2020年8月10日月曜日

コロナ自粛を作品に







連休も含め、お盆の週に入った。
世の中はコロナの感染者が増加の一途をたどっているため、
やれ、東京から他府県に出るな、
やれ、東京からは来てくれるなと、
まるで都会はコロナ患者があふれているような言いざまだ。

神奈川県民の私は、
旅行に行くわけでも、外食でわいわい騒ぐでもなく、
近所の買い出しと、孫の子守とご飯作り、
最寄り駅でカウンセリング、
変更の末、8月になったコンサートに
出掛ける予定だ。

まるで村八分かというような話や、
なぜ、こんな時に東京から来たのかと嫌がらせされたニュースを
聞くにつけ、
遊びに行っても楽しめないだろうなと思う。

いい加減、家でご飯を作り続けることに嫌気はさしているが、
それでも、外に外食に行こうという気にもなれない。

困った2020年の夏だ。

8月に入り、ようやく梅雨が明けたら、
待ってましたとばかり、気温が上昇、
今日は横浜でも最高気温が36度ぐらいか。

体温と気温がほぼ同じでは、
外に出るのは危険だ。

さて、4月7日、緊急事態宣言が出されて以来、
今年に予定されていた個展、グループ展、団体展は
ことごとく延期、もしくは中止になった。

版画家として作品を出品する場所がなくなると、
一挙にテンションが下がり、
制作意欲がなくなる。

それは私だけに限らず、他の作家もそうだし、
別の職業、例えば、舞台俳優、コンサートなどの音楽家など、
発表することで対価を得ているアーティストは
おしなべて同じ思いに沈んでいる。

誰かに見てもらってなんぼ、
評価してもらってなんぼの世界なのだ。

そんな中、
25年続いた版17というグループの最後の展覧会だけは、
予定通り、9月半ばから開催することになった。

きっとこのグループ展も延期かなと思っていたのだが、
とにかくこれで最後と決めていた展覧会なので、
もうやってしまうことでケリをつけようということらしい。

大人の事情で昨年の展示をスキップしているので、
更にここで1年延期では、
いつのまにかなくなってしまったグループと思われても
しかたない状態なので、
25年間の記録集発刊と共に、作品展示をしようということだ。

そうなると、何を出品すべきか。

2020年というコロナに翻弄され、
自粛を余儀なくされたことから、
自らと向き合うことになった年。

そんな年に終焉を迎えることになった展覧会。

今までのテーマのまま、適当に2点出品するのは
ためらわれる。

そう考えて、
目下、コロナ自粛をテーマにした新作を
鋭意、制作中である。

この暑さの中、
摺りができるかどうか、とても心配だけど、
すっかり萎えていた制作意欲に
少しでも火が付いたのなら、
やはり形にしたいと思っている。

私の器が気に入ったFさんからは
「次は取り皿10枚と、箸置き10個、お願いします」と
注文が来ている。

器は人から欲しいと言われているうちが花、
版画も「展覧会は9月16日からです」と言われているうちが花。

いずれも納期に間に合わせて
制作するのがプロというものだ。


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