今年のアカデミー賞最優秀作品賞に輝いた『ムーンライト』を観てきた。
アカデミー賞の発表時に、『LA LA LAND』が最優秀作品賞だとアナウンスされ、
関係者が大喜びするさなかに「ごめんなさい。間違いでした」と
読み上げられたのが、この『ムーンライト』である。
まるで、たちの悪いドッキリのような発表で、
『ムーンライト』の中身より、むしろ、そのドタバタがこき下ろされたことが
記憶に新しい。
なので、実はあまり内容も調べず、役者も知らない人ばかりだったので、
単に「この映画は今年1本だけ映画を観るならこれ!」とか
「2時間しか時間がないのなら、この映画を観るべき」みたいな
キャッチコピーに踊らされて、観ておいた方がいいかなという勘だけで
映画館に足を運んだ。
しかし、その勘は大当たり。
重たいテーマだが、いろいろ考えさせられ、
今自分がここにこうしてあることに深く感謝した。
「マイノリティ(少数派)に生まれるということの生きづらさ」がこの映画のテーマ。
主人公は
白人至上主義のアメリカに生まれた黒人。
しかも、麻薬が横行する地域に住む最下層の黒人だ。
母親は家に見知らぬ男を連れ込み、
春をひさいで収入を得ている麻薬中毒患者。
父親はいない。
本人はゲイで
そのことに本人自身がまだ気づいていない幼少期より、
そのことをネタにいじめに遭っている。
そんな環境に翻弄され、自身をもてあまし、
身を持ち崩し・・・。
しかし、最後にシャイボーイの心の純真さ、
無垢なる魂に救われる結末が待っている。
今日まで和のものが大好きな私としては、何度、日本人に生まれてよかったと
思ったことか。
東京に生まれ、横浜に住み、
歌舞伎とか、映画とか、観たいものはいつでも観られるし、
今、桜は咲いているし、
日本の食べものは美味しいし、
キモノも大好きだし、
やりたいことも何でもしようと思えばできる今の自分は
実は当たり前ではないということ。
それを強く思った。
「世界にひとつだけの花」になるのは一見、よさそうだけど、
人と違うこと、多数派と違うことは、本当はかなり生きづらい。
花として咲くには相当、苦難を乗り越えなきゃならないのかも・・・。
最優秀作品賞は『ムーンライト』
それは納得。
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