2021年の最後を飾るコンサートとして
トリオ・リベルタのコンサートに
行ってきた。
明け方には暴風雨といっていいほどの
大雨と強風が吹き荒れていたが、
9時ごろには雨もやみ
一転、雲一つない晴天に恵まれた。
毎週、水曜日のお茶のお稽古の日、
着物を着なければならない時は
100%に近い確率で晴天に恵まれるこの私が
着物でコンサートにいこうという今日に限って
雨など降るはずはない。
と、根拠なき自信のもと
数日前から、着物の準備を進めていた。
なにしろ、前回のリベルタコンサートも
前から4列目の
石田様の真ん前という素晴らしい席だったが、
今回は友人が応募して、希望を申し出たところ、
最前列で石田様の真ん前という
とんでもない席が手に入っていた。
(最前列が欲しいといったわけではない)
その席の場所を知り、
これはもう、着物で行くしかないと、
勝手に舞い上がり、
勇んで会場に向かったというわけである。
会場は本郷台リリスホール。
その席にいざ座ってみると、
想像以上に石田様に近く、
私たちの席の約80cm先に舞台があり、
その先1mのところに石田様は立っている。
もう少し会場の中央よりの席だと、
ちょうど譜面台に石田様の顔が隠れてしまうのだが、
少し左に振れているせいで、
本当に目の前、
彼がその場でキックしたら
私の胸をけることができる、
そんな近さに石田様は立って演奏していた。
同行の友人Mさんは
石田様を好きすぎて、この近さは心臓に悪いと
緊張しているが、
私はめったにないチャンスに心躍らせていた。
本日のプログラムも
ここ2回と同様、
ピアソラの曲とクラシックの曲を交互に弾く構成。
初めて聴く曲も何曲かあり、
聴き飽きた感じは全くない。
とりわけ良いと思ったのは、
1部の『ハチャトゥリアンの仮面舞踏会』と
『マーラーの交響曲第5番
第4楽章アダージェット』
特に『アダージェット』はとても映像的で
赤く夕陽の落ちる海辺のテラスで
風にあたりながらその光景を見ている女に
後ろからそっと話しかける男の
息遣いさえ感じることが出来た。
(妄想のしすぎ~!)
『仮面舞踏会』の方は
リベルタの3人の楽器の組み合わせ、
ピアノ・ヴァイオリン・サックスの3つが
もっとも活かされている楽曲という気がした。
こちらももちろん私の脳裏には
仮面をつけて踊る男女が見えていたのだが、
これ以上書くとおかしな人になってしまうので、
控えておこう。
2部の構成も
『ドビュッシーの美しい夕暮れ』
『ピアソラのブエノスアイレス午前零時』
『グリークの朝』
と1日の時間帯の違う曲を並べたり、
『デュパルクのエクスタシー』と
『ピアソラのエクスタシー』という
同じ題名の曲を続けて聴き比べるなど、
趣向に富んだ構成だった。
しかしながら、
今回はとにかく石田様の真ん前にいることの方が
一大事で、
音楽を楽しむというより
別のことに気を取られていたというべきだろう。
彼のヴァイオリンには装飾として
赤い石が埋め込まれているのだが、
それが実は赤・緑・赤・白であることや、
弦の張ってあるネックの口元寄りの部分に
何やらレリーフが彫ってあることなど、
間近に観たからこその発見があった。
ヴァイオリンの裏の板はたぶん楓だと思うが、
その木目の美しいこと、
その明るめの飴色は
2本あるうちの本妻ヴァイオリンに違いない。
黒いスーツの下に着ている黒いシャツには
前縦と袖口に赤いチロリアンテープが
見え隠れし、
どんなデザインのシャツなのか
気になって仕方ない。
と、余計なことに思い煩い、
着物を着ていたせいもあり、
終わってみればなかなかの疲れ具合だったが、
今年最後のコンサート、
やはり生の演奏は最高に楽しかった!
「来年もまた来ようね」
そう友人と約束した師走初日だった。
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