昨日はお茶の先生の喜寿のお祝い茶会を
新宿の柿傳という懐石料理の料亭で
開催するため朝から着物で大忙しだった。
いつもは初釜や朝茶など、
お稽古とは違うお茶会方式の会の時は
先生が段取りを決め、お道具やお料理など
諸々すべてのご用意をなさり、
私達お社中は振られた役をこなすだけだ。
しかし、先生の喜寿のお祝い茶会なので、
今回はすべての段取りや準備を
社中のメンバーで行わなければならない。
入門順でそのお役は割り振られ、
入門1番さんはお母さまがお里で大きく
お茶の先生をなさっているので、
ご自身もお茶会の経験が豊富、
お道具もお里から借りられるとあって
主となって陣頭指揮を執ってくれた。
入門2番手のTさんが今回は亭主
3番手の私が半東というお役を仰せつかった。
亭主はお客様をお迎えする主人役
半東はそれを裏で支えるお手伝いさんだ。
前回、数年前に先生の古希のお祝い茶会の時は
1番さんが亭主、2番さんが半東、
3番の私はお詰といってお客さんの最後になり、
お茶室で出されたものを片づけたりする役目。
しかし、あくまでお客さんのひとりだった。
けれど、半東になると
完全に裏方作業のみなので、
亭主がスムーズに表舞台に出ていけるよう
ちょろちょろ後ろで支えなければならない。
なので、せっかくの柿傳の懐石料理だというのに
裏方は作業の合間に裏で
チャチャッと掻き込まねばならず、
きっと食べきれないからとタッパーも持参した。
最初は5月27日、
5月の最終週だから、紗袷の着物が着られると
ウキウキしながら自分のことだけ考えて、
お出かけ気分でいた。
しかし、いざ、始まってみると
亭主のやることの多さと、
1番さんが事前に準備したことの多さに
本当に頭の下がる思い。
柿傳はお料理屋さんなので、
懐石料理の部分は申し分なく用意してくれ、
裏のお手伝いの柿傳の方たちが
すぐに茶室に持ち出せるように手配してくれる。
そこの部分はよかったのだが…。
それ以外のほとんど
床の間のお軸、花入れの茶花の準備
主茶碗、次茶碗、数茶碗、茶杓、
布巾茶巾タオルなどの小物。
主菓子、干菓子の手配
濃茶用薄茶用2種類のお抹茶の手配など。
これらを全部持ち込まなければならない。
1番さんのUさんはゴールデンウィークに
ご実家に帰省した際、
大きなスーツケースいっぱいに
お母さまから借りたお道具を宅配。
2番手さんは先生始めお社中の面々にまで、
巻紙に筆文字のご招待状を出すところから
お茶会は始まった。
なにせ、都合4時間ほどもかかる
お茶会の中で
外のお迎えからご挨拶、
懐石料理のお運びと接待、
各種口上、
お炭、お濃茶・お薄とお点前と名の付くところ
これら全てを亭主ひとりで
受け持たなければならない。
半東は傍で「それでいいんじゃない」とか
適当な相づちを打ちつつ、
次の手順のお茶碗の準備とか
一緒にお茶を履くとか
本当に補佐役をしていればよかった。
しかし、心の中では
『もしかして次は私が亭主?』と不安がうずまき、
自分の目下の勉強不足と
今回のいい加減な関わり方を大いに反省した。
亭主と1番さんはひと通り終わって
げっそりやつれたのではないだろうか。
お祝いの気持ちを、お菓子やお茶を選ぶとき、
お道具やお軸などを選ぶときなど
趣向をこらして吟味するためには
それ相当の勉強が必要だ。
1番さんと2番さんの準備のご苦労を思うと
消え入りたい気分の私だったが、
とりあえず事件や事故なく無事に終わった後の
ビールが美味しかったこと、
それだけは間違いない。
やれやれ、お疲れ様でした!
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