7日の土曜日から、田園調布にあるみぞえ画廊で、
銀杏の会『2015 美術の庭』展が始まった。
8日にオープニングパーティが行われ、
今回のテーマが『音楽と美術』だったんので、それにちなんで
バロックの演奏会が開かれた。
みぞえ画廊はこれがギャラリーかと疑うような
田園調布にある立派な日本家屋の邸宅で、
この各部屋に40名ほどの参加作家の作品が展示されている。
今年は
「音楽に関連した作品を」というテーマが与えられていたので、
私はピアソラの音楽に着想を得た作品を出品した。
他の人達は作品の中にピアノを描いたり、ギターを描いたり、
テーマをはっきり意識した作品もあった。
また、タイトルに私のように作曲家の名前や音楽家の名前が入っていたり、
作品自体が音楽に啓発されているなと感じさせるものも多かった。
私もタンゴを踊る男女をイメージした絵柄をグロリオサの花で表現し、
しかしながらピアソラの旋律の切ない感じを出すために、
色は赤と黒みたいなドラマティックな感じではなく、抑え目にした。
逆にどこが音楽?といいたくなるぐらいいつもどおりの人もけっこういたが、
今回のお題を意識した人同志は
お互いに「いつもとちょっと違うね」とか「このための新作だね」などと
それぞれの作品の新味について評価し合った。
オープニングパーティでは基調講演として、
美術評論家の倉林靖氏の「美術と音楽」という講義があり、
「共感覚」という耳なじみの薄い言葉について、いろいろ話され、
興味深かった。
講義の後にはバロックのサロンコンサートが催され、
倉林氏がリコーダー、
他に女性のアーティストがチェンバロとヴィオラ・ダ・ガンバを演奏して、
シューベルトやヘンデルの曲を1時間半ほど聴かせてくれた。
思いがけずに長時間の演奏だったので、
会は絵の展覧会ではなく、演奏会になってしまって、
100名ほどのお客様はすっかりバロックの夕べに酔いしれて、
あやうく全く絵を観ないで帰りそうになるぐらいだった。
演奏会の後にはキッチンで近所の奥様方が作ったというパーティ料理が
次々出され、ワインも大きなグラスにたっぷり注がれ、
なんともリッチな場所で贅沢な展覧会のオープニングになった。
九州のどことかの建築会社の持ち物だという邸宅に
靴を脱いでお邪魔したはいいけど、
なんだかあんまり立派すぎて居心地が悪い。
そんな感じのパーティだった。
きっとそこに集った作家達もみんな同じ想いだったのではないだろうか。
知り合いの作家達ともでる言葉は「凄いね」ばかり。
ちょっと気恥ずかしそうに壁に掛かっている我が作品、
会期中に田園調布のどなたかの目に止まってくれますように。
そんなことを考えながら、
作品だけ大邸宅の壁に残して
帰路についたのであった。
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