個展に向け、最後の1点の本摺りを行った。
個展は4月6日からなので、
まだ、1か月半ぐらいある。
まだまだ余裕がありそうなものだが、
私は追い込まれて、力を発揮するタイプではない。
作家の中には追い込まれないとのってこないという人も多い。
展覧会の初日が迫ってきて、
ようやく徹夜で作品を仕上げるなんていうタイプだ。
しかし、私の場合は木版画なので、
本摺りは実に職人的。
つつがなくミスのないように確実に摺る必要がある。
追い込まれて、勢いで摺ると、
どうしても細部にまで気持ちが行き届かず、
乱暴な摺りになる可能性がある。
だから、私は気持ちの余裕がある時に、
時間にも余裕をもたせて摺りに臨むことにしている。
最後の1点は
『夜空の華』
花火にも見えるような時計草が、夜空に浮かんでいる。
紙風船がひとつ、
月夜に花火というのも少しおかしいのだが、
幻想的な心象風景とでもいうべきか・・・。
解釈は観た方にお任せする。
基本、私の私的な体験から発想して作品を創ってはいても、
観た方が自由に解釈していいし、
「好きだ」、「そうでもない」と
勝手に言っていてくれて構わない。
作品は額縁に入って、世の中に出たら、
もはや私のものではない。
そこに『一期一会』の何かを感じて、
手元に置きたいと思っていただけたなら、
そんなに幸せなことはないわけで、
そこに理由や解釈などないのだ。
作品のタイトルも同じで、
どのようにでも取れるような、
含みを持たせたタイトルをつけることで、
そこからひとりひとりが物語を紡いでくださればと
考えている。
今、日本はコロナウィルスの蔓延に戦々恐々となっている。
対岸の火事が自分の国にも移ってきて、
初めてのことに不穏な空気だ。
個人的には個展までには終息してほしいし、
長女は妊婦だし、小さな孫も心配だ。
クルーズ船の船内の狭い部屋に閉じ込められ、
何週間も過ごした人の下船が始まり、
政府の対応がどうだこうだと批判が高まっている。
何が正解だったか、まだわからないが、
豪華客船に乗って夢のクルーズに出たはずが、
悪夢になってしまったのは間違いないだろう。
自宅に戻って、夜空を見上げ、
ホッと一息つける時間が訪れることを願っている。
人生、本当に何が起こるかわからない。
今日一日、
つつがなく終えられることは
幸せなことなんだなと思う今日この頃である。
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