2020年8月5日水曜日

YAMATO ベートーヴェンを弾く








神奈川県立音楽堂で行われた、
YAMATO弦楽四重奏団のコンサートに行ってきた。

生のコンサートで、生の楽器演奏を聴くのは
2月の林英哲以来、約半年ぶり。

このコンサートは
今年4月5月6月9月と4回続きで企画されたもので、
「YAMATOのコンサートが年に4回も聴ける!
しかも、このお値段で!」と飛びついて、
友人とふたり、チケットを求めたものだった。

しかし、コロナの影響で、
4月5月6月の分が延期になり、
8月前半に毎週1回という形で行われることになった。
今日はその1回目。

席はそのままの席でということで、
どの程度の人が日にち変更でも来ているのか恐る恐る会場入り。
約半数が来ているという感じだった。

幸い私の向こう3軒両隣は人がいなかったが、
私の前の列は7名全員が出席。
私の後ろの列はだれもいなかったので、
ぎりぎりまで待って、
私は後ろの列に移って、聴くことにした。

古いホールで、前の列との間隔が狭く、
前の列が全員着席なのはちょっと気になったからだ。
(友人は残念ながら、今回は欠席)

コンサートの開演は13時半だが、
13時からプレトークがあり、
今日はチェロの阪田宏彰さんが担当だった。

このコンサートは何度も言うが4回続きで
全編ベートーヴェンの曲目を演奏する。

本日は
弦楽四重奏曲「ラズモフスキー第1番」から「第3番」まで

ベートーヴェンに関しては
途中から聴力を失っても作曲し続けた
「運命」とか「月光」を作った大作曲家
ぐらいの知識しかない私にとっては
初めて聴く曲ばかり。

そんな私みたいな人のためにかどうか、
プレトークではベートーヴェンに関しての豆知識が話され、
それによると
とにかく彼は性欲の強い、変わった人だったらしい。
(阪田氏の言葉を借りているので悪しからず)

プログラムの裏面には
阪田さんによる曲目解説が載っていて
曰く、
「想像を絶する孤独に育てられた巨大な人格の中に
温かさと哀しみを湛えた作品。
破綻のない構成は、
まだ常人であった初期の名残でもあるかもしれませんが、
感情のバランスをとるなど考えられなかった実生活からは
想像もできない安全な均衡を保っています」
と、褒めてんだか、けなしてんだか・・・。

とにかく、難曲なのは間違いないらしく、
作曲した当初、初めてスコアを見た友人が、
「こりゃ大変だ、いくら何でも難しすぎる」と
ベートーヴェンに言ったところ、
「そんな弾き手の力量なんか構っちゃいないよ」と
ベートーヴェンは言ったとか、言わなかったとか。

そんなベートーヴェンの難曲を、
YAMATOは今回4回続きで取り上げ、
2020年は県立音楽堂という由緒あるホールを舞台に、
それこそ四つに組んで演奏しようという
日本の弦楽四重奏の歴史に残る企画だったらしい。

それがコロナで、
8月に毎週たて続けに、
しかも、昼の部の他に夜の部も増やして、
人が集中するのを避けようなんて・・・。

演奏家にしてみれば、
1回演奏するだけでも大変な大曲を1日に2回も。
考えただけで、お疲れ様な企画というか、
優しすぎるというか、無謀としかいいようがない。

前振りが長くなり過ぎたが、
肝心の演奏は特に「ラズモフスキー第2番」が素晴らしく、
4人の弾き手
ヴァイオリンの石田泰尚様、
もうひとりのヴァイオリン執行恒宏さん、
チェロの阪田宏彰さん、
ビオラの榎戸崇浩さん
の個性が際立ち、それでいて
超絶技巧の技と呼吸のコンビネーションにほれぼれした。

ひとつの旋律を4台の楽器でパートごとに弾きつぎ、
ウェーブになって奏でられる様子は
かれらの実力ここに極まれりという感じで、
さすが日本の弦楽奏者の勇者たちだと思った。

ベートーヴェンをひっ捕まえて、
ロックだと言う彼らが演奏するアンコールは
2Chellosの「影武者」(CMで有名な)

正にチェロの阪田さんが弦を引きちぎりながらの大熱演、
もちろん石田様も負けじといつもどおりの大熱演。

あおられて隣の執行さんが苦笑いしながら応戦、
ビオラの榎戸さんは冷静沈着、
「私だって弾けますけど、何か?」という感じ。

終われば、会場中、スタンディングオベーション!

クラシックだとつい寝てしまうこともある私だけど、
今日の演奏は
ベートーヴェンという男を理解しようと取っ組み合う4人に
気圧されて、全く睡魔には襲われなかった。

延期になったお陰で、ぎゅっとかたまり、
来週の水曜日にもまた、
ベートーヴェンと格闘する彼らに会えると思うと
わくわくする。

久しぶりのコンサート、
この夏の私の一大イベントになるだろう。

0 件のコメント:

コメントを投稿