今日は珍しく1日中、自宅にこもることが出来たので、
朝から、トレッシングペーパーに描かれた新作版画の原画を、
版木に転写する作業を行った。
今回の新作は81㎝×81㎝の正方形。
大きさは私の手がける版画としてはとても大きい。
2枚接ぎの作品はもっと大きいが、
1枚の和紙で摺る作品としては、最大級といってもいい。
なので、版木もベニヤ板の大きさの版木を2裁といって、
半分の大きさに切ってもらった90㎝×90㎝のものを使用する。
(ベニヤ板ではなく、シナベニヤという版画用合板で6ミリ厚である)
油絵のように、キャンバスに直接描くような作品ならいざ知らず、
木版画のように刀で彫って、ばれんで摺ってということになると、
なかなか手強い大きさだ。
それでも、この間、林英哲率いる鼓童の迫力ある太鼓演奏を聴いていて、
この図柄をはたと思いついてしまったのだから、もう後戻りは出来ない。
木目の部分と黒地に鮮やかな時計草のあるパートが、
市松模様になっている最終の画面が頭の中に思い浮かんでいるので、
これはもう具現化するしかない。
というわけで、今日は1日、
原画を版木にカーボンで転写する作業にいそしんだ。
木版は隣同士の色は同じ版には出来ないので、分解して転写する。
なるべく版数を大量に使わないように、少しずつずらして転写し、
効率よく版木を使わなければならない。
結局、両面に転写し3枚の版木、つまり、6面ですべてのパートを写し終えた。
ずらしながら転写したので、
版面は6面でも、12版ぐらいにはなってしまった。
しかし、これは予想していたより、だいぶ少ない。
最近は色数も制限し、よって、版数も少なくなっている。
それでも物足りなさがなく、版画の彫りの良さが活かせる作品をと心がけている。
それにしても、転写しただけで、ヘトヘトに疲れ、
集中力の限界に達してしまったと感じるのは歳のせいか・・・。
ハタと気づけば、1作品の転写に8時間もかかっているのだから、
疲れを感じても仕方ないのかもしれない。
こんなめんどくさいこと、
こんな力仕事、
こんな肩の凝る作業と、
文句タラタラなのに、40年も続いているところをみると、
「好きだから」に違いない。
人生、好きなことがあることは何より何より。
そう考えると、冷えたビールが五臓六腑に染み渡る。
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