2015年3月8日日曜日

おばさんの馬脚

 
冷たい雨がそぼ降る中、三渓園で行われたお茶会に行って来た。
同じお社中でご一緒している若い友人に誘われ、
いつも同じ時間帯にお稽古している3人で出掛けることになった。
 
若い二人はお子さんを親戚に預けたり、
お子さんの予定に必要なものを準備したり、
自分のことだけ用意したり身支度すればいい訳ではないので、
日曜日の朝、キモノで出掛けようと思ったら、早起きして大変だ。
 
ひとり気楽な私でさえ、6時前には起きだして、
実家に泊まりに来ている長女の分の食事を作り置きし、
キモノに着替え、雨対策と寒さ対策を施して出掛けるのは難儀なことだ。
 
お茶会は4席の表千家のお席と点心席という構成で、
どうしても拝見したい1席にまず入ろうと、
雨でぬかるんだ広いお庭の道を小走りに進んだ。
 
寒い雨の朝だったせいか、朝イチの出足が鈍く、
何とか最初のグループに滑り込みセーフで入ることが出来、順調な滑り出し。
 
当代と先代の家元の箱書き付きお道具の数々はどれも立派なもので、
お茶室にぎゅう詰めに並んだキモノ姿のお客人は、
皆一様に感心しながら、春らしい生菓子と一服のお茶を楽しんだ。
 
席主の先生は70代後半とおぼしき上品な先生で、
立派なお道具揃えをひけらかす風もなく、
あくまでも謙虚かつ自然体でお話しなさって、好感が持てる。
 
お点前の方もお運びのお社中の方々も
皆きびきびと滑らかに動いて、最初のお席はスムーズに滞りなく進んで行く。
 
ところがその最初のお席がはね、
身仕舞いを整え、再び傘をさして雨道を次の茶室に移動したあたりから
どこからともなく人があふれだし、
廊下のそこここにおばさんの行列が出来、
それがまた時が止まったかのように動かない。
 
そうなると一見キモノを身にまとい、上品そうに繕っているおばさんも
本来の性分がでるというか、馬脚を現すというか、メッキがはがれるというか・・・。
 
とにかく、並んでいる列に割り込もうとしたり、
ひとりしかいないのに、4人分だと言い張ってお茶席の券を入手しようとしたり、
そんなもの持って入れないのに、お茶席にショールをしたまま入ろうとしたり、
ハンドバッグを持ち込もうとしたり・・・。
 
あなたのお尻の大きさでは無理があるというのに
人の上に座らんばかりに茶席に入ろうとしたりで、
おぞましい。
 
そんなおばさんの生態を間近に観察しながら、
自分も同じおばさんなことに一抹の不安を抱きつつ、
同行の若い二人と顔を見合わせた。
 
恐るべしおばさんパワーに気圧されながらも
3席の席入りを果たし、
点心もおいしく頂戴し、
2時過ぎに帰路につく頃には雨も上がり、空には薄日もさしていた。
 
どのお席も立派なお道具立てだし、
お茶会に参加している主宰者側もお客様もそのほとんどが男女ともに和服という
なんとも日本的で雅なはずのお茶会なのだが・・・。
 
雨で出足が鈍かったせいか、
雨と寒さで余分なにもつがあって身動きがもたついたせいか、
なんだかざわついた印象のお茶会であった。
 
きれいなおべべを着ていても、
心の余裕がなければ、
所作が美しく保てないとは寂しい限り。
 
人の振り見て我が振り直せと反省しつつ、
「4席中、3席入いれて、点心もいただけたから、元はとったわね」と
思っているようでは
五十歩百歩とはこのことか・・・。

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