存し、
現在まで多くの建築物が残っているのがスペインの大きな特徴だ。
 
その代表格がアルハンブラ宮殿。
 
グラナダの赤い丘に立つテラコッタ色の城壁からは想像も出来ないほど
中は精緻で豪華な装飾が施され、涼しさを演出する創意工夫に満ちている。
 
壁一面を埋め尽くすアラベスク紋様、鮮やかな色彩のタイル、
パティオと呼ばれる中庭には木々が植えられ花が咲き乱れ、噴水がある。
 
アーチ型の窓の向こうにはグラナダの街が見下ろせ、
渡る風がほおに優しい。
 
私達はふたりで行ったトルコのイスラム建築を思い起こしながら、
たっぷり2時間かけて、メスアール宮、ライオン宮、コマレス宮と進み、
最後はヘネラリフェという夏の離宮を、ガイドさんの説明を聞きながら見学した。
 
バルセロナとは全く違うクラシックな雰囲気のグラナダの街、
イスラムの神秘的な建物、アルハンブラ宮殿。
 
前日から続いた交通関連のトラブルでささくれていた心が、
そこここで薫る花の香りと独特の美しい空間の中で癒されていく。
 
世界中のどこにもないイスラムとキリスト教の融合の地スペイン。
 
その代表格アルハンブラ宮殿にすっかり魅了された私は、
スペインの魅力を再認識したのであった。
 

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