2025年2月8日土曜日

亀井聖矢 圧巻のピアノ

 














それはそれは素晴らしい演奏だった。
『圧巻』という言葉がふさわしい。
亀井聖矢のピアノ

生聖矢君の演奏はこれで3回目。
彼はあまり演奏回数が多くない。
年に数回あるかないか。

1月初め、
私にとって今年初のコンサートが
神奈フィルをバックにした
服部百音のヴァイオリンと
亀井聖矢のピアノだった。

今日の演奏は
全編、神奈フィルをバックにした
亀井聖矢のピアノ演奏だった。

曲目は
フェルディナン・エロール
歌劇「ザンパ」序曲(管弦楽のみ)

フレデリック・ショパン
ピアノ協奏曲 第1番 ホ短調 OP.11

カミーユ・サン=サーンス
ピアノ協奏曲 第5番「エジプト風」
へ長調 OP.103

とにかく言葉を失うほど素晴らしかったのは
サンサーンスの「エジプト風」だ。

初めて聴く曲だった。
サンサーンスが残した5曲のピアノ協奏曲の内の
最後の曲で
自身の演奏活動50周年の記念作品だとか。

エキゾチックな曲調なので「エジプト風」と
呼ばれているらしい。
曲調もさることながら、独奏ピアノの華麗な
超絶技巧がたっぷり楽しめる傑作と
プログラムにあったので、
期待していた。

しかし、その期待をはるかに超える
ピュアで美しいだけでなく
激しく魂を揺さぶるような演奏だった。

スラッとした長身
長い手足、甘いマスク
気負いのない演奏スタイルなので
本当に素直でいいとこの子という感じ。

表情でハッタリをかますようなところがなく
体中を使って演奏し、
ペダルを踏む右足はペダルに置かれているが
左足が常にリズムを刻んで
時に大きく跳ね上がったりもする。

「エジプト風」の後半の超絶技巧パートは
全身全霊で弾いて
会場中にその熱波が降り注ぐような演奏だった。

終わってみれば、
どよめくような拍手と
スタンディングオベーション。

私と友人も思わず立ち上がって
手を大きく上げて拍手し続けた。

なんという才能!!
なんという魅力的な演奏!!

興奮しすぎてそのまま帰るのが惜しいので
カフェに寄って
お茶をしてから帰ったほどだ。

きっと亀井聖矢はもっともっと
ビッグになって
そのうち手の届かない存在になるだろう。

こうして若き才能を見つけ
時代を共にして
彼の音楽を聴くことができた歓びが
今日の私を幸せにした。

そんな激しい演奏の後、
アンコールの独奏で弾いた
「ラ・カンパネラ」の
ささやくような甘やかなピアノの音が
今でも残像のように耳に残っている。




























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