2014年1月20日月曜日

お茶の初稽古

 
 
 
今年に入って、初めてのお茶のお稽古日。
去年もそうしたように今年もキモノで伺うことにした。
 
先生もお膝を悪くなさって以来、お稽古の時に洋装しかなさらなくなったし、
生徒さん達もめったにお稽古日にキモノを着てくることはないのだが、
それでも自分の中では年の初めぐらいはキモノでいこうかなと考えている。
 
更に何か小物ひとつでもいいから初物を身につけていこうとも決めている。
 
夕べから1階と2階の和箪笥の引き出しを開けてはどれにしようか悩んでいた。
結局、随分前に作ったキモノと帯ではあるが
今年の初稽古は写真のブルーグリーンのキモノに
辻が花の帯を締めていくことにした。
 
写真には写っていないが、キモノは無地ではなく、飛び柄で桜の白い花びらが
全体に散っている。
今日は大寒で一年で一番寒い季節なので、
先取りで春を感じる桜の柄がいいかなと思っての選択だ。
帯に辻が花ならではの花がたくさん刺繍されているので、どっしり重みがでるし
無地に近いキモノとのバランスもいいのではと思っている。
 
初物は初おろしの草履にした。
少しパールっぽく加工してある卵色の草履に唐草模様の太めの鼻緒がすげてある。
キモノを着ているというのに自分の車でいこうと思っているので
太い鼻緒は安定感があって運転していても安心なのだ。
 
先生のところに伺うと
「まあまあ、こちらがキモノでないのに申し訳ないわね」と恐縮なさりながら
大先生と代教の先生ふたりして、盛んに褒めてくださるので嬉しくなる。
 
今の先生は以前の先生と違ってご高齢なので、現在はお茶会をなさらないから
必ずキモノで行かなければならない日が初釜ぐらいしかないのが残念だが
やっぱりキモノを着てお茶を点てるのは難しいからこそ、
時々はキモノで行くことも必要だと思う。
 
今日の先生のお茶室には
お正月の初稽古らしいお道具がずらり揃っていて、身が引き締まる。
お稽古だなんてとても言えないような
かつて茶会の折に使われた高額なお道具ばかり。
特に当代の家元が富士と松原の絵を描き、先代の家元が書をしたためた
風呂先屏風は毎年この時期だけ出されるが、粗相があってはならないと
緊張する逸品だ。
キモノの袖で建水のお湯でもひっくり返したらと冷や冷やしながら
お濃茶を点てたが、
もし万が一のことがあったら、伏して謝っても間に合わないほどだろう。
 
帯で脇が固められているので、いつもなら楽々届くところに手が届かない。
何かと窮屈なので、いきおい所作がゆっくりになる。
いつもの『江戸前お点前』(お点前のスピードが速いこと)が『京風お点前』になって、
少しはおしとやかな大和なでしこ風になっているかも・・・。
 
お床の掛け軸は
『春、千林に入りて、ところどころ鶯』とある。
 
1月の大寒の日であっても、
『春の気配が林に感じられ、あちこちに鶯の姿や声が聞こえる』
という意味のお軸をめでながら、
この季節限定の花びら餅をいただき、初春のお茶を味わうゆかしさよ。
 
「お~寒っ!今日はもう一枚ヒートテック着よっと・・・」という日常とは
ちょっと違うみやびな午後のひとときであった。


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