2025年2月6日木曜日

木版本摺り シマエナガの作品

 

















2月の木版のミッションは
2点の新作の試摺りと本摺りをすること。

前半に1点、後半に1点、
それぞれ試摺りをしてから微調整をして
本摺りへと向かう予定。

試摺りが1回なのか2回なのか、
彫りの調整が必要なのか必要なしなのかは
1回目の試摺りが終わらないと分からない。

実は2月2日の日曜日、
2点の内の「シマエナガ」が出てくる
小品の試摺りをとった。

全体の色調は
シマエナガの色もポインセチアの色も
あらかじめ元のモチーフの色があるので
後は背景の色彩をどうするかが
一番問題だった。

しかし、ポンセチアのピンク味の赤には
欲しくなる背景の色が自分の中にあるので
試摺りの時にさほど迷うことはなかった。

それより何より
肝心のシマエナガが思ったより難しかった。

何が難しいかというと
「可愛いらしさ」を木版で出せるかどうかだ。

すでに版は出来ているのだが
ほんの少しの目の大きさや
くちばしとの間隔など
摺ってみると、なんだかしっくりこない。

結局、目とくちばしと
あと2~3小さな黒いパートを彫り直し
今日の本摺りへとコマを進めた。

可愛い動物、例えばパンダとかシマエナガなど
みんなの脳裏に
「可愛い」が刷り込まれていると
現物はさほどでなくても、
イラストやぬいぐるみなど
「可愛い」が誇張された姿で記憶されている。

そこにヒットさせつつ、
自分の木版作品として成立していないと
意味がないので
そのあたりがとても難しかったのである。

とかく顔のあるものを作品に使うのは
人間であれ、動物であれ難しい。

この「シマエナガ」の作品は
原画の段階で、出来上がりを楽しみに
待っていてくれる友人がいるので
尚更、ハードルが高い。

「シマエナガ」の部分以外は
自分らしい作品になったと思っているが、
作品全体の中のシマエナガをどう感じるか
それは見た方にゆだねるしかない。

ともあれ、
2月のミッションの半分が
6日に早くも出来あがったのは嬉しい限りだ。

昔、中学や高校生の頃(昔すぎるやろ)
中間テストや期末テストの計画を立て
その計画より少し前倒しで
予定をこなせることが無上の歓びだった。

人には2通りあって
事前に計画を立てて、
遅れないよう、なんなら前倒しに実行し
多少、余裕をもっていきたいタイプと、
いざ本番が迫った時に
猛然とダッシュして詰め込むタイプの
2通りだ。

みなさんはどちら派だろうか。

私は完全に前者のタイプだ。

ホームパーティとかお正月の準備とか
大量の料理を作るような時も
何日も前からレシピを紙に書き出し
2~3日かけて買い出しをし、
2~3日かけて料理する。

そして、どの料理をどの器に盛るかも
絵に描いてイメージし、
器も前日に出しておく。
当日は余裕で終わらせ、写真撮影する。

そんな感じでものごとを進めることが多い。

だから不測の事態や
予想外の出来上がりになったりすると
相当、凹んで、慌てまくり、
テンションダダ下がりである。

今回の「シマエナガ」は
背景の濃い青緑を水でぼかす手法で
摺ったところ、
水分がシマエナガの版の顔のくぼみに入り込み
摺った白い顔に青い絵具が
じんわり染みだすという事件勃発。

試摺りは1枚しか摺らないので
こうした事態には陥らなかったのだが
複数枚、摺ることで
くぼみに水分が徐々に溜まり
遂には摺ってあった白い顔に
青緑の影が!!

『ヤバい!お岩さんか!』と
ひとりアトリエで慌てふためいた。

何とか対処したが、
乾かしてみないことにはどうなることやら…。

そんな事件もありながら、
なんとか9枚のシマエナガが完成した。

この作品のメインモチーフは
あくまでもポインセチアのリースだ。
シマエナガを配したことで
北国の12月といったところか。

雪国の爽やかさが表現できていると
感じていただけたら幸いである。



































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