明日から3日間、着物で出掛けるイベントが続く。
12日の金曜日は、友人と新春浅草歌舞伎の公演を観に行く。
13日の土曜日は、呉服屋さんの催し物に行って、着物姿の写真撮影とお食事。
14日の日曜日は、お茶の初釜である。
着物を着ていく目的がそれぞれ違うので、数日前から、
どんな着物と帯の組み合わせでいくのか、あれこれ考えてきた。
着物はその日の朝のお天気や気温だけで、
ササッと決めて出掛けるわけにはいかない。
事前に半襟をかける針仕事はあるし、アイロン架けもあるし、
着物小物やコート、ショール、バッグや草履の用意も必要だ。
それを大体の人はめんどくさいと感じるのだと思うのだが、
それを楽しむのが着物好きといえるかも知れない。
ましてや、今回のように連日、着物を着るとなると、
自分の中での気分の変化も楽しみたいし、
疲れすぎないように、最初からしんどい着物を選ばずに、
最後の初釜の長時間正座の修行に耐えうるコーディネイトが必要になってくる。
浅草公会堂の歌舞伎は歌舞伎座の歌舞伎と違って、
役者も若いし、場所も下町だ。
だから、あまり格の高い着物より、粋な小紋にしゃれ袋あたりがふさわしい。
大きな格子柄によくみると全体に墨流しも施してある縮緬の着物に、
白と紺の横段の縞模様、銀の差し色と縞の幅が違うところが粋な袋帯。
色数は使わず、帯揚げは墨色、帯締めは白である。
歌舞伎は舞台の上で華やかな演目が繰り広げられているので、
観客は一緒に場を盛り上げるつもりで華を添えたい。
最近はそんなつもりで来ているお客さんは少ないので、
カジュアルな恰好であらあらと思うような人も多いけど、
江戸の文化を繋ぐひとりとして、心意気だけは見せたいと思っている。
13日の呉服屋さんのイベントは
昨年12月に京都・丹後の永治屋清左右衛門さんの帯をもとめた折り、
八代目さん自ら、私のイメージでアディショナルで染めてくださった帯揚げと
白い地模様織りの半襟を活かすためのコーディネイト。
通常、お茶の世界では無地の半襟しか使えないので、
清左右衛門の嵯峨野笹の帯と艶やかな色の帯締め、織りの半襟を活かすために、
着物は全体に濃い紫とグレーのぼかしで柄は無し。
14日はお茶の初釜なので、
前日とは打って変わって柔らかい色目の訪問着。
着物は雪輪という古典柄がふんわり浮かび上がるぼかし模様で、
抑えた藤色やピンクなので、帯はお気に入りで最多出場、紫系の袋帯。
小物を淡いピンクにすることで、初春らしさを演出してみた。
他にも、道行コートは黒にするのかグレーにするのか、
ストールは銀ギツネなのか、ブラックグラマなのか、
バッグも荷物の量を考え、草履も着物との色合わせ、格などを考慮する。
とまあ、大騒ぎなので、
今、我が家のリビングと和室は着物で溢れかえっている。
しかし、昨年の今頃は、1月2日から症状が出て、帯状疱疹で2ヶ月間、
痛みに苦しんでいたわけだから、
それを思えば、着物を家中に広げられることの何と幸せなことか。
昨日も整体の先生のところに伺って、そんな話が出た。
あの時、先生に5回も往診していただいた布団を敷いた和室に、
こうして広がる絹物の数々。
歳月の流れの早さと共に、
健康で新たなる歳を迎えられた歓びを抱きしめた。
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