重い腰をようやく上げて
週末の2日間で、新作の原画を作成した。
木版画の工程としては
まず、新しい作品の構想を練る。
固まったら、必要な取材をする。
たとえば写真を撮ったりした時は
大きめにプリントアウトする。
そして、おもむろに鉛筆をとり、
原画を描く。
と、ここまでに1~2か月はかかっている。
つまり、6月中旬の紫陽花展には
2022年度の作品が並んでいるので、
会期中、観に来てくださった方のご意見や
感想を聴きながら、
徐々に次なる作品の構想を固めて、
展覧会終了後に
いよいよ具現化するといった流れになる。
紫陽花展には2022年7月から2023年4月までに
制作した作品を出品しているので、
毎年、5月6月の間は
実質、作品制作はしていないということになる。
「ヒマか?!」
と、突っ込まれそうだが、
版画家として体はヒマしているのだが、
脳みそは新作のためにフル回転で活動している。
すでに3月ぐらいに次なる作品の構想が
浮かんでいる年もあるにはあるが、
歳と共にひらめきが…。
どこへやら。
今年もそんな年だったが、
紫陽花展で実験的な6点の連作を創ったことで
次なる方向性が見えてきた。
和紙の白を生かした作品を
中ぐらいから大きな作品にも展開してみると
いう案だ。
いつの間にか多版多色が自分のウリになって
版数も色数も増えてしまっていたが、
(版数10~12版、色数25~30色)
引き算のアプローチで
版数をおさえ、色数を制限して
紙の白を残す作品を創る。
これは簡単のようでそうでもない。
決して手抜きに見えないこと、
優れた構図、彫りの技法、言い切りの良さなど
口数多くおしゃべりしないのに
明快でズバッとものをいう難しさを
求められる。
それにはどうすればいいのか、
そのイメージが掴まるまで
もたもたと時間がかかってしまったというわけだ。
なにしろ、6月に入ってから、
登校拒否が始まった中学生の女の子と
そのお母さんのカウンセリングが
高い頻度で入り、
責任の重さとカウンセリングの方針決定に
時間も神経も使っているので、
すっと版画制作に入っていけない
もどかしさを抱えていた。
更に、パティシエ学校の方は
就職対策講座の山場、
「志望動機」や「自己PR」などの項にさしかかり、
100名ほどの学生が書いてきたものの添削に
もてる国語力と集中力の限りを使っているので
フラフラだ。
自業自得のドツボの中、
本来、自分は木版画家だと喝をいれ、
この週末はアトリエに籠った結果、
写真のようなシンプルに雨の日の紫陽花を
描いた原画が2点できた。
ここに作品の哲学的な意図は何もないが、
メリハリの利いた
版数と色数の少ない明快な作品ができればと
思っている。
それにしても、若干12歳の女の子が
自分でカウンセリングが必要だと感じ、
自分で検索ワードを入力し、
カウンセラーを探したとは
一体、どんな時代になったんだ。
しかも、私がカウンセリングの結果、
「もしかしたら起立性調節障害かも」というと
「私もそうかなと思っていました」と答えた。
12歳は子どもか大人か。
そのはざまで揺れる乙女心よ。
どうしても頭をもたげるクライエントのことを
うまく振り払いながら、
次はトレッシングペーパーに原画を写し、
更に版木に転写し、彫りへと作業を進める。
それが7月8月の版画家のミッションである。
まずは本日の原画作成の作業、無事終了。
季節の果実・桃が旨い!
強炭酸水で作ったカルピスが染みる!
あぁ!
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