今日はお茶のお稽古場で
2024年の初釜が行われた。
お社中のメンバーに加え
先生の古くからのご友人Uさんをお客様に迎え、
総勢9名と先生とで新春をお祝いするお茶会である。
(最古参のUさんがご実家の初釜のお手伝いで
欠席だったのは残念…)
今年は元日から大きな地震があったり
2日の航空機事故など
みんなの心に影を差すような出来事が続いたので
こうしたお祝い事が滞りなく行われると
気持ちが少しは暖かになる。
初釜はお茶のお稽古の行事の中でも
最も華やかな行事なので、
例年、みんな訪問着に袋帯を締めて
一年の始めを寿ぐのが習わしだ。
私も何を着ていくか悩んだ挙句、
今年は黒地に宝尽くしの柄が刺繍された訪問着を
着ていくことにした。
この着物はたぶん25年近く前、
その時も初釜に着ていきたくて誂えたものだが、
記憶にある限り
20年ぐらいは箪笥のこやしになっていたと思う。
着物はそこそこに枚数は持っているが
同じ訪問着でも何度か着ているものもあるし、
1度は着たけど、それっきりというものもある。
たぶんこの着物はそれっきり組だと思うが、
急になんだか着ようという気になった。
年始めから嫌なニュースが続いたので、
こうして仲間が集って初釜ができるなんて
決して当たり前じゃないし、
感謝しなくてはという思いを
「宝尽くし」の柄で表したかったのだ。
帯は本つづれの袋帯だが、
これも手に入れたのは四半世紀近く前に遡る。
この帯は馴染みの呉服屋さんの店頭で見た時、
すごく好きな柄だと思ったけど、
到底、買えるような代物ではなかった。
たしか正価は100万超。
つづれは帯の最高峰とはいえ、
庶民に手の届くはずもない値段だ。
しかし、折しも21世紀になるタイミング、
つまり2001年を目前にしたセールで
21世紀にちなんで21万円になったのだ。
元の値段を知っていたので
これでもやはり高い買い物ではあるが
とても気に入っていたので
清水の舞台から飛び降りてしまった。
柄はうろこ柄という日本の伝統の柄を
少しアレンジして幾何学模様になっているので
モダンな印象になり、
季節も関係ないので使い勝手がよさそうだ。
とはいえ、こちらもあまりに格が高くて
さほど登場機会に恵まれず
久々の出番と相成った。
今朝は初釜のお席に行ってみれば、
黒地の着物は私一人で
皆さんは初春らしい淡い色目のお着物だったので
ちょっと目立ってしまったかもしれない。
何人かの方から褒めていただき
箪笥のこやしを引っ張り出してあげた
甲斐があったというものだ。
肝心のお道具組は
初釜の時に登場する
「乾坤輝く」の扇面のお軸。
お床には三宝に長熨斗、
干支の香合が熨斗抑えとしてのっている。
お花は紅白の椿に枝ものは梅。
お棚は高麗卓。
水差しと蓋置には
雪を頂いた富士山と松が描かれており
風炉先屏風や炉縁も
松の意匠でお正月らしい取り合わせだ。
ぶりぶり香合には鶴と亀、
大棗には鶴が羽ばたき、
お茶杓のご銘は「吉祥」などなど、
全体にお正月らしいお道具組といえよう。
初釜のお茶事は
ひとりの亭主が全部のお点前する
というのではなく分業制なので、
それぞれ割り当てられたお点前を
その段になったら受け持つという方式だ。
私は今年は薄茶のお点前を仰せつかった。
もうひとりの薄茶点前役のTさんと
お客様を2班に分けて薄茶点前を受け持った。
最後に全員集合で記念写真を撮ったのだが、
途中、大笑いするようなことがあったせいで
お茶事の後の写真とも思えないほど
みんな歯を見せて笑っている。
そんな写真を見るにつけ
共通の好きなことを通して
いいお仲間に恵まれ
こんな風にお茶事ができる嬉しさが
しみじみ感じられる。
2024年がどんな年になるか分からないが、
1日1日、楽しく過ごせるように
丁寧に生きようと思った。
私の「宝」のひとつは
こうした仲間と過ごす楽しい時間だと思うから。
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